対処すべき課題

変わることと変わらないこと

 新型コロナウイルス感染症は、世界を、そして人々の暮らしを大きく変えました。人々はオフィスに出社できず、働き方の変革を余儀なくされ、徐々に進展すると考えられていた「いつでもどこでもはたらく」という新しいワークスタイルへの変革が強制的に加速されることとなりました。この変化は、新型コロナウイルス感染症の拡大が収束したとしても元に戻らず、さらに進むと想定されます。その中で、私たち自らが実践で培ってきた働き方のノウハウが、お客様へのさらなるお役立ちにつながると確信しています。

 このように働き方が変わっていく中で、私たちが変わらずに大切にし続けることが2つあります。

 1つは、私たちは徹底的にお客様に寄り添い続けるということです。リコーは1977年にオフィスオートメーションを提唱して以来、半世紀近くにわたりオフィスの効率化や生産性向上のお手伝いをしてきました。今後、仕事の価値が業務の効率化から人にしかできない創造力の発揮へと移っていく中で、私たちは変わらずにお客様の「はたらく」に寄り添い続け、すべてのお客様が「はたらく」を通じて歓びや幸せを感じることに役に⽴つ会社でありたいと考えています。

 そして、もう1つ変わらずに大切にするもの、それはリコーの原点であり創業の精神である「三愛精神」です。「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる三愛精神は、SDGs*の原則である「誰一人取り残さない社会」という考え方にも通じるものがあります。リコーは、この三愛精神に基づいて設定したマテリアリティに取り組むことで企業価値向上を図っていきます。

*SDGs(Sustainable Development Goals):持続可能な開発目標。貧困や飢餓、健康や安全衛生、経済発展、環境課題など、17の目標と169のターゲットに全世界が取り組むことによって、「誰も取り残さない」社会を2030年までに実現することを目指す。2015年9月の国連サミットで採択。

リコーの中期展望

 当社は、2025年に「はたらく場をつなぎ、はたらく人の創造力を支えるデジタルサービスの会社」となることを目指しています。まず、将来財務と位置づけているESG(環境・社会・ガバナンス)の視点から、サステナビリティやESGに関してグローバルでトップレベルの評価を受ける会社であることを基本とした上で、高まる顧客や投資家のESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。財務の視点では、オフィスサービス事業が成長を続けて全社業績を牽引し、第20次中期経営計画(以下、20次中計)の最終年度である2022年度にはROE7%*を、2025年度には10%を超える水準を継続的に創出できる経営体質の実現を目指しています。
* 2022年5月10日に、20次中計最終年度である2022年度の営業利益計画について、直近のコロナ禍からの回復状況や外部環境を考慮し、当初計画の1,000億円から900億円に見直しました。これに伴い、ROEの目標値も9%以上から7%に修正しました。

2025年 中長期目標

ありたい姿:はたらく場をつなぎ、はたらく人の創造力を支えるデジタルサービスの会社

将来財務(ESG)の視点
 ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、7つのマテリアリティに紐づく将来財務目標(ESG目標)を設定した上で活動しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)や地球環境問題、人権問題への対応などのグローバルな潮流および、経営戦略の実行力向上の観点から全社目標を設定し、各ビジネスユニットにブレークダウンして取り組んでいます。DXへの対応では、デジタルサービスの会社への変革に向けたデジタル人材の量・質の確保を図るとともに、関連特許の質の向上にも取り組みます。脱炭素社会の実現に向けては、地域性やビジネスユニット特性を踏まえた再生可能エネルギー由来の電力導入ロードマップに基づく着実なGHG(温室効果ガス)削減を進めています。循環型社会づくりについては、再生材料の活用、再生製品・部品事業の強化、お客様の循環型ビジネスモデルを支える技術・ソリューション開発に取り組んでいます。また、人権問題については、2021年に定めた人権方針に基づき人権デュー・デリジェンスを行い、取引先も含めた対応を進めています。

財務の視点
 目標達成に向けて、①社内カンパニー制導入後のPDCA*推進、②リコーらしい事業ポートフォリオ管理、③経営基盤の強化、④資本政策の確実な実行、に取り組んでいます。
*PDCA:Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Ac(t 改善)サイクル

