当社グループが対処すべき課題

経済展望

 来期の経済環境の展望は以下のとおりであります。
 世界全体では、新型コロナウイルス感染症のワクチン・治療薬の普及に伴い厳しい活動制限の導入は概ね回避され、消費主導の経済成長が見込まれます。ただし、中国では新型コロナウイルス感染症の局所的封じ込めを目的とした厳格な規制が消費を抑制する可能性があります。米国では良好な雇用環境に支えられて比較的堅調な経済成長が持続するものの、財政政策による景気押し上げ効果の剥落等により景気拡大のモメンタムは弱まるとみられます。また、ロシア・ウクライナ情勢を受け、同地域と経済的関係が深い欧州を中心に経済の先行き不透明感が強い状況が続くほか、一次産品価格の高止まりにより世界の多くの地域で物価上昇率が高い状態が継続し、消費や投資の重しとなる懸念もあります。
 金融環境については、先進国の中央銀行が高インフレに対処すべく金融引き締めの動きを進めるとみられ、経済構造の脆弱な新興国から資金が流出する懸念が強まります。こうした環境下、世界経済は堅調を維持しつつも拡大ペースが鈍化するとみられます。

ロシア関連ビジネスへの取り組み方針

 当社グループは、ロシア・ウクライナ情勢と人々の安全を憂慮しており、非常事態の中で不安を抱えながら日々を過ごしている方々が多くいる現状に深く心を痛めております。犠牲となられた方々にお悔やみ申し上げますと共に、被害に遭われた方々や心を痛めている全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。当社グループは、現在行われている国際的な外交努力を強く支持しております。平和的解決への努力により、事態が改善・収束することを心から願っております。
 当社グループは、日本政府が国際社会と協調するロシアに対する制裁方針を遵守致します。ロシア関連新規取引については制裁方針の対象とならないケースも含めて凍結とし、既存取引についても可能な限り解約を交渉する方針としております。
 今後も、個別案件への対応を含めて情報を収集し状況を精査しつつ、人々の安全確保を第一に考えながら、政府をはじめとする関係各所とも協議の上、適切な対応を検討してまいります。
 なお、当連結会計年度末における当社グループのロシア向けリスクエクスポージャー(※1)は123億円であります。
(※1)当社及び連結子会社の保有資産のうち、長期与信、固定資産、投資等の長期性資産の金額の合計。

(参考)
 当連結会計年度末におけるエアキャッスル社(米国航空機リース事業における当社の持分法適用会社)の当社持分考慮後のロシア向け機体簿価は51億円(※2)であります。
(※2)ロシア向けにリースしている航空機の機体簿価からリース先より預かっている預託金等を差し引き当社持分を考慮した金額は29億円であります。

中期経営戦略について

(a)前中期経営戦略「GC2021」定量目標の達成状況
 前中期経営戦略「GC2021」における定量目標に対する実績は以下のとおりです。

(※)

修正GC2021において1.0倍程度に修正

(b)中期経営戦略「GC2024」
 中期経営戦略「GC2024」では、前中期経営戦略「GC2021」において定めた2030年に向けた丸紅グループが目指す長期的な方向性を継続し、社会・顧客の課題と向き合い、新たな価値を創出します。

<中期経営戦略「GC2024」基本方針>
 ○既存事業の強化と新たなビジネスモデル創出を重層的に追求し、着実な収益の柱を育成・確立
 ○「グリーン事業(*1)の強化」、「全事業のグリーン化推進」によりグリーンのトップランナーへ

「グリーン事業の強化」
・強固な事業基盤、高い競争力を有する既存グリーン事業の強化・拡大
・既存の事業基盤・ネットワークの活用、全社横断的な取組みの推進による新たなグリーン事業の創出
(*1)脱炭素・循環経済等、地球環境に対しポジティブな影響を与えるサステナブルな事業、およびそれらの事業が必要とし且つ代替困難な原材料等を供給する周辺領域

「全事業のグリーン化推進」
・環境負荷の低減、循環経済への移行を全事業領域において追求
・顧客・パートナーとの協働による持続可能なサプライチェーンの構築
・脱炭素社会への移行に欠かせない取組み(天然ガス・LNG等)

■事業指針SPP

 当社は事業指針SPPに則り、新規投資を戦略的に厳選するとともに、既存事業の強化及び回収・資産入替えの促進を図り、丸紅グループ全体の事業ポートフォリオの価値最大化を引き続き目指していきます。

