中長期的な経営戦略と対処すべき課題

 当社グループの中核事業である農薬事業を取り巻く環境は、世界的な人口増加や新興国の経済発展などを背景とした食料需要の拡大から、グローバルな農薬市場は拡大傾向にあります。一方、国内では、農業従事者の高齢化、後継者不足の深刻化による耕作面積の減少、政府による農業資材費低減方針などを背景に、農薬市場は漸減傾向が継続するものと考えられます。また、創薬難度の高まりと農薬登録要件の増加により、新規薬剤開発コストが増大し、開発期間も長期化しております。さらに、各国の農薬登録制度における要件の厳格化、ジェネリック農薬との価格競争、原材料費や委託製造費の高騰、異常気象による農作物への影響など当社グループを取り巻く事業環境は一層厳しさを増しております。
 なお、今後の見通しにつきましては、昨年度に引き続き国内外ともに新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大の終息が見通せず、企業収益や雇用環境などの悪化により世界経済の減速が懸念されます。当社グループの中核事業である農薬事業は、食料安定供給を支える農業生産の根幹に関わるビジネスであるため、他の業種に比し影響は限定的であると考えられますが、生産、調達などへの直接的な影響や農業を取り巻く環境変化による間接的な影響が想定されます。
 このような事業環境下、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global 世界で戦える優良企業へ」のもと、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2021(EGG2021)グローインググローバルを確実に!」の最終年度となる当連結会計年度において、ターゲット市場における重点剤の登録申請と開発推進、パイプラインの充実化、インドにおける製販体制強化、スマート農業への対応、業務改革・働き方改革の推進など、事業基盤の強化に一定の成果を上げることができました。また、株式会社ADEKAとの資本業務提携によるシナジーを早期に創出し発揮するべく活動を推進してきました。
 2022年3月期から始まる新中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」においては、引き続きこれまで実施した出資や買収案件の収益への貢献を最大化していくと同時に、さらなる成長戦略の遂行により業容の拡大を図る計画としました。最終年度である2024年3月期には営業利益64億円、売上高890億円の達成に加え、さらなる成長戦略の遂行により業容の拡大を図り、目標売上高1,000億円を目指してまいります。

[日農グループビジョン]

「Nichino Group-Growing Global」
・新規農、医、動物薬など、顧客ニーズに適う先進技術を提供し農業生産や健康的な生活を支えます。
・低環境負荷製品、省力化技術など、SDGsに資する製品、サービスを拡大し持続可能な社会に貢献します。

[中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)]

① 呼称「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」

② 数値計画

(注)

本資料に記載されている計画値および業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的で あると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

③ 基本方針
 当社はグループビジョンの達成に向けて新たなコーポレートステートメントとして「GlobalInnovator for Crop & Life 食とくらしのグローバルイノベーター」を掲げ、前中期経営計画に引き続きグローインググローバルを確固たるものにする基盤強化を行います。基盤強化としては、グループシナジー拡大を含めた収益性の向上に加え、技術革新・次世代事業の確立、持続的な企業価値の向上を基本方針とし、先進技術による農業生産や健康的な生活を支え、持続可能な社会に貢献する企業グループを目指します。

ⅰ)収益性の向上
「重点品目の拡大」、「原体の最適生産体制による原価低減」、「グループシナジーの拡大」
ⅱ)技術革新・次世代事業の確立
「研究開発の推進とグローバル展開」、「非化学農薬分野への拡大」、「DX取組」
ⅲ)持続的な企業価値の向上
「CSR活動、ESG経営の強化」、「業務改革・働き方改革の推進」

具体的には、以下に掲げる施策を着実に推進してまいります。
<重点品目の拡大>
 ベンズピリモキサン、ピリフルキナゾン、ピラフルフェンエチル、フルベンジアミドを主要重点品目と定め、国内外同時開発、海外登録取得推進により販売エリアの拡大及び拡販に努めます。また、ブラジルとインドを主な戦略エリアと定め海外グループ会社を成長ドライバーとして事業規模を拡大させます。
<原体の最適生産体制による原価低減>
 原体のグローバル最適生産体制の構築と原価低減に努めるとともに、スマート工場化による生産効率化を目指します。
<グループシナジーの拡大>
 事業部門およびグループ企業が設定した普及販売力強化につながる各施策を確実に実施します。また販社販売・在庫状況を把握し、タイムリーな品繰りと販売施策支援に努めます。
<研究開発の推進とグローバル展開>
 創薬難度が高まる中、パイプライン化合物拡充は着実に進捗しております。これらの化合物の早期開発を実現させます。また、現在開発中の新規剤については戦略的な研究開発費投資(売上高の約10%)を継続する事により、着実に事業化に繋げます。グローバル登録・開発力を強化し、最適な事業化に向けグループ間連携を強化させます。
<非化学農薬分野への拡大>
 医薬・動物薬の開発、生物農薬や作物の健全な育成を助けるバイオスティミュラントの導入、天然物質の半発酵生産技術を活用したビジネス、特定機能成分を産生する作物の作出など、化学農薬事業により培ってきた技術・経験を活かし、ライフサイエンスを通じた健康的な生活に寄与する新たな価値を社会に提供します。M&Aなど、外部価値の取り込みによる事業領域拡大も適宜検討します。
<DX取組>
 スマート農業による省力化の推進をはじめ、スマート工場化への移行促進、普及活動におけるSNSやウェビナーの活用など、デジタルIT技術を活用し、事業や業務の在り方を変革する事で顧客サービスと企業価値の向上に努めます。
<CSR活動、ESG経営の強化>
 「技術革新による食と環境・社会への貢献」を基本方針とし、コンプライアンス・リスクマネジメントの拡充、環境経営の高度化、人権経営の拡充、安全文化の深化、社会のニーズに対応した技術と製品開発、コミュニティーへの参画、企業・組織統治の強化の7つの優先課題に取り組みます。これらの課題を確実に実施するためにコーポレートガバナンスの強化、ダイバーシティ経営の推進、経営会議の同格としてCSR会議を位置付け当社グループにおけるCSR活動の一層の充実化を図るなど、CSR経営を強化します。
<業務改革・働き方改革の推進>
 人事考課制度、福利厚生など、既存制度の抜本的な見直しを行い、さらにいつでもどこでも働けるオフィス環境を構築するなどソフト、ハード両面で従業員の生産性向上に向けた環境整備を行い、従業員のやりがいを向上させます。また、ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みも強化し、グローバルで活躍できる人財開発を推進させます。

④ 配当方針
 安定配当を基本とし、配当性向30%以上を目指します。

 当社グループは、これまで農薬化学事業で培ってきた技術をさらに高め、新規農・医・動物薬など先進技術を継続的に提供し、農業生産や健康的な生活を支え社会に貢献します。人類の未来に貢献する企業グループを目指し、研究開発型企業として法令遵守のもと社会的責任を果たすべく企業活動を展開してまいります。
 株主の皆様におかれましては、今後ともより一層のご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。


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2021/06/23 12:00:00 +0900
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