① 社内カンパニー制導入後のPDCA推進
 2021年4月より、リコーグループは社内カンパニー制を導入しました。この体制では、事業ポートフォリオ管理の徹底による資本効率経営の実現と権限委譲による意思決定の迅速化を主な狙いとし、事業を運営する5つのビジネスユニットと、グループ本部で構成されます。当社は、社内カンパニー制導入後における効果と課題を定点観測的にリスト化し状況を把握、PDCAを回してより良い制度への進化を目指しています。

 社内カンパニー制導入の効果は、各ビジネスユニットに権限を委譲したことで、各ビジネスユニットが自律的にこの外部環境の変化に柔軟かつ迅速に対応し、危機を乗り越えることができたことです。開発・生産・販売の一気通貫の事業運営体制に移行したことで、各機能間の連携が高まり、コスト上昇分の価格転嫁、複数部品に対応するための設計変更と生産との連携などを迅速に実施することができました。

 課題としては、各ビジネスユニット内のさらなる一気通貫体制の強化および本社機能の先鋭化が挙げられます。

社内カンパニー制導入に伴う効果と課題

ビジネスユニットの自律という狙いの効果が出始めており、引き続きPDCAを回していく

効果:各ビジネスユニットが自律的に対応し、危機を乗り越えている
課題:各ビジネスユニット内の一気通貫体制の強化および本社機能のさらなる先鋭化

② リコーらしい事業ポートフォリオ管理
 これまでのオフィスプリンティング事業への依存から脱皮し、グローバルヘッドクォーターによる厳正な事業ポートフォリオ管理のもとで、デジタルサービスの会社への変革を加速します。

 当社の事業ポートフォリオ管理では、収益性と市場性という従来型のポートフォリオの切り口に加えて、新たに「デジタルサービス親和性」という観点を追加しています。この3つの観点において、各事業を客観的に評価し、「成長加速」「収益最大化」「戦略転換」「事業再生」の4つに分類しています。

 「成長加速」に分類しているのは、オフィスサービス事業と商用印刷事業です。この2つの事業は、収益性が高く、市場も拡大し勝ち筋があり、デジタルサービスとの親和性が高く、当社の成長を牽引する事業として取り組んでいきます。

 「収益最大化」に分類しているのは、オフィスプリンティング事業であり、当社の現在の稼ぎ頭として収益性を維持しながら、キャッシュの安定創出を狙い続けます。

 「戦略転換」と分類しているのは、サーマル事業と企業内印刷事業です。それぞれ状況は異なりますが、市場の拡大が見込めない、あるいはデジタルサービスとの親和性がそれほど高くない事業は、戦略転換による価値最大化を狙っていきます。

 「事業再生」に分類しているのは、産業プロダクツ事業とカメラ事業です。価値貢献に向けてさまざまな方策を検討します。

リコーらしい事業ポートフォリオマネジメントの開始

各事業をデジタルサービス親和性、および収益性と市場性の3つの軸で客観的に評価

 この事業ポートフォリオ管理の目的は、デジタルサービスの成長を推進することによる企業価値の向上にあります。
 当社のデジタルサービスは、オフィス・現場のデジタル化により、オフィスと現場をつなぎ、ワークフロー全体を変革してお客様の生産性向上に貢献します。各ビジネスユニットでは、それぞれの強みであるデジタル技術・エッジデバイス*とお客様の“はたらく”に寄り添ったサービスで、お客様の期待を超える新しい価値創造を支援していきます。
* エッジデバイス:文字・写真・音声・動画などのさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を持つネットワーク機器

リコーのデジタルサービス

お客様の“はたらく”に寄り添ったサービスと、それに貢献するデジタル技術・デバイス
➡ 各ビジネスユニットがデジタルサービスの成長に取り組む

 2021年度のデジタルサービス売上構成比は、連結売上高の42%です。2025年度には、60%を超える水 準まで引き上げることを目標としています。

デジタルサービス売上構成比の目標

2025年度に60%超を目指し、デジタルサービスの会社に変革

(注) オフィスのデジタルサービスと現場のデジタル化には、以下の事業が含まれ、非連続成長効果も見込んだ数字となります。
オフィスのデジタルサービス :オフィスサービス、オフィスプリンティング*1、エッジデバイス
現場のデジタル化 :商用印刷*2、産業印刷、サーマル、Smart Vision、社会インフラ