「Strategy」
・各分野における在り姿と現状のギャップを埋めることと定義し戦略ありきを徹底
・DXによる事業戦略の変革、実行の高速化

「Prime」
・丸紅グループによる主体的な事業戦略の実行
・マジョリティ投資、もしくはパートナーとの相互補完による主体的な事業価値向上を追求

「Platform」
・丸紅グループのPlatformを拡充・活用し、社内外の知の掛け合わせにより価値を創造
・地域・分野・商品等の拡がりが見込める事業をPlatformとした長期的な事業価値向上を追求

■収益力強化

 ROIC(*2)/CROIC(*3)・RORA(*4)により資本効率・リスクリターン効率を定期的にモニタリングすることで、資産の優良化を図り、ROEの向上を目指します。
(*2)ROIC:投下資本利益率 (Return On Invested Capital)
(*3)CROIC:投下資本キャッシュリターン (Cash Return On Invested Capital)
(*4)RORA:リスクアセット利益率 (Return On Risk Asset)

■人財戦略
 「丸紅人財エコシステム」を進化させ、企業価値の源泉となるグループ人財の成長・活躍を促進します。
・ミッションを核とする人事制度 :実力本位の徹底とチャレンジの促進
・多様な人財の活躍・育成    :働く環境の最適化と人財育成の強化
・タレントマネジメントコミッティ:社長・CAO・CSO主導による人財戦略の推進

<中期経営戦略「GC2024」の定量目標>
中期経営戦略「GC2024」における定量目標は以下のとおりとし、中長期的な企業価値向上を追求します。

<中期経営戦略「GC2024」における資本配分方針・株主還元方針>
■資本配分方針:財務基盤の継続的な充実・強化に取り組みつつ、成長投資および株主還元を強化
・基礎営業キャッシュ・フローの最大化
・3ヵ年累計の株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字維持(運転資金の増減等を除く)

 3つのホライゾン(ホライゾン1:既存事業の充実、ホライゾン2:既存事業領域の戦略追求、ホライゾン3:White Space=現状では取り込めていない成長領域、新たなビジネスモデルの創出)ごとの新規投資・CAPEX
の計画は以下の通りです。

ホライゾン1・2 8,000億円から9,000億円
ホライゾン3   1,000億円から2,000億円

 基礎営業キャッシュ・フローの最大化により生じるフリーキャッシュは成長投資、自己株式取得、内部留保(将来を見据えた投資余力)等に充当します。

■株主還元方針:配当金の3ヵ年下限を設定し、機動的な自己株式の取得を実施

「配当」
・現行の連結配当性向「25%以上」を維持し、利益成長を通じた配当金の増額を目指す
・2022年度期初に公表する年間配当金をGC2024期間の年間配当金の下限とする

「自己株式の取得」
・資本効率の改善および1株当たりの指標改善等を目的として、機動的に実施
・実施のタイミング・金額は経営環境等を踏まえて判断

当社グループのサステナビリティ

当社グループのサステナビリティのこれまでの歩み
 当社グループのサステナビリティとは、環境や社会の要請を先取りしてプロアクティブにソリューションを提供し、経営理念を実践することです。

 当社グループは、サステナビリティを実践するための最も重要な要素として、人財、経営基盤、ガバナンスの3つを「基盤マテリアリティ」に特定しています。また、基盤マテリアリティを活用して取り組むべき課題「環境・社会マテリアリティ」として、気候変動、森林経営、人権、サプライチェーンの4つを特定しました。こうした課題にグループ全体で取り組むことによって環境・社会価値を創出し、それが当社グループの持続的成長ならびに企業価値の向上に繋がるものと認識しています。

『気候変動長期ビジョン』の策定
 当社グループがサステナビリティを目指す上で、気候変動は国境を越えた喫緊の課題の一つです。気候変動が当社事業にもたらす中長期的な影響に鑑み、2021年3月に『気候変動長期ビジョン(以下、長期ビジョン)』を公表しました。
 長期ビジョンにおいて当社グループが目指しているのは、2050年までにグループのGHG(Greenhouse Gas)排出ネットゼロを達成するとともに、事業を通じて社会の低炭素化・脱炭素化に貢献することです。これらを同時に推進することで、気候変動問題に対してポジティブインパクトを創出し、成長する企業グループを目指します。

