事業の経過及びその成果

売上の状況



国内製商品売上高

 国内製商品売上高は、昨年及び4月の薬価改定と後発品浸透の影響を受けたものの、主力品及び新製品の好調な市場浸透により、5,189億円(前事業年度比26.8%増)となりました。
 オンコロジー領域の売上は、2,615億円(同12.6%増)となりました。後発品浸透の影響により抗悪性腫瘍剤/抗HER2ヒト化モノクローナル抗体「ハーセプチン」や抗悪性腫瘍剤/抗CD20モノクローナル抗体「リツキサン」などの売上が減少したものの、適応拡大した主力品の抗悪性腫瘍剤/抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク」や抗HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体「カドサイラ」が堅調に推移しました。あわせて、5月に発売した抗悪性腫瘍剤/微小管阻害薬結合抗CD79bモノクローナル抗体「ポライビー」や、8月に新たに血液検体による検査サービスを開始した遺伝子変異解析プログラムFoundationMedicine※1の検査数の伸長により売上が増加しました。
 プライマリー領域の売上は、2,574億円(同45.6%増)となりました。後発品や薬価改定の影響により、骨粗鬆症治療剤「エディロール」や持続型赤血球造血刺激因子製剤「ミルセラ」などの売上が減少したものの、主力品の血液凝固第Ⅷ因子機能代替製剤「ヘムライブラ」及びヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」が好調に推移しました。新製品では7月に特例承認された抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体「ロナプリーブ」の政府納入による売上が計上され、pH依存的結合性ヒト化抗IL-6レセプターモノクローナル抗体「エンスプリング」に加え、8月に発売したSMN2スプライシング修飾剤「エブリスディ」も寄与しました。
 一方、10月22日に公表した修正予想に対しては、国内製商品売上高は5,189億円(修正予想比1.2%増)となりました。

海外製商品売上高

 海外製商品売上高は2,839億円(前事業年度比26.6%増)で、前事業年度比での円安影響も加わり前事業年度を大幅に上回りました。ロシュ向け輸出については、通常出荷価格での輸出の本格化に伴い「ヘムライブラ」が前事業年度比で大幅に増加し、抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤「アレセンサ」も堅調に推移しました。一方、「アクテムラ」は前事業年度比で大幅に減少しましたが、これは前事業年度において、新型コロナウイルス肺炎を対象とした臨床試験用を含む輸出が増加したためです。
 一方、10月22日に公表した修正予想に対しては、海外製商品売上高は2,839億円(修正予想比5.7%増)となりました。


損益の状況

連結損益の概要(IFRSベース)

 当事業年度の売上収益は9,998億円(前事業年度比27.1%増)、営業利益は4,219億円(同40.1%増)、当期利益は3,030億円(同41.1%増)となりました。これらには当社が管理する経常的業績(Coreベース)から除外している無形資産の償却費22億円、無形資産の減損損失45億円及び事業所再編費用等55億円が含まれています。

連結損益の概要(Coreベース)


 当事業年度の売上収益は、製商品売上高、ロイヤルティ※2等収入及びその他の営業収入ともに大幅に伸長し、9,998億円(前事業年度比27.1%増)となりました。
 売上収益のうち、製商品売上高は8,028億円(同26.8%増)となりました。国内製商品売上高は、薬価改定や後発品の影響を受けたものの、主力品の「テセントリク」、「ヘムライブラ」、「カドサイラ」、「アクテムラ」の好調な推移や、新製品の「エンスプリング」、「ポライビー」等の順調な市場浸透に加え、「ロナプリーブ」の政府納入により、前事業年度比で大幅に増加しました。海外製商品売上高は、ロシュ向けの「アクテムラ」輸出が大きく減少しましたが、「ヘムライブラ」輸出が大幅に増加したため、前事業年度を大きく上回りました。ロイヤルティ等収入及びその他の営業収入は、一時金収入が減少したものの、「ヘムライブラ」に関するロイヤルティ及びプロフィットシェア収入の増加等により、1,969億円(同28.2%増)となりました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により41.8%と前事業年度比で1.2%ポイント改善した結果、売上総利益は6,643億円(同29.1%増)となりました。
 経費については、2,302億円(同11.4%増)となりました。デジタルマーケティングの推進等により販売費は758億円(同6.0%増)、研究開発費は開発テーマの進展に伴う費用の増加等により1,298億円(同14.4%増)、一般管理費等は主に法人事業税(外形標準課税)及び諸経費等の増加により246億円(同13.4%増)となりました。以上から、Core営業利益は4,341億円(同41.0%増)、Core当期利益は3,115億円(同42.0%増)となりました。
 一方、10月22日に公表した修正予想に対して、売上収益は、主に「ヘムライブラ」のロシュ向け輸出の上振れの他、「アクテムラ」及び「ヘムライブラ」に関するロイヤルティ及びプロフィットシェア収入の増加や、国内製商品売上の好調により9,998億円(修正予想比3.1%増)となりました。製商品原価率は、製品別売上構成比の変化等により41.8%と修正予想を1.6%ポイント改善、経費は2,302億円(同0.3%減)となりました。この結果、Core営業利益は、修正予想を上回る4,341億円(同8.5%増)となりました。


