企業集団の事業の経過及び成果等

経済金融環境

当年度を顧みますと、海外では、新興国において、資源価格の底入れや景気刺激策の効果等から、年度後半にかけて経済の持直しの動きが見られたほか、先進国でも、米国経済や欧州経済が堅調な消費に支えられ回復を続けるなど、緩やかな景気回復が続きました。わが国の経済も、企業収益が概ね高水準で推移する中、雇用・所得環境の改善を通じて個人消費に持直しの動きが見られたこと等から、緩やかな回復基調が続きました。

わが国の金融資本市場におきましては、期初から長短金利ともにマイナス圏で推移しましたが、昨年9月に日本銀行が「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入したことを受け、当年度末にかけて短期金利はマイナス0.04%前後、長期金利は0.07%前後となりました。円相場は、世界経済の先行き不透明感の高まりからリスク回避姿勢が強まったこと等を受けて、昨年秋頃まで円高基調で推移しましたが、11月の米国大統領選挙を機に円安に転じ、12月には一時1ドル118円台となりました。その後、米国トランプ政権の経済政策運営や、欧州の政治情勢を巡る先行き不透明感の高まり等から、当年度末にかけて1ドル111円台前半まで円高が進みました。日経平均株価は、昨年6月に行われた英国の国民投票でEU離脱派が勝利したこと等を背景に、一時1万4千円台まで下落しましたが、米国トランプ政権の経済政策に対する期待感等から、本年3月には一時1万9千円台後半まで回復し、当年度末には1万8千円台後半となりました。

こうした中、本年1月に、バーゼル銀行監督委員会が、銀行の自己資本比率と流動性比率等に関する国際的な規制の枠組み(いわゆる「バーゼルⅢ」)の見直しに関する最終合意を延期することを公表しました。国内では、昨年5月に、金融グループの経営管理機能の充実や、金融グループ内の共通・重複業務の集約、金融関連IT企業(いわゆる「フィンテック企業」)等への出資を容易にすること等を盛り込んだ「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」が成立しました。加えて、本年3月には、金融機関とフィンテック企業が連携・協働して技術革新を進めていくための法制度の整備等を目的とした「銀行法等の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。また、金融庁より、金融機関等が自ら主体的に創意工夫し、顧客本位の良質な金融商品・サービスを提供するうえで有用と考えられる原則として、「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表されました。

事業の経過及び成果

このような経済金融環境のもと、銀行業務を中心に、リース業務、証券業務、コンシューマーファイナンス業務等の金融サービスに係る事業を行っております当社グループは、平成26年度から平成28年度の3年間を計画期間とする中期経営計画に取り組んでまいりました。

中期経営計画の最終年度にあたる当年度は、基本方針を「中期経営計画の主要施策の成果実現にこだわり、トップライン収益(注1)の成長に最大限努力しつつ、収益性・効率性改善への取組みを強化することでボトムライン収益(注2)を追求する」、「不透明な環境下、リスクセンシティブな業務運営(注3)を徹底するとともに、変化へのプロアクティブ、イノベーティブな対応(注4)により、ビジネスチャンスを捕捉する」とし、次の取組みを進めてまいりました。

【10年後を展望したビジョンと3ヵ年の経営目標】(平成26年5月公表)

(注1)連結粗利益。

(注2)親会社株主に帰属する当期純利益。

(注3)リスクに対する感度を高めた業務運営。

(注4)変化を先取りした機動的な対応。

(注5)アジアでのビジネス強化を最重要戦略と位置付け、積極的な資源投入を行うことにより、アジア屈指の金融グループとなる。

「内外主要事業におけるお客さま起点でのビジネスモデル改革」

当社グループは、国内外でより強固な事業基盤を構築し、多様化、高度化するお客さまのニーズへの対応力を高める取組みを進めてまいりました。

大企業のお客さまに対しましては、株式会社三井住友銀行とSMBC日興証券株式会社が銀証兼職組織を拡大したほか、国内外の拠点間においてグループ一体での運営を強化することで、国内外にまたがるM&A等の分野で幅広いソリューションを提供してまいりました。また、株式会社SMBC信託銀行におきまして、不動産売買ニーズのあるお客さまに対し、仲介業務を中心とした総合的な提案を行ってまいりました。

