事業の経過及びその成果

(3) セグメント別の状況

① セグメント別当期利益又は損失

 2018年4月に、メガトレンドや事業環境の変化を踏まえ、「中期経営計画2020」における成長戦略を強力に実行する体制を整備するため、事業部門の編成を事業分野や機能の面から戦略的に見直し、5事業部門から6事業部門に再編しました。各事業部門にて機動性高くビジネス環境の変化に対応しながら、組織間の連携を加速し、収益の柱を更に太くしていきます。



② 事業部門別の事業活動

金 属

事業部門

事業概要

  • 薄板・厚板・線材などの鋼材及び油井管・ラインパイプなどの鋼管をはじめとした鉄鋼製品並びにアルミ・チタンなどの非鉄金属製品の取引
  • 鋼材・鋼管・非鉄金属の各種加工及び関連事業

▶業績概要

 金属事業部門では、前期に米国税制改正に伴う一過性利益を計上したことによる反動減があったものの、北米鋼管事業が市況回復に伴い増益となったことや、海外スチールサービスセンター事業が堅調に推移したことなどから、前期に比べ50億円増益の405億円となりました。

2018年度の総括

 鋼材分野では、鋼材事業の一部を住友商事グローバルメタルズ及び住商メタレックスに移管しました。これにより、今まで以上に機動的にかつ多様な人材を生かして事業を遂行していきます。鋼管分野では、国内鋼管市場における事業環境の変化に対応し、持続的成長を図るため、メタルワンと国内鋼管事業の統合に合意しました。また、油井・ガス井用の機器システムを開発しているノルウェーの新興企業に出資しました。同社の開発した革新的な機器システムにより、油井・ガス井の生産性を高め、より安全かつ安定的な操業を可能にするソリューションを提供していきます。軽金属分野では、アルミ製錬事業の収益安定・強化を図るため、当社が出資するマレーシアのアルミ製錬事業会社を通じて、オーストラリアのアルミ原料生産事業に参画しました。

アルミ原料生産工場(オーストラリア)

輸送機・建機

事業部門

事業概要

  • 船舶、航空機、自動車、自動二輪車、建設機械、鉱山機械、農業機械、産業車両及びこれらの関連設備機器・関連部品の取引並びにこれらに関する事業
  • リース・ファイナンス事業

▶業績概要

 輸送機・建機事業部門では、建機販売及び建機レンタル事業が堅調に推移した一方、前期に米国税制改正に伴う一過性利益を計上したことによる反動減などから、前期に比べ188億円減益の520億円となりました。

2018年度の総括

 リース・船舶・航空宇宙分野では、三井住友フィナンシャルグループとの共同リース事業(一般リース、オートリース及び航空機リース事業)の再編が完了しました。また、革新的な物流・移動サービスの実現を目指し、エアモビリティによる輸送サービス(注1)を展開する米国の有力企業と業務提携しました。自動車分野では、住友三井オートサービスが、顧客の多様なニーズや課題に対応する商用車のファイナンス・リース事業に参画したほか、乗用車を毎月定額で利用し、一定期間後に別の新車に乗り換えることができるサービスを展開する新会社を設立しました。建設機械分野では、顧客の幅広いニーズに応えながら、販売・レンタル事業を拡大したほか、車両・機械の運行管理の効率化や省力化を目的として、テレマティクス(注2)やIT精密農業(注3)を推進する事業に参画しました。

米国エアモビリティ事業会社が開発している無人物流ドローン(イメージ)
  • (注1)垂直離着陸できる電動小型航空機などを用いて、都市部における移動時間の短縮、山間部などにおける移動の利便性の向上、輸送の迅速化などを実現するサービス。
  • (注2)車両などの移動体に通信機器を搭載し、遠隔で運行状況等の情報を送受信する仕組み。
  • (注3)ICT等の先端技術を活用し、農作業の自動化・効率化や生産性の向上が可能となる農業。

インフラ

事業部門

事業概要

  • 電力・上下水道・鉄道・空港・スマートシティ開発などの社会インフラ事業
  • 太陽光発電・風力発電などの再生可能エネルギー関連事業
  • 次世代電池・リサイクルなどの環境関連事業
  • 工業設備などの産業インフラ事業
  • 物流・保険・海外工業団地関連事業

▶業績概要

 インフラ事業部門では、大型EPC案件に係る建設工事が進捗したことや、発電事業が堅調に推移したことなどから、前期に比べ287億円増益の644億円となりました。

2018年度の総括

 各国の社会・産業のニーズに応じたインフラ整備・拡充を通じて、地球環境との共生及び地域と産業の発展に貢献する取組を推進しています。先進国では、環境配慮型インフラ整備を重点分野とし、再生可能エネルギー発電事業を推進しました。ベルギーやフランスにおいて洋上風力発電事業に参画したほか、国内では、山形県酒田市におけるバイオマス発電所や福島県南相馬市における太陽光発電所の第二期工事が竣工し、運転を開始しました。新興国では、モザンビークのガス焚き複合火力発電所の完工やベトナムの第三タンロン工業団地の操業開始など、増大するインフラ需要に応える取組を着実に実行しました。また、新たな分野での取組として、サブサハラの分散型電源事業やミャンマーの港湾ターミナル運営事業に参画しました。

欧州洋上風力発電所

メディア・デジタル

事業部門

事業概要

  • ケーブルテレビ、多チャンネル番組供給、テレビ通販事業及びデジタルメディアなどのメディア事業
  • ICTプラットフォーム・ITソリューション事業、グローバルCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)事業(注1)などのデジタル事業
  • 情報通信インフラ事業及び付加価値サービス事業などのスマートプラットフォーム事業(注2)

