当事業年度の事業の状況

① 事業の経過及び成果

 当連結会計年度の我が国経済は、前年に引き続き新型コロナウイルス感染症のまん延による影響を受けました。断続的な緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用により企業の景況感や個人消費マインドは冷え込み、厳しい経済状況が続きましたが、9月30日で全ての緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が解除されてからは、徐々に市場回復の兆しがみられています。
 外食産業においては、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用と、政府や各自治体による営業時間短縮や酒類提供禁止要請の影響で店舗にご来店いただくお客様の数が大きく減少しておりましたが、10月の緊急事態宣言等の全面解除以降、客数は回復傾向にあります。デリバリーやテイクアウトの売上拡大や、時短協力金の受領もあり、前年に比べると経営環境は改善しております。一方、コスト面においては原材料価格の急騰、原油高による水光熱単価の上昇や、人件費の増加などにより、大変厳しい状況にあります。また、海外に続き国内でもオミクロン株による感染が拡大するなど不透明な状況が続いており、経営環境も再度悪化することが予想されます。
 このような経営環境下で、当社グループはお客様及び従業員の健康を守るべく感染防止対策を徹底するとともに、政府や各自治体からの営業時間短縮や酒類提供禁止要請に対応してまいりました。また、6月の公募増資で獲得した資金を活用したDX推進による生産性の向上や、固定費削減等、売上減少に伴う損益への影響を最小限に抑える自助努力を継続し、堅牢な事業基盤の構築を進めております。

 売上収益の動向につきましては、コロナ禍で外食機会が減少する中、外食に「意味」や「価値」を求め、豊かな食事時間を過ごしたいという消費者動向が続いており、当社グループブランドの中でも専門性が高いブランドや居心地のよいブランドの業績が引き続き好調です。具体的には、高原リゾートをイメージした「むさしの森珈琲」、グルメ寿司の「魚屋路」、ハワイアン業態の「La Ohana」が該当します。
 当社はコロナ禍で消費者のライフスタイルが変化したことに対応し、お客様の求める「家庭では味わえないメニュー」「品質」「価格価値」「気分」を提供できるよう取り組みを進めました。自由な旅行が難しい中、小旅行気分を味わえるフェアとして、使用食材の産地や銘柄にこだわった「越中富山フェア」を夢庵と藍屋で、「北海道フェア」をジョナサンで開催しました。同様に、バーミヤンの「台湾グルメフェア」や夢庵の「大間のまぐろフェア」も大変好評でした。ガストではお客様の健康意識の高まりにお応えして10種類もの野菜を使った、ご家庭ではなかなか作りにくい「キーマカレー」を販売しました。また、一部の店舗で取り扱いを開始していた、当社グループのから揚げ専門店「から好し」のから揚げ商品を全国のガスト店舗での取り扱いに拡大し、店内飲食やテイクアウト、デリバリーなどでさらに便利にご利用いただけるようになりました。しゃぶ葉では異なるだしをお楽しみいただけるように、と開発した四つ割り鍋が一人分ずつの使用スペースの指定にも繋がることから「コロナ禍でも安心して鍋料理を食べられる」とお客様から評価いただきました。
 10月以降は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少や営業時間短縮及び酒類提供禁止要請の解除により徐々に売上回復の兆しがみられました。久々の外食でお食事もアルコールもお楽しみいただけるよう、全ブランドでアルコール需要を獲得・強化する目的で、お酒に合い、ご飯のおかずにもなる小皿料理メニューを拡充し、ご支持いただきました。
 12月には7ブランドで対象アルコール商品を1杯99円で販売するキャンペーンと、ガストで4商品を399円でご提供するキャンペーンを実施しました。それぞれTVCMを放映し幅広いお客様に向けてキャンペーンを訴求することで、コロナ禍の収束を見据えて客数のベースアップを狙いました。アルコール99円キャンペーンは特に若年層のお客様や新規のお客様に好評で、ファミリーレストランの新しい利用動機の喚起につながりました。ガストの「ハンバーグ&海老フライ」や「トマトソーススパゲティ」等(4品)を各399円で販売するキャンペーンはコロナ禍で店舗への来店が途絶えていたヤングファミリー層の呼び戻しに効果がありました。
 再来店を促すためのプロモーションとして、ガスト・ジョナサン・夢庵・藍屋・魚屋路では一定額以上店内飲食されたお客様への小皿プレゼントキャンペーンを実施し、女性やシニアの方を中心に反響がありました。また、9ブランドに拡大導入したシニアのお客様向けの「プラチナパスポート」は、店内飲食、デリバリー、テイクアウト全ての商品が5%割引となるもので、利用者数は累計100万人を超えております。しゃぶ葉で新たに設定した各コースの「シニア価格」や、複数ブランドのチラシに掲載した「シニア向け特別価格」についてもシニアのお客様の再来店に繋がっています。