中堅・中小企業のお客さまに対しましては、株式会社三井住友銀行とSMBC日興証券株式会社におきまして、お客さま一社一社の事業の承継、買収及び再編に伴う金融ニーズに積極的にお応えしてまいりました。また、株式会社三井住友銀行と株式会社日本総合研究所が、先端技術等の事業化支援を目的に、企業と投資家等とを繋ぎ、新たなビジネスを創出するコンテストを開催したほか、株式会社三井住友銀行と三井住友ファイナンス&リース株式会社が、株式会社大潟村あきたこまち生産者協会等と共同で、農地所有適格法人を設立するなど、金融を通じて日本経済の成長に貢献する取組みを推進してまいりました。更に、法人オーナーのお客さまに対しましては、株式会社三井住友銀行の地域に密着した営業拠点である「エリア」において、資産の運用や相続、事業の承継等、法人と個人にまたがる幅広いお客さまのニーズにお応えし、新たな付加価値を提供してまいりました。

個人のお客さまに対しましては、資産運用・資産形成事業において、お客さまにより一層価値あるサービスを提供するための取組方針として昨年3月に制定した「フィデューシャリー・デューティー宣言」を踏まえ、サービス向上にグループ全体で取り組んでまいりました。株式会社三井住友銀行とSMBC日興証券株式会社がより一層協働を推進し、お客さまの多様化する資産運用ニーズに的確にお応えしてまいりましたほか、SMBC日興証券株式会社では、新しい企業評価の尺度として注目度が高まっているESG投資手法(注6)を採用した投資信託の取扱いを開始するなど、幅広い運用商品のご提案を通じて、お客さまの中長期的な資産形成のお手伝いをしてまいりました。また、株式会社三井住友銀行におきまして、スマートフォン向けサービスの拡充やデビットカードの取扱開始等に取り組んでまいりました。コンシューマーファイナンス業務におきましても、SMBCコンシューマーファイナンス株式会社と三井住友カード株式会社が協働して、お客さまが借り入れた資金をプリペイドカードに即座に入金し、世界中のVisa加盟店で利用できるサービスを開始するなど、グループ一体となった取組みを進めてまいりました。

海外のお客さまに対しましては、株式会社三井住友銀行におきまして、グローバルな知見を活かし、お客さまの資金決済や輸出入等に伴う金融ニーズにお応えしてまいりました。また、SMBC日興証券株式会社と協働して債券引受業務を行うなど、お取引の複合化を推進いたしました。更に、株式会社三井住友銀行がインドのムンバイ、ミャンマーのティラワに出張所を、三井住友銀行(中国)有限公司が中国の大連に支店を開設するなど、海外拠点網の拡充を進めてまいりました。

機関投資家のお客さまに対しましては、株式会社三井住友銀行におきまして、「ディストリビューション営業部」を設置し、SMBC日興証券株式会社と協働して、貸付債権を裏付けとした証券化商品を販売するなど、運用商品の提供力を強化することで、多様な運用志向や幅広い二ーズにお応えする体制を整備してまいりました。

情報通信技術や決済業務に関する取組みとしましては、株式会社三井住友銀行と株式会社日本総合研究所が、お客さまからの照会に、より迅速かつ正確に対応するため、株式会社三井住友銀行のコールセンターの全端末に、日本アイ・ビー・エム株式会社のAI(人工知能)プラットフォームである「IBM Watson Explorer」を活用したシステムを導入いたしました。また、当社及び株式会社三井住友銀行は、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ及びアイルランドのデオン・インクとの間で、スマートフォンアプリにおける利便性や安全性向上のため、複数の生体認証技術を活用した本人確認の実現に向けた覚書を締結いたしました。更に、当社は、情報通信技術関連の一大拠点である米国カリフォルニア州シリコンバレー地区に、「ITイノベーション推進部」の分室である「SMFGシリコンバレー・デジタルイノベーションラボ」の開設を決定するなど、金融関連の技術革新を推進するための体制整備を進めております。

