第123回 定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 7201
日産自動車株式会社【株主提案】
第4号議案は、株主様からのご提案となっております。
株主提案の内容及び株主提案の理由につきましては、提案株主様から提出された株主提案権行使書の記載に沿って、内容的な変更は加えずに転記したものであり、続けて、株主提案に対する当社取締役会の意見を記載しております。
なお、提案株主(1名)の議決権の数は、310個(議決権比率は0.000007%)であります。
(1)株主提案の内容
定款第35条として、以下の条文を新設する。
「当社は、会社法及び会社法施行規則に定められた事項を履行するに際し、会社法施行規則120条1項7号に関する事項については、「その他の関係会社」を親会社と看做して事業報告等を行うものとする。」
(2)株主提案の理由
「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(2020年11月27日公布)に基づき、親会社との間の重要な財務及び事業の方針に関する契約等の内容の概要について、2021年6月以降の株主総会の事業報告から記載が求められることになった(会社法施行規則120条1項7号)。
公開会社における事業報告として、様々な事項の開示が求められるが、その中に「重要な親会社及び子会社の状況(当該親会社と当該株式会社との間に当該株式会社の重要な財務及び事業の方針に関する契約等が存在する場合には、その内容の概要を含む。)」が含まれるようになったという事である。
当社は、ルノーとの間で、RAMA(Restated Alliance Master Agreement、改定アライアンス基本契約)と呼ばれる資本・業務提携の基本となる契約書を取り交わしているが、一般株主にとって非常に重要な内容であるにも関わらず、当社からは、公式にはその内容は一切開示されていない。ルノーとのアライアンスに於いては、当社とルノーが対等な立場にあらず、当社延いては当社の一般株主が経済的に不利益を被っていると推察される事象が存在するが、RAMAが公開され、その内容の是非が株主間で広く議論に付されていない事も、この様な不平等なアライアンスの状況が改善されない原因の1つであると考えられる。
当社は、「当社はルノーに対して契約上の守秘義務を負っており、RAMAの内容や条件を開示することはできません」と主張しているが、仮に、ルノーの当社に対する持株比率が現在の43.7%ではなく50%を僅かでも上回っていたら、ルノーとの間に守秘義務があろうとも、日本の法律に基づき、RAMAの内容や条件は開示しなければならない。
現在、ルノーは日産にとって「親会社」ではなく、「その他の関係会社」である為、会社法、会社法施行規則に基づき開示が求められているRAMAの内容の開示から逃れられているという事である。
しかしながら、実質優先の考え方に基づけば、法律上は「その他の関係会社」であっても、ルノーは実質的には当社の「親会社」に等しい存在である。ルノーが反対すれば取締役の選任も自由には出来ないという事が露わになったのが、2019年の当社株主総会前のルノーとのごたごたであったし、更に言えば、当社に於いて、かつてカルロス・ゴーンの独裁が罷り通っていたのも、当社の実質的な親会社であるルノーのCEOをゴーンが兼務していたからである。
法律上は親会社ではないから、実質的には親会社の様なものでも、会社法施行規則120条1項7号で定められた事項の開示をする必要が無い、というのは、情報開示の重要性が認識されている現代に於いて、誤った考え方である。
会社法の精神に基づき、RAMAの内容も公開企業としての開示対象に含むべく、この定款変更(条文の新設)を提案するものである。
(3)取締役会の意見
提案理由で表明されているご懸念につきまして、以下の通りご回答申しあげます。
アライアンスは、自動車業界で類を見ない戦略的なパートナーシップであり、絶えず変化する自動車業界において優位性を保つためのものです。アライアンスのビジネスモデルは、メンバー各社の企業文化と歴史を尊重しながら、それぞれが有するアセットと遂行能力を最大限に引き出します。
当社は、ルノーに対して契約上の守秘義務を負っており、当該守秘義務に違反してRAMAの内容や条件を開示することはできませんが、ガバナンス改善及び透明性の向上の観点から、当社は、アライアンスに関する情報開示について慎重に検討してまいりました。その結果、RAMAに関しまして、本年6月に開示予定の有価証券報告書に、契約上の守秘義務に抵触しない範囲で情報開示することを予定しております。
上記に照らしまして、定款に本議案のような規定を設けることに当社取締役会は反対いたします。
以 上