事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における我が国経済は、企業収益の回復や雇用環境の改善が継続し、個人消費も持ち直しの傾向が見られるなど緩やかな回復基調で推移いたしました。他方で、海外経済においては、米中の貿易摩擦が世界経済に与える影響などが懸念され、依然として先行き不透明な状況が続きました。
 このような情勢のもと、当社グループの主たる連結子会社であり、金融関連事業を営む株式会社ビットポイントジャパン(以下、BPJ)では、事業規模拡大に対応するための経営管理態勢をはじめ、各種の基盤整備を推進いたしました。しかしながら、急速な事業規模の拡大に態勢整備が追い付かない部分があり、2018年6月22日付で関東財務局より業務改善命令を受け、2018年7月23日に提出した業務改善計画をもとに、自主的により厳格な経営管理態勢の強化を図りました。
 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高11,780百万円(前期比18.0%減)、営業損失1,710百万円(前連結会計年度は営業利益3,616百万円)、経常損失1,712百万円(前連結会計年度は経常利益3,358百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失1,812百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益2,293百万円)となりました。


 当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりです。
 なお、各セグメント売上高の金額は、セグメント間の内部売上高を含めない数値を記載しております。
 当社グループの報告セグメントは、業績の評価、事業戦略の構築、経営資源の配分等を行ううえで重要性の高い区分を基に決定しており、「エネルギー関連事業」「自動車関連事業」「金融関連事業」「旅行関連事業」「その他事業」の5つで構成されております。

(エネルギー関連事業)

 エネルギー関連事業においては、電力売買事業、ならびに省エネルギー化支援コンサルティング、エネルギー管理システムの開発・販売、省エネルギー関連機器設備の販売を行っております。
 電力売買事業においては、引き続き高圧需要家を主軸としながらも、家庭や商店などの低圧需要家向けブランドとして「リミックスでんき」を立ち上げ、賃貸住宅フェア等のイベントへの出展で認知拡大を図りました。また、電気料金のクレジット決済は低圧需要家には普及しておりますが、2018年11月より高圧需要家も利用可能として差別化を図るとともに、利用金額に応じたポイント還元プログラムを導入することでサービスを拡充いたしました。これらの施策により電力需給契約件数及び契約電力量が拡大し、また季節要因による利益変動を平準化するため契約体系の改定等も実施した結果、売上・利益ともに前連結会計年度を上回りました。
 省エネコンサルティング事業においては、「エネルギー使用合理化等事業者支援補助金」に係るエネマネ事業者として5年度連続で登録採択されました。エネルギー使用合理化等事業者支援補助金に加え、各種交付団体の補助金コンサルティングにより収益源を拡大するとともに、補助金採択基準の見極め精緻化により採択件数が増加いたしました。また、省エネルギー化や再生可能エネルギーを建築物に導入する「ZEBプランナー」登録を取得し、提供するソリューションの拡大を図りました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は6,715百万円(前連結会計年度比10.9%増)、セグメント利益(営業利益)266百万円(同280.4%増)となりました。

(自動車関連事業)

 自動車関連事業においては、中古車販売事業者との中古車売買、及び中古車売買に関するコンサルティング等を行っております。
 中古車売買事業は、業者間売買であることもあり粗利率の向上は見込みにくい一方で、仕入から販売、決済に至る回収期間が短いため、資本効率が高い事業となっています。
 当連結会計年度においては前連結会計年度よりもセグメント利益が下回ることとなりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は3,640百万円(前連結会計年度比6.3%増)、セグメント利益(営業利益)12百万円(同62.2%減)となりました。

(金融関連事業)

 金融関連事業においては、仮想通貨交換業者として登録されたBPJが仮想通貨交換所の運営を行っており、現物取引のサービスに加え、仮想通貨関連事業として証拠金取引サービス(レバレッジ取引サービス/ビットポイントMT4取引サービス)を提供しております。
 仮想通貨市場は2017年末にかけて活況を呈しましたが、2018年1月にみなし仮想通貨交換業者における仮想通貨不正流出事件が発覚した影響などを起点として、加熱した市場は反転しました。2018年は全体を通して低調に推移しましたが、1月から3月、また11月にビットコイン価格が急落するなど、変動の激しい状況が続きました。2019年に入り、市場には明るい兆しも見られますが、依然として先行き不透明な状況が続いております。
 そのような状況のもと、BPJは2018年6月22日付で関東財務局より仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行のため、業務の運営に必要な措置を講じるよう業務改善命令を受け、7月23日に業務改善計画を提出し、以後毎月の進捗・実施状況を報告しております。
 「安心・安全な仮想通貨取引」を実現するため、BPJは経営管理態勢の強化を最重要課題と位置付けております。監査役会設置会社へ移行することでガバナンス機能の充実を図るとともに、情報セキュリティ格付けの取得やセキュリティシステムの導入など顧客資産の保護態勢を強化しました。
 マーケティング活動としましては、企業の知名度やブランドイメージの向上を図り、大規模な個人投資家向けセミナーの実施による仮想通貨・ブロックチェーンの啓発にも取り組みました。
 また、機能性を高めた仮想通貨取引ツール『BITPointAdvance』の提供を開始するとともに、BITPointPay(店舗決済アプリ)で決済通貨としてビットコインキャッシュ(BCH)を追加するなど、利用者の利便性向上策にも対応しました。
 2019年1月には、第一種金融商品取引業を目的とするスマートフィナンシャル株式会社を設立し、グループ全体として金融関連事業のサービス拡大を図りました。
 しかしながら、売上面では第3四半期において取引量の増加に対してトレーディング用に保有する仮想通貨を一時的に増加させたために仮想通貨価格下落の影響を受け、利益面ではFATF第4次対日審査に向けたマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策のための集中的なシステム構築等による費用増加を主要因として減益となりました。
 以上の結果、当セグメントの売上高は1,337百万円(前連結会計年度比70.8%減)、セグメント損失(営業損失)1,237百万円(前連結会計年度は営業利益3,936百万円)となりました。

(旅行関連事業)

 旅行関連事業においては、主にインバウンド旅行者のニーズに応えるべく、連結子会社である株式会社ジャービス(以下、JARVIS)が、ホテル事業開発、宿泊施設の運営、及びブランディング・デザイン等のサービスを展開しております。
 ますます高まるインバウンド旅行者の需要に呼応し、JARVISでは、2020年までに時代即応型のスマートホテル(自社ブランド:4棟、他社ブランド:6棟)の企画開発を進めております。
 2017年12月に東京都中央区京橋で着工した自社案件第1号となるホテル「an/other TOKYO(アナザー トウキョウ)」につきましては、2019年5月の開業に向けた準備を推進いたしました。また、2018年7月より東京都港区東麻布でのホテル開発に取り組んでおり、京都、福岡ではホテル開発・開業のコンサルティングを進めました。
 しかしながら、事業立ち上げ期であることから、開業間近である京橋案件の運営準備費用が発生している一方で、開発投資案件の収益寄与には至っておりません。
 以上の結果、当セグメントの売上高は56百万円(前連結会計年度比28.9%減)、セグメント損失(営業損失)73百万円(前連結会計年度はセグメント損失(営業損失)18百万円)となりました。

(その他事業)

 その他事業においては、主にマーケティングコンサルティング事業等を行っております。
 以上の結果、当セグメントの売上高は30百万円(前連結会計年度比48.0%減)、セグメント利益(営業利益)24百万円(同57.0%減)となりました。

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2019/06/27 11:00:00 +0900
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