中期経営計画「IBI 21」

 当社グループは、2019年度から2021年度までを期間とする新たな中期経営計画「IBI 21」を策定しました。前中計「IBI 18」で築いた事業基盤とロシュとの戦略的アライアンスをベースに、さらなる競争優位の獲得と持続的な利益成長・企業価値拡大の実現を目指し、新たなステージでの変革に取り組んでおります。
 「IBI 21」で私たちが目指すのは、革新的新薬を中核として、イノベーションによる社会及び当社の発展を加速することです。「グローバル成長ドライバーの創出と価値最大化」及び「事業を支える人財・基盤の強化」を重点テーマとし、実現に向けた「5つの戦略」を掲げております。
 「IBI 21」では、「IBI」に込めた当社のイノベーションに対する基本姿勢、「INNOVATION BEYOND IMAGINATION(創造で、想像を超える。)」をさらに強化し、革新を通じた持続的な企業成長を目指してまいります。

(ⅰ)Value Creation(創薬、開発、製薬)

 当社グループは、これまで世界最先端の抗体改変技術への優先投資により、革新的な研究開発プロジェクトの創出を加速してまいりました。また、低分子、抗体に加えて次世代のコア創薬技術として中分子を選択し、集中投資による技術確立と研究開発プロジェクトの早期創出に向けて取り組んでおります。
 「IBI 21」においては、「治癒、疾患コントロールを目指した革新的創薬の実現」をテーマに、新たな次元での創薬に挑戦してまいります。これまで培ってきた独自の創薬技術をさらに強化すると共に、バイオロジー(病態のさらなる深い理解)との融合により独創的な創薬ターゲットを同定し、それらの最速でのPoC※4取得〜開発の実現と患者価値の実証を強力に推進してまいります。特に、自社開発パイプラインについて、日米欧3極を軸とした自社のトランスレーショナルリサーチ※5推進体制、及びロシュとの協働のもと、グローバルトップクラスの質・スピードによる開発を進め、次世代成長ドライバーとなる革新的新薬の連続創出を実現します。
 こうした革新的新薬をいち早く患者さんにお届けするため、高速開発と製品供給体制の充実、特に中分子医薬品など製剤難度の高い研究開発プロジェクトに対応した製造技術のさらなる進化を推進します。また、グローバル基準に対応した品質管理、品質保証、及びレギュラトリー機能の強化にも引き続き努めてまいります。

(ⅱ)Value Delivery(営業、メディカル、安全性)

 当社グループは、これまで自社及びロシュからの多くの有力な治療薬を市場に展開し、がん領域、腎領域、骨・関節領域、リウマチ領域をはじめとして参入市場において確固たる地位を築いてまいりました。
 「IBI 21」においては、これまで取り組んできた患者中心の情報提供活動や安全性マネジメントを含めた医薬品適正使用推進活動、患者さんにとっての薬剤価値を高めるエビデンス創出活動を一層強化すると共に、技術進化に対応したデジタルソリューションの強化も含め、高度化・多様化するステークホルダー・ニーズに応えるソリューション提供を追求し、「患者中心の高度かつ持続的な医療」の実現に貢献すると共に、国内外において成長ドライバー品への活動集中により、当社グループの成長加速を目指してまいります。

(ⅲ) 個別化医療(PHC)の高度化

 ゲノム医療やデータ解析技術の飛躍的な進歩を背景に、近年、「個別化医療(Personalized Healthcare; PHC)」がますます進展しています。また、デジタルデバイスの進化などによって、これまでの「効果・安全性」という概念にとどまらず、QOL等を含めた患者さんにとっての幅広いメリットの測定が可能となることで、患者さんにとって最適なソリューションの提供と価値の証明が一層求められます。このようななか、当社は個別化医療において世界をリードするロシュ・グループの一員として、一人ひとりの「個人」に最適な治療を提供する新たな段階の個別化医療を目指して、国やアカデミアとも緊密に協働しながら取り組んでまいります。さらには、患者さんやその家族にとっての幅広い価値の提供とその証明を可能にするケイパビリティの強化に競合に先んじて取り組みます。さらには、デジタル技術・データを活用した取組みを通じて、創薬ターゲットや分子探索の効率化、RWDを用いた臨床開発の効率化といったR&Dプロセスの革新も積極的に推進してまいります。
 また、がん領域におけるリーディングカンパニーとして、がんゲノム医療の実現と提供体制の構築に貢献することは当社の重要な責務と考えております。「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」はその一環で、次世代シークエンサー※6を用いて網羅的がん関連遺伝子解析プロファイリング情報を提供する製品であり、がん治療における個別化医療の発展と普及に貢献するものです。2018年には「ファウンデーションメディシン・ユニット」を新設し、本事業を力強く推進しております。

(ⅳ) 人財の強化と抜本的な構造改革


 ここまで掲げた戦略の遂行にあたっては、激変する環境に対応し、イノベーション創出を牽引する多様な人財の育成・獲得が重要となります。「IBI 21」においては、中長期を見据えた高度かつ多様な人財の獲得・育成・配置に向けた取組みを一層強化します。具体的には、リーダー人財の適所適財を推進するためのタレントマネジメント・ポジションマネジメント実行体制の強化、戦略実行のキーとなる専門人財の獲得、挑戦的な風土を支える人事・報酬制度への変革、そしてダイバーシティ&インクルージョンの一層の推進により多様な人財の活躍でイノベーションが創出される組織風土の醸成に取り組んでまいります。

 また、財政圧力を背景に製薬企業の事業環境が厳しさを増すなか、イノベーションへの資源集中を可能にするコスト構造への変革が大きな課題となります。当社においても、限られた資源をイノベーションに集中するために、2018年には長期収載品13品目の事業譲渡を行うなどの打ち手を実行してまいりました。「IBI 21」では、機動的なイノベーションへの投資と持続的な利益成長を同時に実現するため、事業プロセスやコスト構造の抜本的な見直しを断行いたします。

(ⅴ) Sustainable基盤の強化

 当社グループは、高度で持続可能な医療を実現し人々の健康に貢献するために、Core Values(価値観)に沿った事業を行っております。生命関連企業として、常に誠実な事業活動を行い、高い倫理観とコンプライアンス遵守、品質マネジメントに努めています。また、地球環境に配慮した事業活動や、「医療」「福祉」「教育」「地域社会」及び「環境」に関連した社会貢献活動についても良き企業市民として取り組んでまいりました。
 「IBI 21」では、当社グループのMissionと、事業の経済・社会・環境に及ぼす影響を踏まえて特定した重要課題(マテリアリティ)に取り組んでまいります。なかでも、医薬品及びサービスの高い品質の維持、及び当社の技術や知見が活用可能な保健医療アクセスの向上によるグローバルヘルスへの貢献については特に注力してまいります。また、自然資本への悪影響の最小化を目指して地球環境へ配慮した事業活動を推進いたします。
 当社グループが取り組むこれら重要課題(マテリアリティ)については、ステークホルダーへ積極的な情報開示と対話を進めてまいります。

 「IBI 21」では、これら5つの戦略を柱として、イノベーションによる社会及び当社の発展を目指して取り組んでまいります。

 用語解説 

※4 PoC Proof of Concept、研究段階で想定した薬効がヒトでも有効性を持つことを実証すること

※5 トランスレーショナルリサーチ 大学などの基礎研究の成果を企業の新しい医薬品等の開発につなげる研究

※6 次世代シークエンサー 従来に比べ遺伝子の塩基配列を高速に読み出せる装置

次の項目へ
2019/03/28 12:00:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×