*1 Ricoh Smart Integration  ( 統合プラットフォーム)接続分のみ対象
*2 企業内印刷は除く

③ 経営基盤の強化
 当社は現在、OA*メーカーから脱皮し、デジタルサービスの会社へ転換しようとしています。これまでの大量生産大量消費の時代は、同じ製品をいかに品質良く効率的に作り、お届けするかが求められてきました。

 しかし現在は、社会の情報化が進み、より小さな単位での意思決定でビジネスが回るような世の中に変わりつつあります。

 そのために、特に人的資本を着実に転換していく必要があると考えています。従来の働き方を変えていかなければなりません。例えば、従来はバリューチェーンに沿って各自が決められたことをやり切ることが大切でしたが、これからは、社員が自律的に問題を発見し、課題解決にあたることが望まれます。

 この人的資本の転換のために、(A)デジタル人材の育成・獲得、(B)180の社内システムのクラウド移行を含む約7割の基幹システムの刷新、(C)リコー式ジョブ型人事制度導入(国内)による社員の自律化の促進を行っていきます。
*OA:オフィスオートメーション

デジタルサービスの会社を創る経営基盤の強化の意義

デジタルサービスの会社になるために経営基盤強化を進め、人的資本を着実に転換

④ 資本政策の確実な実行
 当社は、ステークホルダーの期待に応えながら、企業価値・株主価値を最大化することを目指しています。株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。

企業価値の最大化に向けて(~2025年度)

2021年度は厳しい経営環境に対応しつつ、施策を確実に実行 ※青字:実績または進捗

 当年度の実績、進捗状況について、「利益成長」では、資本収益性向上に向けた取り組みとして自己株式1,000億円の取得を完了し、保有自己株式を2022年2月28日に消却しました。また、「資産効率向上」では、ROIC管理を各ビジネスユニットで展開し、投下資本利益率をこれまで以上に意識し、スピードを上げて業務改善に取り組んでいます。さらに、「資本コスト最適化」では、リスクに応じた資本量最適化と負債の積極活用などに加え、企業価値向上の源泉となる人材に対する積極的な投資を推進しています。

 バランスシート・マネジメントの視点では、2020年4月にリコーリース株式会社を非連結としたことで、自己資本(純資産)比率が高くなっていましたが、今後はデジタルサービスの会社への転換に向けて、リスク評価に基づいて適切な資本構成を目指し、投資の原資に借り入れを積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投下していきます。オフィスプリンティング事業などの安定事業には負債を積極的に活用し、リスクの比較的高い成長事業には資本を中心に配分する考えです。

 事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への転換に向けて、2025年度までに成長投資で5,000億円程度を投じる計画としています。これまでに欧州で2社の買収を進め、日本においても2022年4月28日にPFU社の買収を決定するなど事業成長のためのM&A投資を着実に進めています。投資原資は、営業キャッシュ・フローを中心に有利⼦負債も活用しながら、メリハリを効かせて戦略的に実施します。

成長投資5,000億円の内訳

 また、株主還元方針としては、総還元性向50%を目安とし、配当利回りを意識した継続的な増配と機動的な自己株式取得を行う方針です。配当については、2021年度の水準から毎年、利益拡大に沿った継続的な増配を目指します。自己株式取得は、経営環境や成長投資の状況を踏まえつつ、機動的に実施し、EPS*の向上を図ってまいります。
 この株主還元方針を踏まえ、2022年度の配当見通しについては、前年度から1株当たり8円増配し年間34円とし、配当利回りを勘案して配当を実施します。加えて、2022年5月10日の取締役会で300億円を上限とする自己株式の取得を決議しました。2022年度上期中に実行し、取得した自己株式はすべて消却します。
*EPS(Earnings Per Share):1株当たり利益

株主還元方針

総還元性向50%の方針は堅持
継続的な増配と機動的な自己株式取得によるEPSの向上

 2022年度の見通し
 
20次中計は、2025年度までの中期展望を達成するための大事な道筋となります。その最終年度となる2022年度の業績見通しは、売上高2兆500億円、営業利益900億円、ROE7%とし、さらなる事業成長を目指します。2021年4月より移行した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの自律的な事業運営を進め、それぞれの市場で起こる変化に迅速に対応しながら、体質強化に向けた取り組みを加速していきます。デジタルサービスの会社を支える人材育成や、基幹システムの刷新などにも取り組み、変革に全社一丸となってデジタルサービスの成長を実現してまいります。