 デリバリーやテイクアウトは、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置などの規制に加え、オリンピック期間中の巣ごもり需要の拡大もあり売上が大幅に増加しました。デリバリーは当連結会計年度で対前年同期比123%(2019年比171%)、テイクアウトは対前年同期比118%(2019年比248%)となっております。2021年12月末現在、約2,400店でデリバリーサービスを実施、一都三県のエリア世帯カバー率は94%に達しています。テイクアウト売上強化策として、店内飲食メニューをテイクアウト可能となるように開発することでテイクアウト商品ラインナップを拡充するとともに、ガストで「マヨコーンピザ299円」など各ブランドで期間限定のお得なプロモーションを実施しました。また、お客様の利便性向上と顧客基盤統合によるマーケティング強化を目的に、すかいらーくアプリにテイクアウト「モバイルオーダー・決済」機能を拡充しました。モバイルオーダー・決済による注文・会計業務の軽減により生み出された時間はテーブルサービスレストランならではのおもてなし、スムーズなご案内、熱々な料理のご提供など、お客様満足度の向上のための質の高いサービスを提供するために使っています。ジョナサンでは女性をターゲットにヘルシーささみのフライドチキン「J’sクリスプチキン」を全店で販売開始し、特にテイクアウトでご好評いただいております。

 お客様の利便性向上とともに、従業員の生産性向上を実現するため、DXの推進を継続しております。7月にすかいらーくアプリにテイクアウト「モバイルオーダー・決済」機能を導入し、店舗でのお客様の待ち時間を約90%削減、さらに従業員が注文に対応する時間も大幅な削減が可能となりました。2020年第1四半期に導入開始以降、主要ブランド約2,400店舗に導入を完了したデジタルメニューブックは、どのようなお客様にとっても使いやすい仕様に改良し、シニア層のお客様の多い和食業態の「夢庵」にまず導入いたしました。お使いになったお客様にもご好評を頂き、従業員の生産性向上の効果も確認ができたため、今後は既にデジタルメニューブックを導入している「ガスト」などその他の業態にも展開する予定です。また、8月末より導入実験を行ったフロアサービスロボットは、お客様をお待たせしないサービスの提供により顧客満足度を向上するとともに、従業員の作業負荷を軽減することができており、今期末には「ガスト」や「しゃぶ葉」を中心に135店舗に導入が完了しております。

 店舗開発の状況につきましては、2008年に北海道から撤退した「バーミヤン」について、マーケットニーズに合わせた改革を進め、7月に約13年ぶりに北海道札幌市に出店しました。同時に、「から好し」も北海道に初出店し、から揚げ専門店の品質をお届けしております。また、消費者ニーズに合ったストアポートフォリオの構築を目指し、目的来店志向の強い専門店、カフェ業態の「むさしの森珈琲」、ハワイアンの「La Ohana」、中華の「バーミヤン」を中心に73店舗の業態転換を実施しました。これにより転換実施店舗の売上は約61.7%向上しております。さらに、居心地の良い店舗環境の整備のため、コロナ禍でキャッシュアウト抑制のために中止していた店舗改装を再開し、実施した106店舗の売上は約4.8%向上しております。
 また、9月には米国シカゴで「しゃぶ葉」の一号店をオープンいたしました。厳選した良質なお肉と新鮮な野菜をヘルシーにお好きなだけ食べられる「しゃぶ葉」は、台湾とマレーシアでも既に成功しているブランドです。当社グループの経営資源とノウハウを最大限活かしつつ、米国のお客様の嗜好やニーズを把握し、事業展開の可能性について模索してまいります。

