第19次中期経営計画の振り返り

 2008年の世界⾦融危機以降、リコーグループは、市場環境の変化に十分対応できず、業績低迷が続いていました。こうした状況を真摯に捉え、リコーグループの変革に取り組むべく、2017年度を初年度とする19次中計を策定しました。

 19次中計では、2017年に「リコー再起動」を掲げ、従来の社内の常識であったマーケットシェア追求や市場稼動台数拡大など、規模重視の戦略をゼロベースで見直し、コスト構造改革を最優先事項として、オフィス領域の製品・サービスの収益力強化を推進しました。同時に、リコーグループの強みを活かして市場を拡大していく成長事業に焦点を絞り、将来に向けた投資の実施と、経営システムの改善も進めました。

 さらに、2018年2月に成長戦略「リコー挑戦」を発表しました。成長戦略策定にあたっては、将来の社会的潮流を捉え、社会課題解決と事業の両⽴が企業の絶対的な命題になるという認識のもと、リコーグループが特に重視する5つのマテリアリティ(重要課題)として、知の創造・生産性向上・生活の質の向上・脱炭素社会の実現・循環型社会の実現を設定しました。これら5つのマテリアリティに資する事業活動を展開し、SDGs達成への貢献とリコーグループの企業価値向上の同時実現を目指しました。

 「リコー挑戦」では、当社の強みを活かした成長戦略として、「成長戦略0」「成長戦略1」「成長戦略2」の3つを設定しました。「成長戦略0」は、当社の基盤事業であるオフィスプリンティング領域において顧客価値増大とオペレーション効率改善の両輪で稼ぐ力を強化します。またリコーグループは、その基盤事業において、長年にわたり光学、画像処理、機械、電気、化学、制御などの技術を蓄積してきました。それらを⾼度に組み合わせたプリンティング技術や全世界に広がる顧客基盤(約140万社のお客様)を活かして、新たな収益源となる成長分野の開拓を目指す「成長戦略1」と「成長戦略2」を定めました。

 19次中計の取り組みを振り返ります。まず、2017年度より取り組んでいる構造改革においては、基盤事業であるオフィスプリンティングにおいて、売上拡大よりも利益重視へと転換したことに伴い、そのための体制変更や固定費および経費の適正化に注力しました。また、拠点統廃合などによる資産効率の改善や事業選別の徹底(リース、半導体、物流、観光事業の非連結化)にも取り組みました。過去の負の遺産との決別として、減損損失計上や、リコーインドの支援方針変更などの痛みを伴う改革も断行しました。これらの取り組みにより、19次中計期間中の構造改革効果は1,066億円となり、当初の目標である1,000億円を上回る実績を上げることができました。

 成長戦略の取り組みについては、「成長戦略0」では、徹底した構造改革と原価低減、売価マネジメントなどを通じたオペレーションエクセレンスの追求により、利益成長を果たしました。また、新たな付加価値を載せることのできるプラットフォームとなる新世代複合機の上市により、複合機に新しい価値を加え、お客様への価値提供を進化させることができました。「成長戦略1」では、商用印刷事業、産業印刷事業、サーマル事業において収益性の改善が進展したものの、資本コストを考慮した投資管理を徹底したことにより戦略投資を十分な規模で実施するには至らず、特に産業印刷事業での事業成長は期待した水準に達することができませんでした。「成長戦略2」では、オフィスサービス事業の収益性を可視化して黒字転換させるとともに、市場機会を捉えた成長に加え、各国の市場ニーズと自社の能力や強みに⽴脚した戦略投資を適宜進めながら、事業規模拡大と収益性改善を同時に実現することができました。あわせて、産業プロダクツ事業とSmart Vision事業においても収益性の改善を進めました。

 これらと同時に、当社が価値創造を行いながら持続的に成長するため、その基盤となるコーポレート・ガバナンスのさらなる強化も同時に図ってきました。強化にあたり全体の考え方として、①健全なリスクテイクと適切なリスクマネジメントによる企業価値・株主価値の向上、②監督・監査機能の独⽴性の強化、③積極的な開示と対話姿勢の3点を掲げ、さまざまな観点からの取り組みを行いました。具体的には、取締役任期の見直し、取締役会における社外取締役比率半数かつ非執行取締役比率の過半数化、指名・報酬の両委員会で社外取締役が過半数かつ社外取締役が委員長、CEO・社内取締役の評価の厳格化、役員に対する株価条件付株式報酬制度導入、投資委員会・ESG委員会・リスクマネジメント委員会など5つの委員会の設置、海外子会社のバランスシート定期監査や監査法人選定基準見直し、IR/SR強化を狙ったIR Day(事業戦略説明会)開催、情報開示プロセスの見直しなど、多岐にわたります。このような取り組みが有効に作用している例として、投資委員会による買収投資判断の助言が挙げられます。結果として19次中計期間中の買収投資の実績は、成長戦略で掲げた2,000億円の投資規模には至りませんでしたが、ガバナンス改革の一部として設置した投資委員会が機能し、投下資本収益性を重視しながら着実な投資判断を行うことができました。

 19次中計の「再起動」と「挑戦」を通じて、リコーグループは経営体質の強化と事業構造の変革を推し進め、利益創出力を向上させることができました。しかし、事業の選別による関連会社の再編や全世界的な新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業環境の急激な悪化などにより、19次中計の最終年度である2019年度の連結営業利益目標1,000億円に対して、実績は790億円となり、残念ながら目標未達となりました。ROEについても、利益の未達により、目標の6.9%*1に対して、4.3%の実績となりました。一方で、成長に向けた投資を持続的に行うためにキャッシュ・フロー創出力の強化にも取り組んできました。19次中計期間3年間のファイナンス事業を除くフリー・キャッシュ・フロー(FCEF)として1,000億円創出する目標を掲げていましたが、収益力強化と事業・資産の選別などにより、FCEFは見通しを上回る2,097億円となり、キャッシュ創出力の強化を図ることができました。

 以上のような、19次中計の取り組みを総括し、その成果の一部を適切に株主の皆様に還元すべきという当社の経営の意思として、普通配当⾦とは別に、1,000億円を上限とする追加的な株主還元を実施する方針を決定しました。具体的な手段、時期、期間については、⾦融市場環境や経済状況を踏まえ、適切に意思決定を行います。

19次中計目標と達成状況

*1 19次中計公表時(2017年4月)のもの
*2 ファイナンス事業除くフリー・キャッシュ・フロー

前の項目へ次の項目へ
2020/06/26 11:30:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×

カメラをかざして
QRコードを
読み取ってください

{{ error }}