事業の経過及びその成果

(4)「中期経営計画2020」の進捗

 当社は、2018年5月に、2020年度までの3か年を対象とする「中期経営計画2020」を策定しました。

中期経営計画2020

 2019年度における「中期経営計画2020」の取組状況は、以下のとおりです。

① 成長戦略の推進の状況

(a)既存事業のバリューアップ

 「既存事業のバリューアップ」を目指し、各事業部門の既存事業において、成長ポテンシャルの追求・実現に取り組みました。

(b)次世代新規ビジネス創出

 加速度的にビジネス環境が変化する中で、大きな成長が見込まれる分野に経営資源を集中的に投下することとしています。具体的には、デジタルトランスフォーメーション(注1)の加速によるビジネスの高度化やビジネスモデルの変革が期待できる「テクノロジー × イノベーション」分野、高齢化等の影響により市場の急速な拡大が見込まれる「ヘルスケア」分野、人口増大、都市化の進展によるスマートシティ・都市開発及びインフラ整備事業等の成長が見込まれる「社会インフラ」の3分野を対象にしています。
 2019年度は、この3分野に合計で約800億円の投資を実行しました。

(c)プラットフォーム事業の連携深化

 当社グループが有するさまざまな事業基盤や機能は、あらゆる「産業」「社会」「地域」に繋がる多くの「接点」を有しており、新たな価値を生み出す原動力になっています。「顧客基盤」「通信・放送・ネットワーク」「リース・レンタル・シェアリング」「デジタルプラットフォーム」などの事業基盤を通じ、事業と事業の掛合せや組織間の連携によって、新たな価値の創造に取り組んでいます。

 2019年度において、成長戦略の推進に向けた主な取組は次のとおりです。

② 事業支援機能拡充の状況

 成長戦略を推進するための全社的枠組みとして、「新規事業開発支援」「フルポテンシャルプラン」「アセットサイクルマネジメント」「デジタルトランスフォーメーション」の4つの「事業支援機能」の拡充に取り組んでいます。
 「新規事業開発支援」では、全社視点で次世代ビジネスを育成していく仕組みづくりに取り組んでいます。ヘルスケア、スマートシティ等の成長ポテンシャルの高い分野において、組織間連携を通じ、全社プロジェクトとして取り組む体制を強化しています。
 「フルポテンシャルプラン」では、未だ所期の成果を上げるに至っていない改善余地のある事業会社や、更なる成長が期待できる事業会社を対象に、事業価値最大化のための具体策を策定し、実行状況を重点的にモニタリングすることを通じ、全社ポートフォリオの更なる質の改善を図っています。
 「アセットサイクルマネジメント」では、他人資本の活用により、各事業の資産効率を上げるための支援を行っています。
 「デジタルトランスフォーメーション」では、2018年4月に設立したDXセンターを中心に、各分野の知見やプラットフォーム事業基盤にテクノロジーを掛け合わせることで、当社ビジネスモデルの変革に取り組んでいます。

 2019年度においては、以下の取り組みを行いました。

③ 経営基盤の強化

(a)ガバナンスの高度化

 取締役会における、各事業部門の部門戦略の進捗状況及び課題並びに課題への対応方針に関する報告や、主要な委員会の活動報告、市況変動リスク、カントリー・リスク等の集中リスクに関わるポートフォリオ報告などのほか、取締役会オフサイトセッションにおける、ESG(環境・社会・ガバナンス)を含むさまざまな重要経営課題についての議論により、取締役会の執行に対するモニタリング機能の更なる強化に取り組みました。
 また、グローバル連結ベースでのグループガバナンスの実効性の維持・向上のため、2018年度から、グループ標準ツールを活用しながら、連結子会社と対話することで内部統制の状況を可視化し、業務品質の向上に取り組んでいます。2019年度は、この連結子会社との対話をさらに推進しました。

(b)人材戦略の高度化

 「Diversity & Inclusion ~多様な力を競争力の源泉に~」を基本コンセプトに、各種人事施策を導入し、成長戦略を後押ししています。部門・組織を越えたローテーションによる重点分野への戦略的な人材投入、専門性の高い外部人材の採用拡充、海外転勤時の処遇に関するグループ共通のルール導入等により、グローバル連結ベースで最適な人材を適時・適所に配置できる体制を整備しています。また、多様な個々人が最大限に力を発揮できるよう、「テレワーク制度」や「スーパーフレックス制度」の一層の活用と健康経営の推進を進めました。また、当社の退職者を対象とした「SC Alumni Network」を立ち上げました。当社Alumni(注5)との結びつきを高め、ビジネスイノベーションを起こすオープンな企業文化の醸成を図ります。

(c)財務健全性の向上

 経営基盤の更なる強化を目的として、配当後フリーキャッシュ・フローの黒字を確保することにより、財務健全性の向上に努めています。また、コア・リスクバッファーとリスクアセットのバランス(注6)についても、引き続きその維持に努めています。

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2020/06/19 15:00:00 +0900
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