※『気候変動長期ビジョン』についての詳細は、2021年3月9日公表「『気候変動長期ビジョン』
~温室効果ガス排出のネットゼロに向けて~」をご覧ください。

https://www.marubeni.com/jp/news/2021/release/00022.html

 また、気候変動が当社事業にもたらす「機会」および「リスク」の把握、情報開示の拡充にも取り組んでいます。2021年度は、気候変動の影響を受ける可能性が相対的に高い10事業についてシナリオ分析を実施し、分析結果を踏まえた対応方針・戦略を気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)の提言に沿って開示することで、気候変動に関連する戦略の強靭性を示しています。

※TCFD提言に基づく情報開示の詳細はこちらをご覧ください。

https://marubeni.disclosure.site/ja/themes/15/?id=anc_02

※このほか、当社グループのサステナビリティに向けた取り組みの詳細は、「サステナビリティ説明会第3回2022年4月」をご覧ください。

https://marubeni.disclosure.site/ja/themes/11/?id=anc_04_02

当社グループの事業推進における個別のリスクについて

 当社グループが事業を推進するにあたり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があると考える個別のリスクは次の通りです。

<長期性資産に係るリスクについて>
 当社グループの保有する長期性資産の中には、不動産・機械装置等の事業用資産に加えて、資源権益への投資や、企業買収時に認識するのれんを含む無形資産、当社がマジョリティを持たずに持分法で会計処理される投資(以下、持分法投資)等が含まれております。

 当社グループは、これらの長期性資産について、IFRSに準拠し、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額の見積りを行い、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。なお、耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。
 しかしながら、経済及び業界環境の変化や、事業計画の見直し、保有方針の転換等の理由により、現時点の想定に比べて資産価値が著しく下落した場合には、減損損失や、投下資金の回収不能、撤退時の追加損失等が発生し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

石油・ガス開発事業
 当社グループが参画する石油・ガス開発事業において生産・販売する原油及び天然ガス等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、在庫調整、為替変動、主要産油国の政策・地政学的情勢や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等、当社グループが管理できない要因により変動する可能性があります。
 当社グループの参画する石油・ガス開発事業における長期性資産の金額は約1,000億円であり、主な内容は有形固定資産(米国メキシコ湾等)であります。
 なお、これらの石油・ガス開発事業における埋蔵量、生産量、操業費用、生産坑井掘削及び生産設備の建設等の開発費用、探鉱費用、廃坑費用等、また、これらを前提とする事業計画は、商品価格の変動や、技術的・経済的要因の他、主導する共同事業者の方針、天候・環境、資材調達、資金調達、当局による規制等の影響により、修正となる可能性があります。

銅事業・鉄鉱石事業
 当社グループが参画する銅事業・鉄鉱石事業において、銅価格や鉄鉱石価格等の商品価格は、世界及び各地域での需給の不均衡、景気変動、為替変動、地政学的情勢や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等、当社グループが管理できない要因により変動する可能性があります。
 当社グループの参画する銅事業の長期性資産の金額は約2,600億円であり、主な内容は持分法投資(チリのミネラロスペランブレス銅鉱山、ミネラセンチネラ銅鉱山、ミネラアントコヤ銅鉱山)であります。また、鉄鉱石事業の長期性資産の金額は約1,800億円であり、主な内容は持分法投資(豪州のロイヒル鉄鉱山)であります。
 なお、これらの持分法投資は、第三者から提供されたデータや、市況状況、ファンダメンタル等を考慮の上で、当社グループとして策定した価格見通しを使用した事業計画に基づいて評価しておりますが、商品価格や生産量の変動、生産・輸送設備の維持に伴う資本的支出及び営業的支出の高騰、事業環境の変化及び電力・水等のインフラに起因するオペレーション上の問題等が生じた場合には、事業計画が修正される可能性があります。

エアキャッスル社への投資
 当社グループの持分法適用会社であるエアキャッスル社は、全世界のエアラインに対し航空機のリースを行っております。このため、航空旅客需要の悪化、燃油価格の高騰、為替変動等によりエアラインの支払能力が著しく悪化又は倒産した場合、またリース料率の低下や保有する航空機の資産価値が著しく下落した場合に、同社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 航空旅客需要を悪化させる要因としては、戦争やテロ行為、伝染病や自然災害、航空機事故等が想定されます。また、リース先エアラインは世界各国に分散していることから、各国及び国際間の法規制の変更や、経済制裁等の地政学上のリスクの影響を受ける可能性があります。同社への投資にあたっては、これら事象による一時的な業績の悪化を考慮しながらも、中長期的な航空旅客需要の伸びに牽引されて成長を続ける前提での事業計画に基づいて評価をしておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による航空旅客需要の低迷が長期化し、それに伴う競争激化や、機体価値の下落等による収益率の悪化により、当社想定よりも成長が鈍化する場合には、事業計画を修正する可能性があります。
 なお、同社向けの投資金額は約1,310億円であります。