7つのマテリアリティに対するリコーグループの取り組みとESG目標

*1 トップスコア率:最も高い評価の選択率
*2 国内スクラムパッケージの顧客比率
*3 ICT商材不足の影響により、20%から目標を修正
*4 IPA:独立行政法人情報処理推進機構。ITSS:IPAが定めるITスキル標準。レベル0~レベル6の7段階
*5 SBT:Science Based Targets
*6 RBA:Responsible Business Alliance
*7 ISO/IEC:International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission
*8 NIST:National Institute of Standards and Technology
*9 評価スコア:リコーに対する各パートナーからの評価結果
*10 CDP:気候変動など環境分野に取り組む国際NGOによる評価
*11 ETR:External Technology Relevanceの略。他社に引用された特許の多さを示すスコア
*12 RFG:Ricoh Family Group *13 2022年6月初旬実施の第三者検証を経て確定



気候変動への対応:TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく情報開示

詳細はTCFDレポートをご確認ください。
https://jp.ricoh.com/environment/management/tcfd

 「気候変動」は、グローバル社会が直面している最も重要な社会課題の1つです。
 リコーグループでは、パリ協定を踏まえて、「2050年にバリューチェーン全体のGHG*1排出ゼロを目指す」という長期環境目標を設定しています。加えて「2030年にGHG排出スコープ1、2 63%削減、スコープ3(調達、使用、物流カテゴリー)40%削減(いずれも2015年比)」という野心的な環境目標を定めており、この目標は気候変動の国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブ*2から「SBT1.5℃」水準として認定されています。この目標達成に向け徹底的な省エネ活動を進めるとともに、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の積極的な利活用を進めるべく「RE100*3」に日本企業として初めて参加、2021年3月には再エネ使用率の2030年目標を50%に引き上げ、より野心的な目標設定としました。また、2030年までのGHG削減ロードマップを策定し、生産プロセスの改善や高効率設備の導入、物流プロセスの見直しによる徹底的な省エネ活動を進めています。2021年度より国内拠点の再エネ比率向上と質の確保を図るために独自の「再エネ総合評価制度」を導入し、本社事業所で使用する電力を100%再エネ化としました。海外については2030年までに主要拠点の再エネ化を目指し、国内外4拠点でオンサイトPPAモデル*4を導入するなどさまざまな施策を展開しています。 
 気候変動対策は重要な経営課題の1つであることから、2020年からは経営戦略に基づいた「ESG目標」の1つに「GHG排出削減目標」を位置づけ、役員など経営幹部の報酬とも連動することで実効性のある取り組みを推進しています。また、取締役会においては気候変動を含むESG課題をテーマとした議論を進め、CEOを議長とするESG委員会の監督のもと、気候変動に伴うリスクおよび機会を明確にした上で気候変動の緩和・適応に向けた活動に取り組んでいます。特に、激甚化傾向にある自然災害に対しては、リスクマネジメント計画・BCP(事業継続計画)の策定と実行によりリスク低減に努めています。さらに、製品のエネルギー効率向上およびビジネスパートナーや顧客との協働などを通じてバリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献していきます。

*1 GHG(Greenhouse Gas):温室効果ガス
*2 SBT(Science Based Targets)イニシアチブ:企業のGHG削減目標が科学的な根拠と整合したものであることを認定する国際的なイニシアチブ
*3 RE100:再生可能エネルギーへの100%転換を目指す国際的なイニシアチブ
*4 Power Purchase Agreemen(t 電力販売契約)モデル

