当社グループが対処すべき課題

経済展望

 来期の経済環境を展望しますと、世界経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や、それに伴う人の移動制限及び経済活動の停滞により、足元で戦後最悪の危機に直面しております。したがって、今後の経営環境は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束時期に左右されるものの、極めて不確実性が高い状況にあると考えられます。各国政府・中銀はあらゆる政策手段を総動員するものの、感染拡大防止策が景気下押し圧力となることにより、需要と供給が相互に抑制しあいながら経済規模が縮小することが見込まれます。その結果、失業・企業破綻が急増することにより信用収縮や金融不安に繋がるリスクも懸念され、また、一次産品価格も極めて低い水準で推移するとみられることから、その影響を強く受ける国々や企業・金融機関に悪影響を及ぼす可能性があります。仮に来期上半期中に感染拡大がピークを迎え、その後徐々に収束に向かうとしても、家計・企業のバランスシート悪化や慎重姿勢、供給網の混乱や労働力不足により、需要と供給が適正な水準まで戻るには相当な期間を要することから、来期においては、世界経済は緩慢な回復にとどまると見込まれます。

(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、広範な分野において事業を多角的に展開する当社グループにも様々な影響を及ぼす可能性があります。金融・リース事業や輸送機関連ビジネス、石油・ガス開発、鉄鉱石、石炭、銅鉱山開発等の事業は新型コロナウイルス感染症の影響を複合的に受けるのを免れることは難しい見通しです。
 一方で、電力・インフラ事業などの安定収益型事業やアグリ事業・食料関連といった生活に欠かせないライフライン関連事業は安定的な収益基盤として当社の業績に貢献し、化学品、エネルギー等、産業全体を支えるトレード事業も商量減少による減益は避けられないものの収益貢献が継続する見通しです。これらの見通しは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、来期上半期中にピークを迎え、その後徐々に収束に向かうものの、世界経済・景気が回復基調に戻るには相当の時間を要する見込みであること、具体的には、来期下半期以降においても緩やかな回復にとどまり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、2021年度まで影響が残るという想定に基づくものです。

(2)中期経営戦略「GC2021」の修正について

 当社グループは、丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」を定めるとともに、経営戦略の基本方針「2030年に向けた長期的な企業価値向上を追求する」を明示した3ヵ年の中期経営戦略「GC2021」を策定し、2019年度よりスタートしております。2019年度の大幅赤字決算により財務基盤の早急な回復が必要になったことに加え、上述の通り新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経営環境が大幅に悪化したことから、今後、当社グループの事業活動への影響が長期化することを覚悟し、世界各国のグループ社員、顧客・パートナーの安全確保を第一に、経営基盤の強化・再構築に徹底的に取り組むべく、2020年5月7日に以下の<GC2021基本方針>及び<株主還元方針>を公表しております。

<GC2021基本方針>
「財務基盤の再生・強化」
▶ 2019年度の大幅赤字決算を受け、財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を徹底
▶ 3ヵ年累計株主還元後フリー・キャッシュ・フローの黒字により債務返済を優先し、2021年度末のネットDEレシオ1.0倍程度へ

「事業戦略の強化」
▶ GC2021で掲げる成長戦略の基本方針は変えない
▶ 既存事業基盤の強化と新たなビジネスモデル創出により中長期的な企業価値向上を追求する
 ●コスト削減を含む既存事業の強化・底上げを徹底し、持続的かつ強靭な事業基盤を構築する
 ●新型コロナウイルス感染症収束後の世界経済、社会課題、成長領域、ビジネスモデルの変化を見据え、資産の入れ替え・優良化に取り組む
 ●過去の事業投資パフォーマンスを総括し、リスクマネジメントの更なる充実・強化を図る

<株主還元方針>
▶ 連結配当性向25%以上を維持し、各年度における配当金は期初に公表する予想配当金を下限とする現行の配当方針を継続
▶ 2020年度の配当金については、15円/株(中間 7.5円/株、期末 7.5円/株)とし、これを下限とする
▶ 財務基盤の再生・強化を優先し、GC2021期間中の自己株式の取得は実施しない

(3)当社グループの事業推進における個別のリスクについて

 当社グループが事業を推進するにあたり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があると考える個別のリスクは次の通りです。

<長期性資産に係るリスクについて>
 当社グループは、第三者への販売・貸与あるいは自らの使用を目的として、不動産、機械装置等の有形固定資産を有しております。また、当社グループは、事業拡大を目的として、事業会社の株式や持分を取得し、当該事業会社の経営に参画しておりますが、これらの中には、資源開発事業のように多額の資本的支出を伴うものや、当社がマジョリティを持たずに持分法で会計処理される投資(以下、持分法投資)を通じて事業を行っているものも含まれます。これらの長期性資産は、潜在的に、資産価値の下落、投下資金の回収不能、撤退時の追加損失発生等のリスクを有しております。

