第3号議案および第4号議案に対して共通する当社取締役会の意見

 第3号議案および第4号議案は、株主様3名からの共同のご提案によるもので、いずれも気候変動問題への対応に関して当社定款に規定を追加する内容でございます。
 当社取締役会としましては、これらの議案全てに反対いたします。これらの議案に対して共通する当社取締役会の意⾒は以下のとおりであり、また、各議案に対する取締役会の意⾒については、それぞれの議案の後に記載しております。
 なお、議案の要領および提案の理由は、提案株主様から提出されたものを原⽂のまま記載しています。

(気候変動に対する当社の方針・取り組み)
 当社は、「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という企業理念のもと、エネルギーの安定供給と気候変動対応との両立を経営の重要課題(マテリアリティ)として事業に取り組んでいます。
 また、パリ協定の締約国である日本は、エネルギーの安定供給を確保しながらCO2 排出量を着実に削減する取り組みを進め、2050年カーボンニュートラルの実現を目指しています。
 これら企業理念や日本の政策を踏まえ、当社は2021年2月に「CO2フリー電源の拡大」、「電源のゼロエミッション化」、「電力ネットワーク」の3つを柱とする2050年カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な計画「J-POWER “BLUE MISSION 2050”」を策定し取り組みを開始しています。(最新の計画及び進捗状況は下図を参照)
 計画策定以降、当社取締役会は執行部門による取り組みの進捗状況をモニタリングするとともに、株主をはじめとするステークホルダーの皆様との対話からのフィードバックや、政策や国際情勢等の経営環境の変化を適切に把握し、毎年、内容のアップデート・見直しの議論をおこなっています。
 直近では、2021年2月に設定した当社の2030年CO2削減目標が、パリ協定の締約国である日本の削減目標(NDC)と照らして適切な水準であるかについて、社外取締役を含む取締役全員による活発な議論を複数回実施しました。検討の結果、再生可能エネルギーの拡大やバイオマス混焼の拡大、国内CCS社会実装に向けた合弁会社設立といった進捗、石炭火力からのCO2排出量の減少実績等を踏まえ、2030年の削減目標の引き上げ(130万t)を決定しました。削減目標の引き上げにより、当社の新たな2030年CO2削減目標は2013年度比46%削減となり、日本の削減目標(NDC)と一致することとなります。
 また、サステナビリティ経営の観点から、マテリアリティへの取り組みによる非財務的価値の役員報酬制度での評価手法について、委員長及び過半数の委員を社外取締役が務める指名・報酬委員会で複数回の議論を実施しました。委員会での結論を踏まえ、再生可能エネルギーの新規開発目標やCO2削減目標の達成等の気候変動対応を含む5つのマテリアリティを非財務指標として業績連動報酬の評価に導入することを取締役会で決定しました。
 当社取締役会は、「J-POWER “BLUE MISSION 2050”」の実現を通じて、気候変動に関するリスクを適切に管理し、企業価値の毀損を防止しつつ、変化を機会と捉えて持続的成長と企業価値の向上に努めることで、これからも株主の皆様の期待に応えてまいります。
 また、当社は気候変動対応に関する情報開示の充実に取り組んでおり、開示内容をもとにステークホルダーの皆様と対話を行い、その内容をフィードバックし、具体的な計画に反映することで、カーボンニュートラルへの取り組みを進めてまいります。なお、当社の気候変動対応への取り組み状況は、「中期経営計画の取組み状況」、「TCFD提言に基づく開示」、「J-POWERグループ統合報告書」等でご覧いただけます。

気候変動対応を進めるにあたっては、エネルギー安定供給との両立が不可欠です。
その実現に向けた具体的な取り組みが J-POWER “BLUE MISSION 2050”

J-POWERは再生可能エネルギーを重点的に開発し、再生可能エネルギーの拡大に必要となる電力ネットワークの増強を行います。

再生可能エネルギーの拡大に並行してCO2フリー水素発電や原子力にも取り組むことで、エネルギーを安定的に供給しながら着実にCO2排出量を削減します。

■CO2削減目標

今年5月に2030年のCO2削減目標を130万t引き上げた結果、日本政府が示している削減目標と一致することとなります。
2023-2030年度で、再生可能エネルギー開発等含めて7,000億円の戦略投資を予定しています。

