当期は、世界的なサプライチェーンの混乱や為替変動により輸入資源や原材料が高騰し、電気料を始めとしたエネルギーコストや食品を含む多くの生活物資の価格を押し上げるインフレへと急速に移行し、消費マインドが大きく冷え込む状況となりました。
こうした環境変化の影響により、当連結会計年度における連結業績は、営業収益が7,086億90百万円(前期7,164億7百万円)、営業利益が63億84百万円(前期比47.5%減)、経常利益が65億36百万円(前期比47.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が13億36百万円(前期比75.1%減)と、減収減益となりました。
当社グループは、こうした状況に対し主力商品の価格抑制やPB商品の拡大などで商品の価格維持に努め、家計をサポートするさまざまな販促施策に注力してまいりました。また運営面でも電気使用量の徹底した抑制やその他のコストの抜本的な見直しに取り組みましたが、前期に対し150%を超える電気料金の高騰を吸収することがかなわず、利益が想定を大幅に下回る結果となりました。この厳しい経営環境に対して、当社グループは、お客さまの「豊かで健康的な食生活の提供」や「地域の発展と繁栄を願い、地域に深く根差した企業となる」という経営理念に立ち戻り、さらなる進化と成長を遂げるために、新たな領域に一歩を踏み出す絶好の機会と捉え対応を強化してまいりました。
特に当期は、第2次中期経営計画の最終年度であり、目標として掲げたコスト構造の変革、新たな店舗フォーマットの具現化、サービスや働き方の変革の取り組みを推進しました。無人レジやスマホ決済の利便性向上、オンラインデリバリーやデジタル販促などオリジナリティを特徴とするアウトプット、海外オフショアでの開発体制の確立などを基盤とし、これらを店舗に集約して新たなビジネスモデルとして試行する取り組みを社内横断的な体制で進めました。
商品の取り組みにおいては、独自のサプライチェーン構築に向けて、新たなPB商品の開発や、完全室内栽培を実現した植物工場を本格稼働させ、そこで生産されるレタスをブランド商品化し販売を開始しました。あわせてこのレタスを使用したサラダなど派生商品の開発、製造もスタートさせ、製造から販売までの一貫した製造小売モデルの構築に向け一歩を踏み出しました。
また、「新たな提供価値の創造」を具現化するため、オープンイノベーションプラットフォーム「AKIBA Runway」を始動させ、独自の技術や知見を持つさまざまな企業とのパートナーシップにより新しい試みの実験や検証を加速させる取り組みを行っております。当連結会計年度では、植物由来代替肉を製造する米国ビヨンド・ミート社と独占販売契約を締結して、お客さまや取引先さまにビヨンドビーフを中心とした新たな価値の提供を開始いたしました。
当連結会計年度において株式会社マルエツが6店舗、株式会社カスミが8店舗、マックスバリュ関東株式会社が1店舗、当社グループ計で15店舗を新設いたしました。一方、経営資源の効率化を図るため、株式会社マルエツが4店舗、株式会社カスミが3店舗を閉鎖し、当社グループの当連結会計年度末の店舗数は、529店舗となりました。
新型コロナウイルスについては、第8波の感染拡大が懸念されましたが、大幅な感染拡大や重症化には至っておらず、今後は第5類への引下げの中で様々な規制が緩和されていくものと予想されます。しかしながら当社グループでは、今後の感染状況を注視し店舗での防疫対策を維持しながら、お客さまのお買物スタイルの変化を的確にとらえ、お客さまのニーズに応えられる店舗づくりやサービスの強化に取り組んでまいります。
主要子会社の株式会社マルエツでは、「企業文化と収益構造の改革」を基本テーマとし、「ビジネスモデルの改革」、「売上総利益の改革」、「コスト構造の改革」に取り組みました。また、生鮮素材を含む冷凍食品の売場拡大や商品の改廃などを重点に既存店の活性化に取り組みました。また、お手頃な価格や品質にこだわった「maruetsu365」の展開や、「もっとからだにイイコト!」をアイコンにした健康提案を全店で開始しました。
さらに、お客さまへ多様なお買物手段をご提供するため、オンラインデリバリー併設店を累計37店舗、フルセルフレジ導入店を累計205店舗に拡大しました。加えて、「Uber Eats」を利用した店舗商品の配達サービスを65店舗で開始しました。その他、Scan&Go ignicaアプリによる会員制プログラム「マルエツプライム」を導入し、会員のお客さまへお得な特典やサービスを提供してまいりました。コスト削減の取り組みについては、フルセルフレジに加え、電子棚札やスライド棚の導入による省力化・省人化の推進、高騰する電気料に対して、使用量を抑制する等、コスト構造の改革に努めてまいりました。
株式会社カスミでは、お客さまが求める価格と独自の価値にこだわり、バンドル販売やシニアデー、子育て支援デーなどの販促を強化するとともに、「MiiL KASUMI」の拡大展開に取り組みました。12月1日オープンのフードスクエアカスミ東海中央店、2月17日オープンのフードスクエアカスミ友部旭店では、「BLANDE Selection」等の独自商品の品ぞろえを強化するとともに「DELY BREAD」での対面販売や「Café & Dine」での寛ぎの空間の提供などで、さらなるシェアの拡大をめざす取り組みを開始しました。また、植物性代替肉「ビヨンドビーフ」を活かした商品を開発するとともに、お客さまの認知を深めるイベント「Well-Being Weekend」をBLANDEにて開催いたしました。
マックスバリュ関東株式会社では、「次に目指す水準へ成長するための構造改革実行の年」と位置付け、2店舗の大規模活性化と、小型のエクスプレス業態での買物体験型店舗1号店となるマックスバリュエクスプレス幕張店を開店しました。これまで実施してきた提供価値向上の取り組みに加え、次の成長モデルの構築につながる新たな商品やサービスの導入を積極的に実施することで、さらなる提供価値の向上にチャレンジしました。
また、ネットスーパーの「オンラインデリバリー」やクイックコマースの「Uber Eats」の拡大展開に加え、新たに自社配送による「Order & Eat」も新規に取り組みを開始し、各種デリバリーサービスの充実による利便性の向上を図りました。さらに、「Scan & Go ignica」に加え、「キャッシュレス専用フルセルフレジ」の導入展開を進め、非接触型チェックアウト手段の拡充によるレジ混雑の緩和、チェックアウト業務に携わる従業員の生産性の向上に取り組みました。
なお、当社グループはスーパーマーケット事業を単一セグメントとしており、その他の事業については重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。