環境認識と対処すべき課題

 世界人口の増加と各国における高齢化進展によって、医薬品への期待・ニーズが増大するなか、限られた資源のもと、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっております。また、ライフサイエンスやICTの飛躍的な進歩によって、社会構造が大きく変化すると共に、医療課題解決へのイノベーション創出機会が拡大する一方、既存業界の枠を超えた企業間のスピード競争はこれまで以上に熾烈化しております。

 こうした変化は相互に影響しあいながら、社会全体に幾何級数的な変動をもたらすことが予想されます。このため、製薬産業においても大幅な変革が求められる状況にあります。

 最も重要な課題は、「イノベーション」の追求です。新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新により、アンメット・メディカルニーズ※2に応える新薬の創出が求められます。さらには、患者さん一人ひとりに最適な医療の実現に向けて、ライフサイエンス進展による新たな技術や、ビッグデータ、AIといったデジタル技術の進化を柔軟に取り入れながら、従来の創薬力にとどまらないケイパビリティ※3を獲得・強化することが課題となります。

 その実現に向けた「事業構造改革」も喫緊の課題です。グローバルでの財政圧力・薬剤費抑制策の強化により製薬企業の経営環境が厳しくなるなか、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革が一層求められます。特に国内においては、薬剤費抑制に向けた厳しい制度改革が次々と打ち出され、今後はますますの市場縮小が見通されており、既存プロセスやコスト構造の抜本的見直し、及びデジタル等も活用した新たな事業構造のデザインが課題となります。

 こうした製薬産業における課題に加え、社会全体において、近年の地球環境変動や、経済格差による貧困等の社会経済を含めた社会システムの持続性への危機が高まっております。事業活動の持続的な発展のために、企業はこれらの背景にある社会課題と真摯に向き合い、それぞれのバリューチェーンに関連した課題を特定し、解決に向けて取り組む必要があります。

 そのようななか、当社グループは、革新的な新薬の創出と、ロシュとの戦略的アライアンスを基盤とした国内トップクラスの成長を実現してまいりました。ロシュの充実した新薬パイプラインによる安定した収益基盤を確保しながら、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを継続的に創出しております。その結果、これまで4つの当社創製医薬品(「アクテムラ」、「アレセンサ」、「ヘムライブラ」、「SA237(サトラリズマブ)」)が米国FDAから「画期的治療薬(Breakthrough Therapy)」に指定されるなど、当社グループの創薬力は世界的に高い評価を受けております。また、後期開発や販売においては、グローバル・ロシュのプラットフォームを活用することで、高い生産性を実現しております。

 今後、「アレセンサ」、「ヘムライブラ」などの成長ドライバーをグローバル市場で確実に価値最大化すること、そしてこれらに続く自社成長ドライバーをいち早く創出し、スピーディな開発を成し遂げることで、今後も持続的な利益成長を目指してまいります。

 その一方で、社会がグローバルで大きな変化を迎えるなか、当社の取組みもさらなる進化が必要であると認識しております。

 用語解説 

※2 アンメット・メディカルニーズ 有効な治療法の確立や医薬品の開発が進んでいない治療分野における医療ニーズ

※3 ケイパビリティ 企業成長の原動力となる組織的能力や強みのこと

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2019/03/28 12:00:00 +0900
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