事業の経過及びその成果

(1) 企業環境

 当期の世界経済は、概ね堅調に推移しました。米国では個人消費や設備投資の増加により経済が拡大しました。欧州では景気回復の動きが緩慢なものとなりました。また、中国では安定成長が維持され、その影響を受けた中国以外のアジア各国でも経済の持ち直しの動きが続きました。国際商品市況では、原油の減産効果が薄れたため、下半期に原油価格が下落しました。また、通商問題の拡大及び長期化リスクが意識されたため、ニッケル、アルミ、銅などの商品価格の低迷が続きました。
 国内経済は、低失業率にも支えられ個人消費が堅調に推移し、設備投資も引き続き回復に向かいました。また、輸出が概ね安定した一方で、上半期におけるエネルギー価格の上昇により輸入額が増加し、貿易赤字に転化しました。

(2) 全体業績及び財政状態

① 全体業績

 当期の親会社の所有者に帰属する当期利益(注1)は3,205億円となり、前期に比べ120億円の増益となりました。一過性損益については、マダガスカルニッケル事業で減損損失を計上したことなどから約80億円の損失となったことに加え、前期に米国税制改正の影響などによる約230億円の利益を計上したことの反動減から、前期に比べ約310億円の減益となりました。
 一過性を除く業績は約3,290億円となり、前期に比べ約440億円の増益となりました。そのうち、資源ビジネス(注2)は、主に資源価格の上昇により豪州石炭事業などで増益となりました。非資源ビジネス(注3)は、北米鋼管事業が市況回復に伴い増益となったことに加え、電力EPC案件に係る建設工事が進捗したことや、不動産事業が堅調に推移したことなどにより増益となりました。

② 財政状態

(a) 資産、負債及び資本の状況

 当期末の資産合計は、米国タイヤ事業の再編等に伴う減少があった一方で、円安に伴う増加や営業債権及び棚卸資産の増加があったことなどから、前期末に比べ1,459億円増加し7兆9,165億円となりました。
 資本のうち親会社の所有者に帰属する持分(注1)は、親会社の所有者に帰属する当期利益の積み上げにより、前期末に比べ2,133億円増加し2兆7,715億円となりました。
 現預金ネット後の有利子負債は、前期末に比べ944億円減少し2兆4,271億円となりました。
 この結果、ネットのデット・エクイティ・レシオ(注2)は、0.9倍となりました。

(b) キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、ビジネスの伸長に伴い運転資金が増加した一方で、コアビジネスが着実に資金を創出したことにより基礎収益キャッシュ・フローが2,900億円のキャッシュ・インとなったことなどから、合計で2,689億円のキャッシュ・インとなりました。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、米国タイヤ事業の再編やインドネシア商業銀行の売却など資産入替えによる回収が約2,400億円あった一方で、インド特殊鋼事業への参画やチリ銅鉱山事業(ケブラダ・ブランカ)の権益取得など、約3,000億円の投融資を行ったことなどから、513億円のキャッシュ・アウトとなりました。
 これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローに投資活動によるキャッシュ・フローを加えたフリーキャッシュ・フローは、2,176億円のキャッシュ・インとなりました。
 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、2,332億円のキャッシュ・アウトとなりました。
 以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ68億円減少し6,604億円となりました。

③「中期経営計画2020」における配当方針

 当社は、株主の皆様に対して長期にわたり安定した配当を行うことを基本方針としつつ、中長期的な利益成長による配当額の増加を目指して取り組んでいます。
 2018年度からの3か年を対象とする「中期経営計画2020」においては、連結配当性向30%程度を目安に、基礎収益やキャッシュ・フローの状況等を勘案のうえ、配当額を決定することとしています。
 2018年度の年間配当金は、当期の親会社の所有者に帰属する当期利益が3,205億円となったことを踏まえ、1株当たり75円としています(前期年間配当金実績62円)。中間配当金は37円でしたので、当期の期末配当金として、1株当たり38円を本年6月に開催予定の定時株主総会にてお諮りすることとします。
 なお、2019年度の年間配当金予想額については、後記の対処すべき課題「中期経営計画2020」の推進 の「④ 配当方針」に記載のとおりです。

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2019/06/21 15:00:00 +0900
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