事業の経過およびその成果

 当期の当社グループは大きく経営の舵を切り、4つの中核企業を中心とした運営体制による大規模な経営改革を進めました。あわせて、経営コストの最適化に向けた経営効率化諸施策を強力に実行いたしました。

 当社を中核とするパチンコ・パチスロ事業におきましては、本来の流通という立ち位置に回帰し、当社が強みとするマーケティング機能の強化を通じて、新台販売はもとより、お客様の多様なニーズに応える新規事業のスタートアップ等、流通基盤のさらなる拡充に注力いたしました。
 当期のパチンコ・パチスロ市場環境は、2018年2月1日に「風適法施行規則」※が施行され、メーカー各社による新規則に基づく遊技機(以下、「新規則機」)の積極的な開発と、市場への投入が進められました。新規則に対応したパチンコ機は8月から、パチスロ機は10月から市場に順次投入されており、新規則機がもたらす多様なゲーム性と適度な消費金額の枠内で遊びやすい「安心して楽しめるパチンコ・パチスロ」は、ホールならびにファンから一定の評価を得るに至っております。こうした背景から、新規則機に対する市場の需要が、パチンコ・パチスロともに一層喚起されました。このような環境の中、下半期にはメーカー各社による型式試験の申請件数が急増したことで申請受理に至ること自体が困難を極め、型式試験の厳格化による適合率の低迷等もあり、市場への機種(タイトル)供給は低調に推移いたしました。
 こうした状況下で、当社は、型式試験の通過待ちを含む複数機種を保有しながら、通期業績の達成に努めましたが、一部機種において、型式試験の申請受理から適合に至るまでに想定以上の時間を要したため、その販売を延期いたしました。この結果、当期のパチンコ・パチスロ販売台数は138千台(前期比53千台減)となりました。

 当社グループのIP事業の中核企業である株式会社円谷プロダクションにおきましては、ブランド戦略に基づくグローバルエンターテイメントカンパニーを目指して、新規アニメーション作品『ULTRAMAN』の北米や中国における映像配信等、海外展開の戦略的な拡大を推進いたしました。あわせて、国内マネタイズインフラの最大化や戦略的アライアンスの構築を強力に実行いたしました。
 また、映像事業を手がける株式会社デジタル・フロンティアにおきましては、パートナー企業との共同開発によるオリジナルTVアニメ作品『荒野のコトブキ飛行隊』をはじめ、新規映像作品の創出に注力するとともに、中国を中心とするグローバルでの映像制作受託等を推進いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は51,639百万円(前期比9,416百万円減)、営業損失は1,363百万円(前期比4,375百万円改善)、経常損失は1,396百万円(前期比3,808百万円改善)、また、関係会社株式売却益、段階取得に係る差益等による特別利益等を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は298百万円(前期比7,392百万円改善)となりました。

※2018年2月1日施行「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」および「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」

<当連結会計年度の業績について>
 当連結会計年度に当社グループが見込んでおりましたライセンス許諾の売上につきまして、その一部(約1,600百万円)を、2019年4月以降の代金回収時に計上することとなりました。その理由につきましては、以下のとおりであります。
 当社グループにおける版権等のライセンス許諾売上および収益につきましては、従来、ライセンス許諾時に、一括計上しておりました。それを受けて、2019年3月6日付「業績予想の修正に関するお知らせ」は、契約済ライセンス許諾の売上および収益を織り込んでおり、計画に対し収益面では、営業利益約200百万円で着地する見込みでありました。
 しかしながら、監査の最終段階において、ライセンス許諾の分割回収に関する売上計上方法を監査法人と協議した結果、長期分割回収による許諾売上に関しましては、代金回収の都度、計上することとなりました。これは、ライセンス許諾の大型化に伴う分割回収案件の増加を受けて、売上の実態をより適切に反映させるために行うものであります。
 以上の結果、当連結会計年度に見込んでおりましたライセンス許諾売上および収益のうち、長期分割回収による約1,600百万円が、次連結会計年度以降の代金回収時に計上することとなりました。
 今後につきましては、高度化する会計諸制度等に関して、様々な観点から監査法人と随時意見交換を行い、また、その他外部の専門家等の助言、見解等も参考にしながら経営管理の充実を図ってまいります。


(ご参考)次期の見通し
2020年3月期 利益計画


 当社グループの次期の事業推進につきましては、主力であるパチンコ・パチスロ事業に注力することに加え、株式会社円谷プロダクションの事業成長を最重要課題に位置付けております。

 当社を中核とするパチンコ・パチスロ事業におきましては、従来取り組んできた徹底的な商品分析とマーケティングの成果を発揮し、ファンを楽しませ、ホールに喜ばれる最適商品の企画・開発と販売に注力してまいります。
 一方で、当事業の次期収益計画は、保通協型式試験における申請受理から適合に至るまでのリードタイムを慎重かつ厳密に織り込んだ計画としております。
 商品開発につきましても、マーケティング技術の精度を高めることで市場ニーズをさらに的確に捉え、販売台数の増大を目指してまいります。
 株式会社円谷プロダクションは、当社グループの事業成長の要として、グループの総力を挙げて国内外の事業拡大を推進してまいります。次期においては、映画作品そのものの収益性を高めること、積極的な企業タイアップ等によるIPのブランド価値向上と収益化の推進、そして北米、中国を主とするグローバル展開の加速、これら3点の実現に注力してまいります。

 また、株式会社デジタル・フロンティアは、国内の映像制作ならびに受託開発はもとより、中国をはじめとするグローバル展開の推進等、同社が誇る高品質の3DCG技術をもとに価値の高い映像作品を手がけ、さらなる収益拡大を目指します。

 なお、次期の業績予想は上表のとおり、売上高の開示をせず、利益計画を開示しております。これは、パチンコ・パチスロ事業の新台販売において、機動的なプロダクトミックス※が与える売上計上のボラティリティが見込まれることによるものであります。

 以上により、次期の営業利益は1,500百万円(前期比2,863百万円改善)、経常利益は1,500百万円(前期比2,896百万円改善)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,000百万円(前期比1,298百万円改善)を計画しております。

※当社の遊技機における売上計上方法は、代理店販売および代行店販売の2通りあります。販売する機械によって、売上高に大きな影響を及ぼす可能性があります。
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2019/06/19 17:00:00 +0900
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