事業の概況

各事業の状況は、次のとおりであります。

(注)
  1. 各事業の売上高は、外部顧客に対する売上高に各事業間の内部売上高等を加算して表示しております。
  2. 当連結会計年度より、従来「その他」セグメントに含まれていた海外事業について、事業内容に基づき各セグメントへ含めて表示するなどの変更を行っており、第80期は遡及処理後の数値を表示しております。

 戸建住宅部門では、お客様の住まいづくりに真摯に向き合い地域に密着した事業展開を推進し、販売拡大に努めてまいりました。
 国内の注文住宅事業におきましては、持続型の耐震性能と外張り断熱による快適性、2m72cmの高い天井がもたらす大空間のゆとりを実現する「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」をはじめ、木造住宅「xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)」、3・4・5階建住宅「skye(スカイエ)」に加え、2019年11月には、ウェブサイト上で楽しく簡単な家づくりを体験できる「Lifegenic(ライフジェニック)」を発売し、多彩な商品ラインアップで、お客様ニーズへの対応に注力してまいりました。また、戸建専用住宅からコンビネーションハウジング(併用住宅)、Livness(リブネス)ブランドによる戸建住宅の買取再販事業へと提案の幅を拡大し、事業を推進してまいりました。
 海外におきましては、豪州シドニー近郊にて事業推進中の「Box Hillプロジェクト」の契約数が順調に増加しているほか、米国子会社Stanley-Martin Communities, LLCの業績も好調に推移しました。
 しかしながら、当事業の売上高は4,978億8千万円(前期比1.1%減)となり、営業利益は180億8千万円(前期比24.3%減)となりました。

 賃貸住宅部門では、土地オーナー様の抱える課題やご所有地の特性、市場ニーズ等を総合的に判断し、土地オーナー様のみならず地域やご入居者様にとって最も価値の高い土地活用の提案を行ってまいりました。
 国内におきましては、都市部や中心市街地での店舗付賃貸住宅や中高層物件への取り組み強化と、医療福祉施設等の、居住用物件に留まらない事業提案の推進により、受注拡大を図ってまいりました。
 海外におきましては、米国で開発した賃貸住宅「オーレリアン」が賃貸開始時より90%を超える稼働率を維持する中、不動産持分47%を大和ハウスグローバルリート投資法人に売却いたしました。
 しかしながら、当事業の売上高は1兆59億2百万円(前期比4.6%減)となり、営業利益は985億8千7百万円(前期比5.8%減)となりました。

 マンション部門では、社会やお客様にとって、資産価値に加えて付加価値の高いマンションづくりに努めるとともに、販売から管理までの一貫体制による安心・安全・快適な暮らしを支えるサービスの提供に取り組んでまいりました。
 国内におきましては、首都圏の「プレミスト有明ガーデンズ」(東京都)が、周辺の商業施設をはじめとした開発による将来性が評価されるとともに、都心へのアクセスと生活利便性が好評を博し、ファミリー層、DINKS(※)を中心に販売が順調に進捗し完売いたしました。
 株式会社コスモスイニシアにおきましては、都心の優良不動産を低予算で取得可能にする共同出資型の投資用不動産「セレサージュ表参道」、「セレサージュ中目黒」(ともに東京都)の販売が好調に推移し、どちらも総募集口数を完売いたしました。
 海外におきましては、豪州シドニー近郊で開発・販売した「フラワー・ミル・オブ・サマーヒル」が全住戸完売いたしました。
 以上の結果、当事業の売上高は3,727億3千1百万円(前期比8.5%増)となりましたが、営業利益は158億8千3百万円(前期比23.4%減)となりました。

※ 意識的に子供を持たない共働き夫婦。

 住宅ストック部門では、当社施工の戸建・賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、インスペクション(点検・診断)を通じたリレーションの強化や保証期間延長のためのリフォーム提案を強化してまいりました。加えて、再生可能エネルギーの固定価格買取制度において買取期間満了を迎える戸建住宅オーナー様に向けた家庭用蓄電池の販売や、法人のお客様の事業用資産に向けたメンテナンス提案に注力し、受注拡大を図ってまいりました。
 また、より良質な既存住宅の流通の活性化に向けたLivness(リブネス)事業におきましては、全国の戸建住宅・マンションオーナー様向けに「想いをつなぐ売却キャンペーン」やセミナーを実施いたしました。
 さらに、「Livness Town Project(リブネスタウンプロジェクト)」として、高齢化が進む、過去当社が開発した住宅団地「ネオポリス」の再生等、社会課題を解決する事業を推進してまいりました。
 以上の結果、当事業の売上高は1,456億1千9百万円(前期比10.5%増)となり、営業利益は167億2千3百万円(前期比22.1%増)となりました。

 商業施設部門では、テナント企業様の事業戦略に対応した適切な出店計画の提案や、エリアの特性を活かしたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、ホテル・商業ビル等の大型物件への取り組みを強化するとともに、投資用不動産の購入を検討されているお客様に向けて、当社で土地取得・建物建築・テナントリーシングまで行った物件を販売するなど業容の拡大を図り、事業を推進してまいりました。
 国内におきましては、JR広島駅前に、ホテル・商業施設・オフィスが一体となった大型複合施設「GRANODE(グラノード)広島」を開業するとともに、沖縄県豊見城市に開業予定の、県初となる水族館併設の大型商業施設「iias(イーアス)沖縄豊崎」(2020年6月グランドオープン予定)など、当社グループが保有する経営資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせた複合施設開発に取り組んでおります。
 海外におきましては、2019年10月に米国カリフォルニア州にて商業施設「Trade」を取得し、運営管理を開始いたしました。
 以上の結果、当事業の売上高は8,067億8千4百万円(前期比10.4%増)となりましたが、営業利益は1,406億3千2百万円(前期比1.4%減)となりました。