 原価、経費につきましては、最大限のキャッシュアウト抑制を行い、損益分岐点の引き下げに取り組みました。深夜営業廃止による固定人件費や水道光熱費の低減、プロモーション費用の抑制、各種DX推進による店舗生産性の向上、オーナー様のご協力による店舗賃料の減額や売上歩率への契約変更、本部経費の削減、その他不要不急のコストの執行停止などを実施しています。原価低減の打ち手としては、食材や商品のモジュール化で1原料当たりのボリュームを増やすことによる仕入れ単価の引き下げ、外注品目の内製化や配送ルート及び頻度の変更などを進めました。結果として、当連結会計年度は、2020年対比で約41億円の販売費及び一般管理費の削減及び約24億円の原価低減を果たしました。

・新型コロナウイルス感染症対策について
 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大防止に最大限取り組むことが当社グループの社会的使命であると考えております。当期はお客様と従業員の安全確保のため約3億円のコストをかけて万全の感染症予防対策を実施いたしました。
 また、国や地方自治体からの要請や各種ガイドラインも遵守しており、当連結会計年度では「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」の2021年12月31日までの申請対象期間のうち申請が完了した427億円をその他の営業収益に計上しております。

 以上の結果、当連結会計年度の売上収益は2,645億70百万円(前年同期比238億65百万円減)、営業利益は182億13百万円(前年同期営業損失230億31百万円)、税引前利益は143億25百万円(前年同期税引前損失264億33百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益は87億42百万円(前年同期親会社の所有者に帰属する当期損失172億14百万円)となりました。
 EBITDA(注1)は657億6百万円(前年同期比373億23百万円増)、調整後EBITDA(注2)は723億31百万円(前年同期比354億13百万円増)、調整後当期利益(注3)は88億90百万円(前年同期調整後当期損失172億14百万円)となりました。当連結会計年度末時点での店舗数は3,098店舗(転換準備の為の未開店店舗4店舗。期首時点は3,126店舗)となりました。

(注1)EBITDA=税引前利益(損失)+支払利息+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+その他の金融関連費用(期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益を除く)-受取利息-その他の金融関連収益+減価償却費及び償却費+長期前払費用償却費+長期前払費用(保証金)償却費
・その他の金融関連費用は、連結純損益計算書上はその他の費用として記載しています。
・その他の金融関連収益は、連結純損益計算書上はその他の収益として記載しています。
(注2)調整後EBITDA=EBITDA+固定資産除却損+非金融資産の減損損失-非金融資産の減損損失の戻入れ+株式発行関連費用等
(注3)調整後当期利益(損失)=当期利益(損失)+株式発行関連費用等+期限前弁済に伴う借入金償還損及び付随するヘッジ関連損益+IFRS第9号「金融商品」(2014)適用に伴う金融負債の条件変更に係る関連損益(会計方針変更による遡及適用に伴う影響額の再調整含む)+調整項目の税効果調整
(注4)株式発行関連費用等とは、当社の株式発行並びに株式の上場及び売出し時に発生したアドバイザリー報酬額等の一時的な費用であります。


② 設備投資の状況

 当連結会計年度の設備投資は総額132億35百万円であります(使用権資産の取得を除く)。
 その主なものは、新規出店(24店)とブランド転換工事(68店)、リモデル(103店)を含む店舗設備、DX推進のためなどのITデジタル投資、工場設備に係る設備投資等であります。
 所要資金については自己資金及び6月に公募増資により調達した資金の一部を充当いたしました。


③ 資金調達の状況

 当社は当連結会計年度に、新型コロナウイルス感染症の事業への影響に対応し運転資金を確保するため極度額700億円(後に350億円に変更)の長期コミットメントライン契約を締結しております。また、財務基盤の強化を図るとともに成長のための資金を確保するために総額430億円の増資による資金調達を実施いたしました。


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2022/03/30 12:00:00 +0900
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