TCFD推奨4項目への取り組みと2021年度の進展状況

気候変動リスク認識と対応
<シナリオ分析の実施と結果>
 当年度は、シナリオ分析により各リスクにおける財務影響と緊急度について再評価を行いました。「サプライヤーへの炭素税・排出量取引制度の適用」においては排出権取引がグローバルで制度化され、日本でもカーボンプライシング導入の動きを勘案して緊急度の評価を変更しました。年々増加する自然災害については、自社拠点を含むサプライチェーンにおいてどのようなリスクの影響があるか再評価した上で、特に国内における水害リスクへ対処すべくリスクの高い主要生産拠点を優先し具体的な対策への投資を決定しました。
 自然災害リスクは、先送りにすると当社にとって大きな事業インパクトが発生しかねない喫緊の課題であり、気候変動に伴う感染症リスクに関しても緊急度は高くはありませんが、一度発生すると大きな財務損失を招くことから、今後も継続的にBCPの強化を図っていきます。また気候変動に対する緩和・適応への積極的な対応は、将来の財務効果を生み出す大きな可能性があることが再確認できました。

気候変動のリスクと当社における対応
移行リスク:2℃/1.5℃シナリオ*1に基づいて分析 物理リスク:4℃シナリオ*2に基づいて分析

*1 2℃/1.5℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が2℃未満に抑えられている世界
*2 4℃シナリオ:2100年までの平均気温上昇が4℃上昇する世界
*3 影響度・緊急度は48頁「リスクレベル」をご参照ください

気候変動リスクのモニタリング
 気候変動リスクは、毎年ESG委員会において経営レベルでリスク評価を行い監督および必要な対策への投資などを決定しています。
 リスク評価においては、財務影響と緊急度の2軸で対策投資の優先順位づけを行っています。「自然災害リスク」に関しては、緊急度が高く財務影響も中程度であるため全社の重点経営リスクとして管理しています。当年度は、重要な国内における生産・開発拠点にて水害対策投資を実行しました。

財務を生み出す気候変動における機会
 リコーグループにとって気候変動は、事業リスクのみならず、自社製品・サービスの提供価値および企業価値を高める機会につながると認識しています。気候変動に取り組むことは、省エネ技術、サービスなどを活かしたお客様の脱炭素化を支援する製品やソリューションの提供、感染症対策につながるソリューションの販売拡大、環境・エネルギー分野における事業拡大、新規事業創出などの機会をもたらし、現時点で環境配慮型のオフィス機器、感染症対策ソリューション、環境エネルギー事業は1兆円規模の売上に貢献しています。

気候変動に対する機会

(注) 最新の「気候変動に対する機会」 詳細情報については後日開示予定のTCFDレポート2022をご参照ください。https://jp.ricoh.com/environment/management/tcfd

*1 スクラムアセット:日本で販売する中堅企業向けの課題適応型ソリューションモデル
*2 WTA(Work Together Anywhere): 欧州で販売するパッケージ型ソリューション
*3 エネルギーハーベスト:周辺環境に存在する光や熱、振動から発電する環境発電

脱炭素貢献製品
 リコーグループでは、お客様に環境配慮商品を提供する為、国内外の環境ラベルを積極的に取得しています。オフィス機器の省エネルギー化を推進する国際エネルギースタープログラムにおいては、2021年度に発売した製品を含む画像機器の95%がエネルギースター認証を取得し、脱炭素に貢献しています。また、省エネ・省資源・汚染予防・快適性・使いやすさを独自の厳しい基準で製品評価する「リコーサステナブルプロダクツプログラム」を運用し環境に貢献するものづくりを進めています。

ESG対応を伴う商談の増加
 近年、お客様からのESG要求が非常に高まってきています。特に、欧州の公共機関やグローバル企業はサプライヤー選定条件にESGへの取組状況を組み込む動きが加速しています。例えば、スペインの公共調達商談では価格・サービス以外に環境ラベル取得状況や省エネ性能などCSR側面の評価割合が10%以上になるケースもありました。また、国内においてはお客様から当社のESGへの取り組みについてのヒアリングが年々増加しており、顧客関係力強化に寄与しビジネスの後押しになっています。

製品再生・部品再生事業
 リコーグループでは、1994年から培ってきたリデュース・リユース・リサイクル(以下、3R)関連技術とグローバルな回収体制を活かして製品再生・部品再生事業に積極的に取り組んできました。当社独自の循環型社会実現のコンセプト“コメットサークル”に基づき3Rを推進し、再生製品のリユース部品使用率は80~90%と高いレベルを維持しています。昨今のサーキュラーエコノミーへの潮流に沿った製品ラインアップを拡充することで、お客様のニーズに応えると同時に脱炭素社会および循環型社会の実現に貢献していきます。