 当社グループは、IFRSに準拠してこれらの長期性資産の適切な減損処理を適時に行っておりますが、将来的に事業計画の見直しや保有方針の転換等の理由により資産価値が著しく減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、企業買収に伴い、のれんを含む相当額の無形資産を連結財政状態計算書に計上しております。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産についてはIFRSに準拠し、定期償却を行っておりません。当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び事業統合による将来のシナジー効果が発揮された結果得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が得られないと判断された場合、又は適用される割引率が高くなった場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

石油・ガス開発事業
 当社グループが参画する石油・ガス開発事業において生産・販売する原油及び天然ガス等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動、主要産油国の政局・地政学的情勢や、上述の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等、当社グループが管理できない要因により変動する可能性があります。
 当社グループの参画する石油・ガス開発事業における長期性資産の金額は約1,200億円であり、主な内容は有形固定資産(米国メキシコ湾、英領北海等)であります。
 なお、これらの石油・ガス開発事業における埋蔵量、生産量、操業費用、生産坑井掘削及び生産設備の建設等の開発費用、探鉱費用、廃坑費用等、また、これらを前提とする事業計画は、商品価格の変動や、技術的・経済的要因の他、主導する共同事業者の方針、天候・環境、資材調達、資金調達、当局による規制等の影響により、修正となる可能性があります。

銅事業・鉄鉱石事業
 当社グループが参画する銅事業・鉄鉱石事業において、銅価格や鉄鉱石価格等の市況商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、為替変動、地政学的情勢や、上述の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等、当社グループが管理できない要因により変動する可能性があります。
 当社グループの参画する銅事業の長期性資産の金額は約2,200億円であり、主な内容は持分法投資(チリのミネラロスペランブレス銅鉱山、ミネラセンチネラ銅鉱山、ミネラアントコヤ銅鉱山)であります。また、鉄鉱石事業の長期性資産の金額は約1,200億円であり、主な内容は持分法投資(豪州のロイヒル鉄鉱山)であります。
 なお、これらの持分法投資は、第三者から提供されたデータや、市況状況、ファンダメンタル等を考慮の上で、当社グループとして策定した価格見通しを使用した事業計画に基づいて評価しておりますが、商品価格や生産量の変動、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出の高騰、事業環境の変化及び電力・水等のインフラに起因するオペレーション上の問題等が生じた場合には、事業計画が修正される可能性があります。

エアキャッスル社への投資
 当社グループの持分法適用会社であるエアキャッスル社は、全世界のエアラインに対し航空機のリースを行っております。このため、航空旅客需要の悪化、燃油価格の高騰、為替変動等によりエアラインの支払能力が著しく悪化又は倒産した場合、またリース料率の低下や保有する航空機の資産価値が著しく下落した場合に、同社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。航空旅客需要を悪化させる要因としては、戦争やテロ行為、伝染病や自然災害、航空機事故等が想定されます。また、リース先エアラインは世界各国に分散していることから、各国及び国際間の法規制の変更や、経済制裁等の地政学上のリスクの影響を受ける可能性があります。同社への投資にあたっては、これら事象による一時的な業績の悪化を考慮しながらも、中長期的な航空旅客需要の伸びに牽引されて成長を続ける前提での事業計画に基づいて評価をしておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により航空機需要の低迷が長期化し、それに伴う競争激化や、機体価値の下落等による収益率の悪化により、当社想定よりも成長が鈍化する場合には、事業計画を修正する可能性があります。
 なお、同社向けの投資金額は約1,465億円であります。

<重要な訴訟(Sugar訴訟)について>
 当社グループの国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続きの対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当社はインドネシアの企業グループであるSugar Groupに属する企業(以下、Sugar Group)を相手にした訴訟(以下、旧訴訟)について、2011年にインドネシア最高裁判所(以下、最高裁)において当社の勝訴が確定したにもかかわらず、Sugar Groupから、旧訴訟と請求内容が同一である別途訴訟(以下、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟)を提起され、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟につき最高裁で当社の敗訴が一旦確定しておりますが、当社はインドネシア最高裁に対して司法審査(再審理)を申し立て現在も係争中です。また、当社はSugar Groupの不法行為による当社の信用棄損等を原因としてSugar Groupに対し損害賠償請求訴訟を提起しておりますが、これに対し、Sugar Groupは当該訴訟の手続きの中で、当社に対して当該訴訟の提起が不法行為であるとして損害賠償請求訴訟(以下、反訴)を提起し、現在も中央ジャカルタ地裁にて係争中です。当社に不利な裁定を最高裁が下したグヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟並びに中央ジャカルタ地裁にて現在係争中の反訴の今後の趨勢や裁判手続次第では、敗訴判決に基づく損害賠償額・金利・訴訟費用の合計金額の全部又は一部について当社が負担を強いられ損失を蒙る等、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。各訴訟の詳細及び経緯については「その他の当社グループの現況に関する重要な事項」における説明をご参照願います。

(注)

南ジャカルタ訴訟においては被告に丸紅欧州会社も含まれるため、丸紅欧州会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

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2020/06/19 12:00:00 +0900
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