▶業績概要

 メディア・デジタル事業部門では、国内主要事業会社やミャンマー通信事業などが堅調に推移した一方、前期に保有有価証券のIPO評価益やクオカード事業の売却益を計上したことによる反動などから、前期に比べ115億円減益の475億円となりました。

2018年度の総括

 ジュピターテレコム(ケーブルテレビ事業)、ジュピターショップチャンネル(テレビ通販事業)、SCSK(ITサービス事業)、ティーガイア(携帯電話販売事業)、ミャンマーでの通信事業等、既存事業の強化に注力するとともに、さまざまな新規事業に取り組みました。メディア分野では、米国の有力パートナーと提携し、動画クリエイターの育成や動画広告の制作・配信等を行う新会社を設立しました。デジタルビジネス分野では、全社的なデジタルトランスフォーメーション(注3)の推進組織(DXセンター)を設置し、デジタル技術の活用による既存事業のバリューアップや新規事業の創出に取り組みました。スマートプラットフォーム分野では、東南アジア最大級の通信事業会社と提携し、その傘下のデジタル広告事業(注4)会社に出資しました。

  • (注1)当社事業とのシナジー効果の獲得を目的としたベンチャー投資を行う事業。
  • (注2)最先端のICT技術等を活用した新しい情報通信サービス・製品の基盤となる事業。
  • (注3)IoT、ビッグデータ、AIといった革新的なデジタル技術の進化を背景に、さまざまなビジネス領域で最先端のICT技術を活用した既存事業の高度化・新規事業開発。
  • (注4)携帯電話の顧客情報やモバイル・インターネット上での個人の行動パターン等を解析し、その人に合った電子広告を配信する事業。
  • (注5)「エコシステム」とは、生物学における「生態系」に由来するもので、企業や団体、顧客をはじめとする多数の要素が集結し、分業と協業によって共存共栄する関係をいう。

生活・不動産

事業部門

事業概要

  • 食品スーパー・ヘルスケアなどのライフスタイル・リテイル事業
  • 青果・食肉・砂糖などの食料・食品の生産・加工・流通事業
  • 木材・建材・バイオマスなどの生活資材及び総合不動産事業

▶業績概要

 生活・不動産事業部門では、欧米州青果物生産・卸売事業の業績が低迷したものの、不動産事業が堅調に推移したことや、アジアバナナ事業が販売価格回復に伴い増益となったことなどから、前期に比べ76億円増益の421億円となりました。

2018年度の総括

 ライフスタイル・リテイル分野では、サミット(食品スーパー事業)やトモズ(ドラッグストア事業)などの既存事業のバリューアップに注力したほか、今後成長が見込まれるヘルスケア事業への取組として、マレーシアのマネージドケア事業者(注1)に出資しました。また、サミットと住商フーズが精肉・惣菜部門の強化・サービス向上を図るべく、神奈川県川崎市に食肉加工センターを共同で開設しました。不動産分野では、国内においては当社が用地取得から設計、建設、テナント誘致までを行う中規模オフィスビル「PREX」シリーズを展開したほか、都市型物流施設「SOSiLA」の開発や顧客のニーズに合わせた商業施設の開発(BTS事業(注2))などを推進しました。海外においては、米国不動産を投資対象とした私募ファンド第2号を組成し、運用を開始しました。

都市型物流施設「SOSiLA(ソシラ)横浜港北」
  • (注1)民間の医療保険会社・医療機関と連携して、より良質で安価な医療の推進と個人の健康管理の向上を目指す仕組みづくりを行う医療関連サービス提供会社。
  • (注2)Build-To-Suitの略。テナントの要望に応じて商業施設等を開発するオーダーメイド型事業。

資源・化学品

事業部門

事業概要

  • 石炭、鉄鉱石、非鉄金属原料、石油・ガス及び炭素関連原材料・製品に関する事業
  • 合成樹脂、有機・無機化学品、電池用材料・電子材料、医薬、農薬及び肥料に関する事業

▶業績概要

 資源・化学品事業部門では、資源価格の上昇により豪州石炭事業などで増益となった一方、マダガスカルニッケル事業における減損損失を計上したことなどから、前期に比べ101億円減益の685億円となりました。

2018年度の総括

 資源・エネルギー及び化学品・エレクトロニクス製品の安定供給並びに地域の経済・産業の発展に貢献する取組を、地球環境の保全に配慮しながら推進しました。資源・エネルギー分野では、ペルーの金・銅鉱山事業及びチリの銅鉱山事業に参画したほか、米国テキサス州におけるタイトオイル(注)の生産・開発権益を取得しました。また、米国メリーランド州で当社が参画しているLNGプロジェクトが商業運転を開始しました。ライフサイエンス分野では、インドやウクライナにおいて農薬・農業関連事業に参画するなど、同事業の海外展開を推進しました。また、国内においては、AIやドローン技術等の先端農業技術を活用した事業にも取り組みました。農業人口減少等の社会課題の解決に貢献していきます。

Quebrada Blanca(ケブラダ・ブランカ)銅鉱山(チリ)
  • (注)水平掘削・水圧破砕技術を用いてシェール(頁岩(けつがん))層などから抽出した原油。
次の項目へ
2019/06/21 15:00:00 +0900
外部サイトへ移動します 移動 ×