[ ご参考 ]「 サーキュラーエコノミーレポート2021」(2022年3月発行) https://jp.ricoh.com/info/2022/0303_1

省エネ・創エネ関連事業
 脱炭素の潮流が加速する中、日本では省エネ・創エネ関連事業も拡大しています。IT/ネットワーク機器の分野で培った監視サービスを活用しお客様の太陽光発電設備のO&M(オペレーション&メンテナンス)やEV充電設備の保守・照明空調制御システムなど省エネ・創エネ関連事業を進めています。

新しい働き方を支援するソリューション販売
 リコーグループが提供するスクラムパッケージは自社および協業パートナーのエッジデバイスやソフトウェア・クラウドサービスなどを組み合わせてお客様の新しい働き方・業務のデジタル化を支援しています。ニューノーマル時代に即したサービスを提供することでお客様の生産性向上に伴うCO2排出量削減にも貢献しています。


指標と目標

リコーグループ環境目標(脱炭素分野)
2030年目標
● GHGスコープ1、2*: 63%削減 2015年度比
● GHGスコープ3* : 40%削減 2015年度比(調達、使用、物流カテゴリー)
● 事業に必要な電力を50%再生可能エネルギーに切り替える

2050年目標
● バリューチェーン全体のGHG排出ゼロを目指す
● 事業に必要な電力を100%再生可能エネルギーに切り替える

*GHGスコープ1、2、3
・ GHGスコープ1:自社の工場・オフィス・車両などから直接排出されるGHG
・ GHGスコープ2:自社が購入した熱・電力の使用に伴うGHG
・ GHGスコープ3:企業活動のサプライチェーンの排出量(GHGスコープ1、2を除く)

2021年度実績
数値は暫定値です。2022年6月初旬実施の第三者検証を経て確定予定

気候変動関連 近年の取り組み
 リコーグループは国内外の主要なイニシアチブに率先して参加し、活動を推進しています。また、日本における気候変動対策の進展や再生可能エネルギーの拡大に向け、政府への提言も積極的に行っています。

*JCLP(Japan Climate Leaders’ Partnership):日本気候リーダーズ・パートナーシップ。持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループのこと。



ダイバーシティ&インクルージョンとワークライフ・マネジメント

 デジタルサービスの会社への変革に不可欠なイノベーションは、多様な人材が個々の能力を活かし、協働することで創出されます。それには、多様な人材が活躍でき、社員それぞれが自身のパフォーマンスを最大化できる環境が必要となります。この実現のために、「ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)」と「ワークライフ・マネジメント」を経営戦略の1つと位置づけて取り組みを進めています。

Global D&I Statement
リコーグループでは、 世界中すべての人びとの ユニークな才能、経験、知見を結集し、新たなイノベーション創出に取り組みます


D&Iとワークライフ・マネジメントの目指す姿と取り組みの軸

 その中でも、女性活躍は重点取り組みの1つであり、ESG目標を設定しています。2022年度末までに日本での女性管理職比率を7%以上に、国内・海外あわせたグローバルでの比率を16.5%以上に引き上げることを目指しています。


D&Iとワークライフ・マネジメントの取り組みのステップ

(2021年度の新たな取り組み・外部評価)
・女性や若手社員のタレントマネジメント
・グローバルD&Iポリシー発行
 ・ 内閣府「地方創生テレワークアワード(地方創生大臣賞)」受賞

2021年度実績

 当社では、多様な人材が自律的にキャリアを築き、活躍できる組織風土醸成に取り組んでいます。新規事業創出を目的とした共創プログラム「TRIBUS(トライバス)」の展開もその1つです。現在は日本のみでの取り組みとなりますが、社員の誰もが、やりたいこと、社会に価値を届けたいことをビジネスとして実現できるプログラムで、社外のスタートアップ企業も参加しています。多くの社員が、副業制度を利用して社内起業家や外部スタートアップ企業の支援に取り組むなど、自分自身の知識や経験、本業との兼ね合いで捻出できる頻度や時間などにあった形でこの活動に参加しています。また、これまでに事業化アイディアとして採択された社内起業家チームのリーダーには、職務経験が浅い人や豊富な人、自分の専門性とは異なる分野に挑戦した人などが含まれ、さまざまな人材が活躍する場が広がっています。

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