(注6)運用プロセスにおいて、財務内容等の評価に加えて、環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance)を考慮する投資手法。ESGの観点から評価が高い企業は、持続的な成長が期待できるとされている。

「アジア・セントリックの実現に向けたプラットフォームの構築と成長の捕捉」

株式会社三井住友銀行は、東アジア地区において、地域情勢の的確な把握やお客さまのニーズへの機動的な対応を目的に、「東アジア本部」を設置いたしました。また、同行は、インドネシアにおいて、現地の商業銀行であるバンク・タブンガン・ペンシウナン・ナショナルと協働し、携帯電話によるモバイルバンキングサービス「BTPNWow!」やスマートフォンを通じたデジタルバンキングサービス「Jenius」等、情報通信技術を活用した新たな個人向け金融サービスの提供を推進するなど、アジアにおける当社グループの存在感を一段と高めてまいりました。

「健全性・収益性を維持しつつ、トップライン収益の持続的成長を実現」

トップライン収益の持続的な成長の実現に向け、前述のとおり「内外主要事業におけるお客さま起点でのビジネスモデル改革」を進めるとともに、グループ各社間の連携をより一層強化し、新たなお取引先の獲得や幅広い金融サービスの提供に努めてまいりました。

また、昨年7月、株式会社三井住友銀行が、三井住友アセットマネジメント株式会社の普通株式を追加取得して連結子会社としたうえで、10月に当社の直接出資子会社としたほか、SMBC日興証券株式会社とSMBCフレンド証券株式会社が、それぞれの強みを活かし競争力を強化することを目的に、昨年9月に合併契約を締結するなど、トップライン収益の持続的成長を実現するための体制整備を推進してまいりました。

更に、株式会社三井住友銀行が、高採算が期待できる貨車リースの分野において、アメリカン・レイルカー・リーシング・エルエルシーの全持分の取得に合意するなど、資産効率の改善を通じて持続的に成長可能なビジネスモデルへの転換を進めてまいりました。

「次世代の成長を支える経営インフラの高度化」

当社は、コーポレートガバナンスの強化・充実に向けた取組みとして、指名委員会等設置会社へ移行する方針を決定するとともに、グループ横断的な事業戦略の立案・実行や統合的なグループ経営管理の強化のため、事業部門制及びCxO(注7)制を導入することとし、準備を進めてまいりました。(注8)

また、当社は、経済産業省及び株式会社東京証券取引所より、女性人材の活用を積極的に進めている企業として「平成28年度なでしこ銘柄」に選定されるなど、グループ各社で多様な人材が能力を最大限発揮できる環境を整備し、ダイバーシティの推進を行ってまいりました。株式会社三井住友銀行におきまして、在宅勤務制度の導入を行ったほか、グループ各社においても、所定外労働時間削減への取組みを実施するなど、「働き方改革」に取り組んでまいりました。

(注7)CFO(Chief Financial Officer)、CRO(Chief Risk Officer)等の総称。

(注8)事業部門制及びCxO制については、本年4月に導入しております。また、指名委員会等設置会社への移行は第15期定時株主総会でのご承認を前提としております。

こうした取組みの結果、当年度の当社グループの連結決算は、経常利益が1兆58億円、親会社株主に帰属する当期純利益が7,065億円となりました。

【業績の概要】

対処すべき課題

当社グループは、平成29年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画「SMFG Next Stage」を策定いたしました。本中期経営計画では、新たなグループ経営体制のもと、グループ総合力の結集と構造改革の推進により、お客さまに価値ある商品・サービスを適時に提供し、お客さまに選ばれる金融グループとして、持続的成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります。

