第73回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2267

第3号議案
自己株式取得の件<株主提案>

  1. 議案の要領
    1 自己株取得に関する事項:会社法第156条第1項の規定に基づき、本定時株主総会終結の時から1年以内に、当社普通株式を、株式総数30,000,000株、取得価額の総額100,000,000,000円を限度として、金銭の交付をもって取得することとする。
    2 その他剰余金に関する事項:別途積立金を100,000,000,000円取り崩し、同額を繰越利益剰余金へ振替とする。
  2. 提案の理由
     「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応に関する開示に係る定款変更の件」の議案に記載の通り、当社のバランスシートは非効率な状態です。現行資本政策では、将来キャッシュフローの配分には言及しているものの、資本構成までは踏み込んでいません。従って、弊社は下記の2点の理由から、事業面で一切の機会損失を生むことなく当社は本提案の自社株買いを実施可能であり、それが全ての株主の利益に資すると考えます。
     第一に、事業への再投資に将来必要となる資金を考慮しても、当社は余剰資金を有しています。当社は2024年12月末時点で現金及び預金2,624億円、投資有価証券690億円を保有しているだけでなく、東京新橋の旧本社ビル及びその周辺不動産(本社移転後も継続して保有かつその周辺不動産を取得しており、弊社推定の価値数百億円)といった不稼働資産を保有しており、当不動産の価値を考慮する前の財務資産の合計だけでも総資産の39%に及ぶ3,314億円です。又、当財務資産から借入金798億円を控除して算出した純財務資産は純資産の40%に及ぶ2,516億円となり、自己資本比率は67%にのぼります。当社は安定事業を有しており、事業への再投資に将来必要となる資金は、将来キャッシュフローの範囲内で十分調達可能です。
     第二に、現在の様に割安な株価で行う自社株買いは一株当たりの価値(利益、純資産、配当)を高め、株主にとって増配以上に効果的な還元となります。当社の株価は資本効率の低下を一因に足元低迷しており、株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)といった主要株価指標はいずれも過去20年間で最も低位な水準で推移しています。現状、グローバルに成長を続ける当社が長年培ってきた技術ノウハウ、ブランド等の無形の価値が市場から過小評価されている状態にあります。
     なお、小規模ながら現在自社株買いを実施中であること、流動性水準が大きくないことを理由に大規模な自社株買いを見送られるケースがございますが、当社の場合、フジ・メディア・ホールディングス社(以下、FMH)を筆頭とした政策保有株式が多いため、それらの持合いを解消することで流動性を懸念する事なく本提案の規模の自社株買いを実施する事は十分可能です。特に、当社の大株主であり当社発行済株式の約5%(自己株式考慮後)を保有するFMHとの持合い関係については、FMHの昨今の状況を鑑み、早期に解消頂くことが望ましいと考えます。

 当社取締役会の意見 

当社取締役会は、第3号議案に反対いたします。

 当社は、事業拡大に向けた積極的な成長投資を行い、安定した財務基盤を維持することで株主還元を強化し、企業価値の向上を図ることを目指しており、新中期経営計画では、この考え方のもと、ROE10%、自己資本比率60%および総還元性向70%を、2030年度に実現することを指標としております。
 また、新中期経営計画の公表に先立ち、当社は、株主の皆さまへの累進配当の実施に加え、経営戦略や経営環境に合わせた自己株式の取得を通じて、資本効率の向上と株主還元の一層の充実を図ることを目的に、2025年2月14日付「株主還元方針の変更、自己株式の取得に係る事項の決定および自己株式の消却に関するお知らせ」(以下、「2月14日付ニュースリリース」といいます。)で公表いたしましたとおり、総還元性向70%を目安とすること、市場環境やキャッシュフロー等を勘案した上で、機動的な自己株式の取得を実施することを内容とする株主還元方針の変更を決議いたしました。
 当社は、上記株主還元方針のもと、2月14日付ニュースリリースで公表いたしましたとおり、2025年2月14日開催の取締役会において、2030年度までに1,000億円以上の自己株式を取得することに加え、2025年2月17日から2025年6月19日まで、取得し得る株式の総数(上限)を1,400万株、株式の取得価額の総額(上限)を300億円とする自己株式の取得を決議いたしました。当該決議に基づき、当社が2025年2月17日から2025年4月30日までに取得した当社の株式の総数は6,439,300株、取得価額の総額は19,198,054,950円であり、当社は今後も当社の経営戦略や経営環境を踏まえて、最適な資本構成を実現するべく、自己株式の取得を含むバランスシートのコントロールを行う予定です。なお、当社の2025年3月期における総還元性向は、年間普通配当金額の64円と合わせて75.2%です。
 本議案は、本定時株主総会終結の時から1年以内に、取得価額の総額を1,000億円として、当社普通株式3,000万株の自己株式の取得を求めるものです。本議案で提案株主様が求める自己株式の取得を実施した場合、2025年3月期で換算した場合の総還元性向は295%に達し、新中期経営計画で定めた当社総還元性向の指標である70%の4.2倍にも達します。また、当社の2025年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益が455億円であることを踏まえると、その2.2倍にも達する本議案の自己株式の取得価額の総額は、本定時株主総会終結時から1年以内という短期間でみて過大な水準です。なお、本議案は、すでに当社が公表している1,000億円の自己株式の取得とは別に1,000億円の自己株式の取得を行うことを求めるものと考えられ、仮に本議案が要請する自己株式の取得と当社が公表している自己株式の取得の両方を実施した場合、当社の純資産の31.8%に相当する2,000億円もの現金流出がともない、当社の財務状況に重大な影響をもたらすこととなります。
 また、当社は、一定の資金の投入を要する海外における販売拡大や研究開発等の施策を継続的に実施していくこととしており、本議案が承認された場合、成長投資の財源を失い、当社の持続的な成長および中長期的な企業価値向上に向けた企業活動が停滞するおそれがあり、結果として株主の皆さまの利益を毀損するおそれがあると考えております。
 以上の理由から、当社取締役会は、本議案に反対いたします。
 なお、提案株主様は、自己株式の取得の原資として、当社が保有する政策保有株式を処分することを前提とされているようですが、当社は、政策保有株式について、新中期経営計画に基づき、2030年度までに連結純資産比率5%を目安に、個別銘柄ごとに保有の合理性の検証を厳密に行い、当該検証をもとに、それぞれの政策保有株式を処分するか否かを決定の上、順次縮減を進めていくこととしています。

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2025/06/25 11:00:00 +0900
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