研究開発活動の状況

 当社グループは、医療用医薬品に関して国内外にわたる積極的な研究開発活動を展開しており、国際的に通用する革新的な医薬品の創製に取り組んでおります。国内では、御殿場、鎌倉に研究拠点を配置し、連携して創薬の研究を行う一方、浮間では工業化技術の研究を行っております。また、海外では、中外ファーマ・ユー・エス・エー・インコーポレーテッド[アメリカ]、中外ファーマ・ヨーロッパ・リミテッド[イギリス]、日健中外科技(北京)有限公司[中国]、台湾中外製薬股份有限公司[台湾]が医薬品の開発・申請業務を、中外ファーマボディ・リサーチ・ピーティーイー・リミテッド[シンガポール]が医薬品の研究開発を行っています。


ご参考 研究開発費の推移


臨床開発活動につきましては、下記の進展がありました。

(ⅰ)がん領域

・「ポライビー」は、3月に、再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を適応症として承認を取得し、5月に発売しました。また、12月に未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象として承認申請を行いました。
・「テセントリク」は、3月に肝細胞がん(intermediateステージ)(RG435との併用)、5月に筋層浸潤性膀胱がん(アジュバント)を対象としてそれぞれ第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。また、7月に非小細胞肺がんの術後補助療法を対象として承認申請を行いました。
・抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体「アバスチン」は、3月に肝細胞がん(intermediateステージ)(RG7446との併用)を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・選択的エストロゲン受容体分解薬「RG6171」は、8月に乳がん(アジュバント)を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗CD20/CD3バイスペシフィック抗体「RG7828」は、10月に濾胞性リンパ腫を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・RET阻害剤「RG6396」は、7月に固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。また、11月に非小細胞肺がんを対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・腫瘍溶解性5型アデノウイルス「OBP-301」は、1月に肝細胞がんを対象として第Ⅰ相臨床試験(「RG7446」及び「RG435」との併用)を開始しました。
・抗潜在型TGF-β1モノクローナル抗体「SOF10/RG6440」は、6月に固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・RAS阻害剤「LUNA18」は、10月に固形がんを対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・ヒト化抗FAP抗体改変IL-2融合蛋白「RG7461」は、ロシュ社による複数の海外試験の結果に鑑み、固形がんを対象とする開発を中止しました。
・AKT阻害剤「RG7440」は、国際共同治験「IPATunity150試験」の結果に鑑み、乳がんを対象とする開発を中止しました。


(ⅱ)腎領域

・NaPi-IIb, PiT-1, PiT-2阻害剤「EOS789」の日本を含む全世界・全適応症における開発・製造・販売の独占的実施権を中外製薬が許諾する、オプション・ライセンス契約を7月に、Alebund社と締結しました。


(ⅲ)自己免疫疾患領域

・BTK阻害剤「RG7845」は、ロシュ社による複数の海外試験の結果に鑑み、関節リウマチを対象とする開発を中止しました。

(ⅳ)神経疾患領域

・「エブリスディ」は、6月に脊髄性筋萎縮症を適応症として承認を取得し、8月に発売しました。
・「エンスプリング」は、6月に欧州にて視神経脊髄炎スペクトラム障害を適応症として承認を取得しました。また、10月に全身型重症筋無力症を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗アミロイドベータ/TfR1融合蛋白「RG6102」は、7月にアルツハイマー病を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。

(ⅴ)その他の領域

・「ロナプリーブ」は、3月にCOVID-19を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始し、6月に承認申請し、7月にCOVID-19を適応症として特例承認を取得しました。また、10月に承認申請し、11月にCOVID-19の発症抑制の適応拡大について特例承認を取得しました。
・「ヘムライブラ」は、11月に後天性血友病Aを対象として承認申請を行いました。
・「アクテムラ」は、12月に新型コロナウイルス肺炎を対象として承認申請を行いました。
・抗VEGF/Ang2バイスペシフィック抗体「RG7716」は、6月に糖尿病黄斑浮腫及び中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性を対象としてそれぞれ承認申請を行いました。また、3月に網膜静脈閉塞症を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗補体C5リサイクリング抗体「SKY59/RG6107」は、10月に非典型溶血性尿毒症症候群を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しました。
・抗FGFR1/KLBバイスペシフィック抗体「RG7992」は、6月に非アルコール性脂肪肝炎を対象として第Ⅰ相臨床試験を開始しました。
・RNAポリメラーゼ阻害剤「RG6422」は、4月にCOVID-19を対象として第Ⅲ相国際共同治験を開始しましたが、同剤に対する共同グローバル開発に関するロシュ社とアテア社の提携解消を受け、今後について検討した結果、開発を中止しました。
・PTH1受容体アゴニスト「PCO371」は、第Ⅰ相臨床試験結果に鑑み、副甲状腺機能低下症を対象とする開発を中止しました。
・ヒアルロン酸ナトリウム製剤「スベニール」は、経営戦略上の理由から、中国における変形性膝関節症/肩関節周囲炎を対象とする開発を中止しました。


ご参考 新薬ができるまで

薬の候補化合物の発見から医薬品として発売するまでに9年から17年近くの年月がかかります。



用語解説

※1 Foundation Medicine  「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイリング」及び「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイリング」
※2 ロイヤルティ 知的財産権等の利用に対する対価

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2022/03/29 12:00:00 +0900
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