金融機関を取り巻く環境は、国内におけるマイナス金利、国際的な金融規制の強化等、厳しい状況が継続する見通しです。政治・社会面においても、保護主義の台頭や地政学リスクの高まり等もあり、不透明・不確実な環境が続くと見込まれます。一方で、国内においては、個人のお客さまの「貯蓄から資産形成へ」の流れや、取引のデジタル化・キャッシュレス化の進展、法人のお客さまにおける業界再編・海外展開の加速、低金利下での運用ニーズの拡大等が期待されます。また、海外においては、米国経済の安定的な成長や、グローバルな企業再編ニーズの高まり、中長期的なアジアの発展やインフラ投資の増加等が予想されます。

このような環境認識を踏まえ、本中期経営計画では、当社グループの持続的成長を実現するために次の3つの基本方針を定め、「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」というビジョンの実現に向けて、次のステージに進んでまいります。

「規律」を重視した事業展開

今後も、金融機関を取り巻く環境は厳しいと見込まれますが、こうした環境下においてもボトムライン収益の持続的成長を実現するため、従来以上に資本効率、資産効率、経費効率にこだわった運営、すなわち、「規律」を重視した収益性の高い金融機関を目指してまいります。

まず、国内の安定的な収益基盤における競争優位性を維持しつつ、優先的に資源投入するビジネスを選別することで、資本効率の良い収益構造へ転換してまいります。また、国際的な金融規制の強化を見据え、資産のコントロールを一段と強化いたします。具体的には、適切なリスクテイクを行い、高採算で資産効率の良好なビジネスへ資産を投入する一方、低採算の資産を削減し、資産の入替えを進めてまいります。

更に、情報通信技術を活用した業務の効率化や、グループ内での業務基盤の共有化を進めてまいります。具体的には、個人のお客さま向けの店舗の改革や、証券子会社等の事業再編を行い、グループ全体の生産性の向上と効率化を推進してまいります。

強みに重点を置いた成長戦略の推進

当社グループの競争優位性と事業の成長性をもとに、次の「7つの戦略事業領域」を定めました。

安定的な収益基盤である国内事業の一層の強化、海外事業における成長戦略の推進及び将来の成長に向けた新たな強みづくりに取り組んでまいります。

持続的成長を支えるグループ・グローバルベースの運営高度化

  1. 1)ビジネスにおける可能性を最大化する経営体制

    当社は、国際的に広く認知されたコーポレートガバナンス体制を構築し、業務執行に対する取締役会の監督機能の強化及び業務執行の迅速化を図るため、当社第15期定時株主総会での承認を前提として、指名委員会等設置会社へ移行いたします。

    また、事業部門制、CxO制を導入し、グループ・グローバルベースで、ビジネスにおける可能性を最大化してまいります。具体的には、グループ各社が、統一された経営戦略のもとで、商品提供力・サービスを強化することによって、幅広いお客さまの多様なニーズに的確にお応えしてまいります。加えて、グループ各社間で人材交流を活発化するなど経営資源を共有化し、全体最適の観点から資源投入を行ってまいります。更に、企画・管理機能を高度化し、人員・システム投資額等をグループベースでコントロールいたします。これらを支える経営管理体制として、事業部門別の経営指標の導入や経営情報システムの高度化を進めてまいります。

    これらの取組みのほか、役員報酬制度について、中期経営計画の財務目標及び株式指標に連動した新たな株式報酬制度を導入するとともに、株式報酬の比率を現在よりも引き上げる方向で、見直しを検討いたします。

  2. 2)デジタル化の推進

    社会のデジタル化が急速に進展する中、当社グループは、様々な新しい技術を積極的に取り入れ、お客さまの利便性向上や新規ビジネスの創造、当社グループの生産性向上・業務効率化や経営基盤の高度化等、あらゆる分野でデジタル化を推進いたします。

    当社グループは、これらの取組みにおいて、着実な成果をお示しすることにより、株主の皆さまのご期待にお応えしてまいりたいと考えております。株主の皆さまには、今後ともなお一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

(ご参考)当社グループのコーポレートガバナンス体制

(注9)第15期定時株主総会でのご承認を前提としております。

(注10)会社法が定める指名委員会、監査委員会及び報酬委員会のほか、任意の委員会としてリスク委員会を設置しております。

(注11)本年4月に導入しております。

議決権行使期間は終了しました