 事業施設部門では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや資産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。
 物流施設関連では、さいたま市最大の大型物流施設「DPL浦和美園」をはじめ、全国26ヶ所の物流施設を新たに着工し、豊富な経験とノウハウでお客様の物流戦略をバックアップしてまいりました。
 医療介護施設関連では、老朽化した施設や、耐震基準を満たしていない病院をターゲットに建替えや移転の提案、また高齢者住宅・複合介護施設等医療法人の経営課題を解決するソリューション提案を強化してまいりました。
 事務所・工場等の拠点サポート関連では、広島西飛行場跡地を産業団地として再開発する「広島イノベーション・テクノ・ポート」に着手し、当社開発の全国25ヶ所の工業団地への企業誘致を強化してまいりました。
 食品施設関連では、食品製造・加工事業者を対象に、HACCP(※)義務化に向けたセミナーを開催するとともに、安全認証に適応した施設建設の提案を強化してまいりました。
 以上の結果、当事業の売上高は1兆1,523億4千7百万円(前期比12.3%増)となり、営業利益は1,206億3千6百万円(前期比20.2%増)となりました。

※ 食品の製造・加工等のあらゆる段階で発生する恐れのある微生物汚染等の危害を事前分析・管理する衛生管理手法。

 ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社におきまして、「ロイヤルホームセンターキセラ川西」(兵庫県)を新たにオープンするなど、様々なお客様の暮らしに役立つ店舗を展開してまいりました。
 アコモデーション事業では、大和リゾート株式会社におきまして、その地域の伝統や文化を活かしたインテリアデザインの採用が特徴である「D-PREMIUM(ディープレミアム)」シリーズを金沢市、奈良市にオープンさせるなど新規に3ヶ所開業し、地域特性や立地条件に配慮したホテル展開を進めてまいりました。
 物流事業では、大和物流株式会社におきまして、「柏インター物流センター」(千葉県)等、5ヶ所を新たに竣工し、お客様に最適な物流網を提案してまいりました。
 フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社におきまして、「スポーツクラブNAS蕨」(埼玉県)等、新たに4ヶ所をオープンいたしました。
 以上の結果、当事業の売上高は5,300億7千9百万円(前期比9.7%増)となり、営業利益は192億8千5百万円(前期比42.4%増)となりました。

企業集団の部門別受注高及び売上高

(注)
  1. 記載金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。
  2. 各事業部門の区分につきましては、「1.企業集団の現況に関する事項(6)主要な事業内容」に記載しております。
  3. 前期繰越高・当期受注高・当期売上高・次期繰越高ともに外部顧客に対する前期繰越高・当期受注高・当期売上高・次期繰越高を表示しております。

(注)
  1. 「売上高」「事業別売上高構成比」は外部顧客に対する売上高を表示しております。
  2. 「営業利益」のグラフ内に記載の調整額には、セグメント間取引消去、のれんの償却額、各セグメントに配賦していない全社費用が含まれております。

対処すべき課題

 今後のわが国経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による消費の冷え込みからの回復や、先送りされた企業の設備投資の顕在化による活性化が期待される一方、2020年4月に発出された緊急事態宣言期間中の外出自粛による消費抑制の影響が影を落とし、当面厳しい状況が続くものと見られます。また、世界全体を見ると新型コロナウイルス感染症の影響によって不確実性が高まっており、先行きへの不透明感が増しております。
 当業界におきましては、2020年4月に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」にある「住宅市場安定化対策事業(すまい給付金)」に期待しつつも、先行きが不透明な状態であり、さらに中長期で見ると世帯数の減少による新設住宅着工戸数の減少が見込まれております。一般建設市場では、2021年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた建設投資が一巡し、調整局面に入ることが懸念される中、2025年の大阪・関西万博の開催が、建設需要の喚起に寄与することが期待されます。一方で、高齢化等による建設業の人手不足や、需要の変化に伴う建設資材価格の変動には継続的に対処していく必要があります。
 このような経済状況の中で当社グループは、2021年度を最終年度とする3ヶ年計画「大和ハウスグループ第6次中期経営計画」における戦略を再構築し、戸建・賃貸住宅領域では再成長に向けた基盤整備を進め、商業・事業施設領域では継続的に事業拡大に注力することで、国内はもちろん、海外においてもお客様の多様なニーズに対応し事業拡大を図ってまいります。さらに、不動産開発の分野でも、幅広い事業領域の総合力を活かした複合開発をさらに推進することで、持続的な成長を実現します。併せてガバナンス体制につきましても、社外取締役の増員や多様性の確保に加え、グループ会社との一体経営を強化するなどの対策を実行し、今後も成長過程に適したガバナンス体制の最適化を継続してまいります。
 株主の皆様におかれましては、今後ともなお一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

ご参考

大和ハウスグループ第6次中期経営計画の進捗状況について

(2019年度~2021年度)<2019年5月公表>

業績目標
ガバナンス体制を再整備するとともに、事業領域の広さを活かし、持続的な成長を目指してまいります。


資本政策
 財務健全性を維持しながら、株主資本コストを上回るROEを創出し、株主価値向上のためのエクイティスプレッド獲得を目指してまいります。

財産及び損益の状況の推移

①企業集団の財産及び損益の状況の推移

(注)

売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、総資産、純資産の金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。

②当社の財産及び損益の状況の推移

(注)

受注高、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、総資産、純資産の金額は百万円未満を切り捨てて表示しております。

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2020/06/26 12:00:00 +0900
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