事業報告
2015年6月1日から2016年5月31日まで
2. 当社グループの現況
1. 経営戦略および事業計画
当社グループは、2017年5月期を目標年度とする「新・中期経営計画2017」を2015年7月1日に公表しております。
「新・中期経営計画2017」における宝印刷が目指す将来像は、次のとおりです。
目指す将来像
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グローバルなファイナンシャルサポート企業
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ディスクロージャー&IRのオンリーワン企業
この将来像実現のため、次の基本方針と具体的施策を定めております。
基本方針
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当社は、高品質なディスクロージャーおよびIRのサービスを提供し、お客様に感動していただける企業を目指すという基本理念のもと、海外にも眼を向けお客様の企業価値の向上とディスクロージャー制度の発展とともに成長していく。
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このため、ディスクロージャーとIRの専門会社としてツール・サービスの提供に努め更なる拡大を図るとともに、次の飛躍のために必要な新事業開拓・育成を行う。
具体的施策
- ① お客様のディスクロージャーのために役立つツールを最大限活用した積極的な販売活動を行うとともに、きめ細かいサービスによりお客様の満足度向上を図る。
- ② IPOや国際会計基準(IFRS)への対応の増加をにらみ、グループ企業と連携したコンサルティングサービスの拡大・充実を図る。
- ③ お客様のコーポレート・ガバナンス等への対応ニーズを捉えたIR事業や翻訳ビジネスの品質向上と対象品目の拡大を図る。
- ④ ディスクロージャーとIRの国際化に対応した海外関連事業の開発を図る。
- ⑤ その他、ディスクロージャーとIRに関する多様な商品・サービスを活用し、お客様のニーズに合った商品・サービスを提供し、業績の一層の拡大を図る。
「 新・中期経営計画2017」の目標計数
- ※1 ROEにつきましては長期的に8%を目標に引上げを図ってまいります。
- ※2 2017年5月期の当初計画は2015年7月1日の中期経営計画公表時の数値、現予想値は2016年7月1日公表の決算短信による数値です。なお、当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益を示します。
なお、この中期経営計画の期間満了後については、あらためてあらたな中期経営計画を策定し、公表する予定です。
2. 事業の経過およびその成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、中国や新興国経済の鈍化懸念により停滞した状態が続いております。こうした状況のもと、当社のディスクロージャー関連事業に関係が深い国内株式市場においては、
2015年夏に日経平均株価が2万円台を割り込んで以降、16,000~17,000円台での推移が長引いておりますが、国内IPO社数は底堅く推移し、4年連続の増加となりました。
一方、上場企業を取り巻く構造的な要因として、わが国政府の日本再興戦略に基づき、2015年5月に改正会社法が施行されるとともに、同年6月にコーポレートガバナンス・コードが適用され、社外取締役の導入が一気に進みました。
他方、わが国企業会計を巡る事件により、会計監査の一層の厳格化が求められるようになりました。
このような事業環境において、当社グループは、コーポレートガバナンス・コードを受けて高付加価値化した会社法関連製品の拡販および各種ディスクロージャー書類の翻訳ニーズの取り込み、
決算・開示に係る支援等のコンサルティング受注が大きく伸びました。
その結果、当連結会計年度の売上高は14,669百万円(前連結会計年度比1,199百万円増、同8.9%増)となりました。利益面については、新EDINETに対応した費用等の減少による原価率の改善により、
営業利益は1,570百万円(同664百万円増、同73.4%増)、経常利益は1,727百万円(同701百万円増、同68.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,084百万円(同505百万円増、同87.3%増)となりました。
製品区分別の状況
売上高を製品区分別にご説明いたしますと、次のとおりであります。
金融商品取引法関連製品
競争が激しい状況は続いておりますが、ファイナンス案件の増加による目論見書等の売上が増加したため、売上高は5,219百万円(前連結会計年度比214百万円増、同4.3%増)となりました。
売上高(百万円)
会社法関連製品
株主総会招集通知の売上および関連文書の翻訳の受注が増加し、売上高は3,711百万円(前連結会計年度比467百万円増、同14.4%増)となりました。
売上高(百万円)
IR関連製品
ディスクロージャー誌や機関投資家向けIRツールの売上が増加したため、売上高は3,734百万円(前連結会計年度比122百万円増、同3.4%増)となりました。
売上高(百万円)
その他製品
決算・開示に係る支援等のコンサルティングの受注や株主優待関連の売上が増加したことにより、売上高は2,003百万円(前連結会計年度比395百万円増、同24.6%増)となりました。
売上高(百万円)
4. 対処すべき課題
当社グループにとって対処すべき課題は、次のとおりであります。
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❶ 開示書類の信頼性向上
お客様のニーズを的確に捉え、ディスクロージャー関連法令等の改正に関するアドバイスや原稿作成に関するコンサルティング、効率的で使いやすい法定開示書類作成支援ツールの提供など、従来の業務のクオリティを大きく改善し、お客様の信頼に応えてまいります。
お客様に満足していただけるサービスの提供を通じて、信頼性の向上を図り、法定開示書類、任意開示書類の受注拡大を目指してまいります。
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❷ IPOにおける受注強化
当社が提供するサービスや信頼性が認められた結果、2014年、2015年と大型IPOを獲得し受注件数・金額ともに順調に推移しており、2013年より3年連続過半数のシェアを維持しております。IPOでのシェアは、その後の法定開示書類のシェアに直結し、売上獲得の安定性を左右してまいりますため、今後とも、IPOにおける受注強化を目指してまいります。
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❸ 株主総会プロセスの電子化への対応
昨年来、経済産業省で検討されてきた株主総会プロセスの電子化について具体化が進められております。また、法令に則った株主総会招集通知を作成し、
お客様企業の事業内容等を分かりやすく株主に伝えるという本質的な部分での当社の優位性は、一般印刷業者と一線を画しているものと考えています。しかしながら、中長期的には徐々に電子化されることが見込まれ、
これに対応する新サービスの開発ならびに会社法関連製品の販売増ないし他品目での売上獲得などの対応に取り組んでまいります。
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❹ 新規事業の開拓と育成
当社が更に飛躍するためには、新規事業の開拓と育成が必要と考えております。現在、当社は、お客様の人材ニーズにお応えするため、有料職業紹介事業を開始しております。紹介実績を積み上げ、飛躍させてまいります。
また、当社は、「グローバルなファイナンシャルサポート企業」を目指しており、国内企業の海外展開に必要な法定開示書類の作成、開示、翻訳の支援を強化すること、更には、今後も増加が見込まれるIFRSの任意適用企業に向けて、
IFRSに関する情報の提供やコンサルティングに注力するとともに、IFRSに対応した決算・開示の自動化を進める当社グループのシステムの拡販を進めてまいります。