CO2削減目標*1*2


*1 J-POWER国内発電事業CO2排出量
*2 2013年度実績比。2017-2019年度3ヵ年平均実績比では、2025年度目標:-700万t、2030年目標:-44%/-2,030万t
*3 速報値。2013年度比-813万t

■CO2フリー電源の拡大

(直近の営業運転開始プロジェクト)

2022年4月 トライトン・ノール洋上風力発電所(イギリス)

2022年4月 熊追発電所(水力)

2022年5月 新桂沢発電所(水力)

2023年2月 江差風力発電所

2023年2月 新島牧ウインドファーム

2023年3月 レイクマイニット水力発電所(フィリピン)

2023年3月 足寄発電所(水力)1号機

2023年4月 鬼首地熱発電所

*4 2017年度比

■電源のゼロエミッション化

(直近の進捗)

2022年6月 豪州でCO2回収・輸送・貯留を行うCCS(CO2分離・回収・貯留)実証事業に参画
「カーボントランスポートアンドストレージカンパニーおよびCCSプロジェクト」*5に参画

2022年7月 CCU(CO2分離・回収・有効利用)の実証試験開始
大崎クールジェンで回収したCO2を液化・移送し、トマト温室での光合成促進に活用

2022年10月 国産バイオマスからのCO2ネガティブ水素製造に係る一貫実証モデルに関する調査開始*6
バイオマスのガス化とCCSを組み合わせることで実質的に大気中のCO2を減らしながら水素を製造するプロセスの調査

2023年2月 国内CCS貯留事業調査に向けた合弁会社設立*7
国内初の本格的なCCSとして2030年のCO2圧入開始を目指し、CO2貯留候補地選定のための探査・評価などの事業化に向けた準備を推進

2023年2月 GENESIS松島計画環境影響評価方法書プロセス終了
経済産業大臣より環境保全に適切な配慮がなされている旨の通知を受領

*5 Glencore Plcが豪州クイーンズランド州で進めているプロジェクト
*6 JX石油開発株式会社、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社との共同事業。国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業
*7 ENEOS株式会社、JX石油開発株式会社との合弁会社

電力ネットワーク*8

*8 J-POWER送変電の取り組み

■ガバナンス

当社は本年の定時株主総会以降に役員*9報酬制度を一部変更し、業績連動報酬の評価指標として、従来の連結経常利益に加え、中長期的な企業価値向上に向けた取り組みであるマテリアリティ(エネルギー供給、気候変動対応、人の尊重、地域との共生、事業基盤の強化)による評価を行う予定です。
 *9 取締役および執行役員(社外取締役および監査等委員等を除く)

■TCFD提言に基づく開示

当社はTCFD提言に基づく気候変動関連の開示を行っています。今年5月、開示の内容を一部更新しました。

 ご参考  本取締役会意見で言及した資料は以下のリンクからご覧ください。

・中期経営計画への取組み状況(2023年5月10日公表)
https://www.jpower.co.jp/news_release/2023/05/news230510_2.html
・TCFD提言に基づく開示(2023年5月24日アップデート版公表)
https://www.jpower.co.jp/sustainability/environment/climate/
・J-POWERグループ統合報告書(2022年度版は2022年8月発行、2023年度版は8月末発行予定)
https://www.jpower.co.jp/ir/ann51000.html


(気候変動対応に関する条項を当社定款に規定することについて)
 定款は、会社の組織等に関する基本的な事項を定めるものです。気候変動対応等の特定の経営課題に関する個別具体的な方針や計画、その他個別具体的な業務執行に関する事項を定款に定めることは、経営環境の変化に応じた機動的かつ迅速な業務執行や方針の策定・変更の重大な支障となり、当社の企業価値の毀損につながるおそれがあるため、適切ではないと考えております。

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2023/06/28 12:00:00 +0900
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