<重要な訴訟(Sugar訴訟)について>
 当社グループの国内及び海外における営業活動が訴訟、紛争又はその他の法的手続きの対象になることがあります。対象となった場合、訴訟等には不確実性が伴い、その結果を現時点で予測することは不可能です。訴訟等が将来の当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
 当社はインドネシアの企業グループであるSugar Groupに属する企業(以下、Sugar Group)を相手にした訴訟(以下、旧訴訟)について、2011年にインドネシア最高裁判所(以下、最高裁)において当社の勝訴が確定したにもかかわらず、Sugar Groupから、旧訴訟と請求内容が同一である別途訴訟(以下、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟)を提起され、グヌンスギ訴訟及び南ジャカルタ訴訟につき2017年に最高裁で当社の敗訴が一旦確定しておりますが、当社はインドネシア最高裁に対して司法審査(再審理)を申し立てました。このうち、南ジャカルタ訴訟については、当社は最高裁再審理決定の決定書を、2020年12月30日に受領しております。当該決定書には、2020年8月24日付で当社の司法審査(再審理)請求を認容し、当社が2017年5月17日に受領した当社敗訴の南ジャカルタ訴訟最高裁判決を取り消した上で、原告であるSugar Groupの請求を全て棄却する旨が記載されております。他方、グヌンスギ訴訟については、当社は、2018年10月8日付で当社の司法審査(再審理)申立を不受理とする旨の最高裁再審理決定の決定書を、2020年2月3日に受領しております。当社は、2020年5月18日、最高裁に対して2回目の司法審査(再審理)を申し立てましたが、申立書類の提出先であるグヌンスギ地方裁判所(以下、グヌンスギ地裁)は2020年5月20日付で、最高裁再審理決定と旧訴訟最高裁判決間の矛盾の不存在を理由に当社の申立を受理せず申立書類を最高裁に回付しないことを決定しました。しかしながら、インドネシア最高裁判所法等関連法令上、かかる判断は司法審査(再審理)の実施機関である最高裁の職責に属する事項であるとされており、グヌンスギ地裁の決定が不当であることは明らかであること、また、上述の通り当社が勝訴した南ジャカルタ訴訟司法審査(再審理)の結果を踏まえて、当社は最高裁に対して、改めてグヌンスギ訴訟に関する2回目の司法審査(再審理)を2021年5月31日付で申し立て、グヌンスギ地裁に受理されました。
 また、当社はSugar Groupの不法行為による当社の信用毀損等を原因としてSugar Groupに対し損害賠償請求訴訟を提起しておりますが、これに対し、Sugar Groupは当該訴訟(以下、本訴)の手続きの中で、当社に対して当該訴訟の提起が不法行為であるとして損害賠償請求訴訟(以下、反訴)を提起しておりましたところ、インドネシア・中央ジャカルタ地方裁判所は、2020年12月3日、当社の本訴請求及びSugar Groupの反訴請求をいずれも棄却する旨の第一審判決を言い渡しました。当社は、2020年12月15日付で本訴につきジャカルタ高等裁判所に控訴していたところ、当社は、本訴請求及び反訴請求をいずれも棄却するとの第二審判決を2021年11月8日付で受領しました。これを受けて、当社は、2021年11月19日付で本訴につき最高裁に上告し、現在も係争中です。
 当社に不利な裁定を最高裁が下したグヌンスギ訴訟等Sugar Groupとの一連の訴訟の今後の趨勢や裁判手続次第では、敗訴判決に基づく損害賠償額・金利・訴訟費用の合計金額の全部又は一部について当社が負担を強いられ損失を蒙る等、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります(注)。各訴訟の詳細及び経緯については「その他の当社グループの現況に関する重要な事項」における説明をご参照願います。

(注)

南ジャカルタ訴訟においては被告に丸紅欧州会社も含まれております。


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2022/06/24 12:00:00 +0900
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