事業の経過及びその成果

 当期の世界経済は、新型コロナウイルスによる行動制限が緩和されて経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー・鉱物資源等の不足が世界的なインフレを引き起こし、各国において物価安定に向けた金融引き締めを余儀なくされました。
 日本経済においては、2022年3月にまん延防止等重点措置が解除され、ウィズコロナの下で個人消費と企業の設備投資が持ち直すことにより緩やかな景気回復の動きが見られました。日本ではデフレ脱却に向けた金融緩和策が維持される中、欧米の相次ぐ利上げを受けて円安が加速し、原燃料を含む輸入製品の価格高騰が企業収益や家計を圧迫しています。
 このような経済環境のもと、当社は「中期経営計画2025」の重点施策である「事業ポートフォリオの転換」「地球温暖化防止への貢献」「CSR経営の推進」に取り組んでまいりました。
 業績につきましては、化学品、セメント、半導体関連製品の価格是正等により売上高は増加しましたが、原燃料コストや物流費の増加、市況の下落等により減益となりました。
 売上高は、原燃料価格高騰分の販売価格への転嫁を進めたこと等により、前期より579億60百万円増加し、3,517億90百万円(前期比19.7%増)となりました。
 営業利益は、物流費及び原燃料コスト等の増加、ならびに塩化ビニルモノマーの海外市況下落等により、前期より102億2百万円減少し、143億36百万円(前期比41.6%減)となりました。
 営業外損益は、前期より8億69百万円悪化しました。
 以上の結果、経常利益は前期より110億71百万円減少し、147億83百万円(前期比42.8%減)となりました。
 特別損益は、前期より21億53百万円悪化しました。
 以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前期より132億25百万円減少し、144億24百万円(前期比47.8%減)となりました。
 応分の税金費用を加味した当期純利益は、前期より188億12百万円減少し、93億62百万円(前期比66.8%減)となりました。
 親会社株主に帰属する当期純利益は、前期より186億36百万円減少し、93億64百万円(前期比66.6%減)となりました。

 以下、セグメント別の概況をご報告申しあげます。

連結

(注1)1株当たり当期純利益は、自己株式及び役員報酬BIP信託が保有する当社株式を除いた期中平均発行済株式数により算出しております。
(注2)「収益認識に関する会計基準」等を第158期の期首から適用しており、第158期以降に係る売上高については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。

 苛性ソーダは、原燃料コストの増加はありましたが、国内の販売価格への転嫁を進めたこと、及び輸出価格が上昇したことにより、増益となりました。
 塩化ビニルモノマー及び塩化ビニル樹脂は、原燃料価格の上昇で製造コストが増加したこと、及び塩化ビニルモノマーの海外市況が下落したこと等により、減益となりました。
 ソーダ灰及び塩化カルシウムは、原燃料コストの増加はありましたが、国内の販売価格への転嫁を進めたため、増益となりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は1,162億63百万円(前期比14.6%増)、営業利益は68億87百万円(前期比51.6%減)で増収減益となりました。

 セメントは、国内出荷は前年同期並みであり、販売価格是正等に努めたものの原料価格の上昇による製造コストの増加に伴い、損益が悪化しました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は585億11百万円(前期比16.2%増)、営業損失は37億18百万円(前期は営業損失19億12百万円)となりました。

 半導体向けの多結晶シリコンは、原燃料価格の上昇等に伴う製造コストの増加はありましたが、販売価格修正を進めたこと等により、増益となりました。
 ICケミカルは、販売価格修正を進めたものの、原燃料価格の上昇等に加え、半導体市場減速の影響で販売数量が減少し、減益となりました。
 乾式シリカは、原燃料コストの増加はありましたが、販売価格修正を進めたこと等により、増益となりました。
 放熱材は、半導体製造装置向けを中心に販売数量が堅調に推移したことに加え、販売価格修正を進めたこと等により、増益となりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は915億89百万円(前期比22.1%増)、営業利益は70億11百万円(前期比3.1%減)で増収減益となりました。

 歯科器材は、海外向けを中心に出荷が増加したことにより、増益となりました。
 医薬品原薬・中間体は、ジェネリック医薬品向けの販売数量が堅調に推移し、増益となりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は375億67百万円(前期比11.9%増)、営業利益は73億77百万円(前期比22.2%増)で増収増益となりました。

 イオン交換膜は、出荷が増加したこと等により、増益となりました。
 廃石膏ボードリサイクルは、廃石膏ボードの受入れは堅調だったものの、燃料コストの増加等により、減益となりました。
 当セグメントの売上高は138億42百万円(前期比34.3%増)、営業利益は46百万円(前期は営業損失4億68百万円)となりました。

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2023/06/23 12:00:00 +0900
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