事業の経過および成果

〈全般の状況〉
 当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクの高まりに起因する資源の高騰や新型コロナウイルス感染症の影響によるサプライチェーンの混乱などから世界的にインフレが進行しました。それを受けて欧米諸国を中心に政策金利が引き上げられ、さらに2023年に入ると米国発の金融不安が台頭し、景気後退懸念が一層深まりました。
 このような世界経済情勢のもと、半導体市場においても、スマートフォンやパソコン、テレビなど主要民生機器向け半導体の需要が減少し、特に2022年半ば以降、関連する半導体メーカーでは在庫調整や設備投資計画の見直しが顕著となりました。一方で自動車や産業機器向けなどの一部の半導体では依然として充足していない状況もあり、半導体市場はアプリケーションごとにはまだら模様ながら、全体としては減速感を強めつつ推移しました。
 当社の半導体試験装置ビジネスにおいても、民生機器向け半導体の需要落ち込みによる影響を受けましたが、半導体の高性能化を背景としたテスト需要の増加が民生機器向けでの半導体生産数量の落ち込みによる需要の減少を補いました。他方、部材不足や物流網の混乱が広範なサプライチェーンに影響を及ぼし、当社の部材調達は第3四半期までは前年度に引き続き厳しい状況が継続しました。
 このような環境のもと、半導体の品種ごとにテスト需要の強弱がある中で顧客の納期要求に最大限応えるべく、当社は戦略的な部材調達と生産品目の調整に注力し売上目標の達成に邁進しました。
 これらの結果、当連結会計年度における売上高は5,602億円(前年度比34.4%増)、営業利益は1,677億円(同46.2%増)、税引前利益は1,713億円(同47.2%増)、当期利益は1,304億円(同49.4%増)となりました。調達部材の価格上昇はあったものの、増収に加え円安も当社業績に追い風となったことから、いずれも連結会計年度における過去最高額を更新しました。当連結会計年度の平均為替レートは米ドルが134円(前年度112円)、ユーロが140円(同130円)、海外売上比率は96.3%(同96.1%)でした。

〈部門別の状況〉
(半導体・部品テストシステム事業部門)
 当部門では、HPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)デバイスやアプリケーション・プロセッサでの一段の技術進化や性能向上から、SoC半導体用試験装置において、先端プロセス品向けの販売が前年度の実績を大きく上回りました。また需要が強い自動車・産業機器などの成熟プロセス品向けにおいても、売上が伸長しました。メモリ半導体用試験装置については、メモリ半導体市況が大幅に悪化したものの、高性能メモリ半導体向けを中心とした顧客の投資が年度を通して継続され、当社製品の好調な販売が続きました。暦年2022年の半導体試験装置市場は前年比縮小したと見ていますが、当社はマーケットシェアを拡大し、売上が伸長しました。
 以上により、当部門の売上高は4,043億円(前年度比39.9%増)、セグメント利益は1,632億円(同54.5%増)となりました。

(メカトロニクス関連事業部門)
 当部門では、半導体試験装置に対する顧客の旺盛な需要を背景にデバイス・インタフェース製品、テスト・ハンドラの売上が伸びました。また半導体メーカーにおけるEUV露光技術の普及や成熟プロセス向けフォトマスクの需要増加を受けて、ナノテクノロジー製品の販売も増加しました。利益面においては、増収効果に加え、製品ミックスが改善し、当セグメントの収益性向上に寄与しました。
 以上により、当部門の売上高は599億円(前年度比41.5%増)、セグメント利益は150億円(同2.5倍)となりました。

(サービス他部門)
 当部門では、当社製品の設置台数の増加に伴い保守サービスの売上が伸長しました。しかしながら、特定顧客向けの売上比率が高いシステムレベルテスト事業において、民生機器向けの需要減少の影響により、下期の売上が急速に縮小しました。また当事業において、中長期的な事業成長を見越した生産体制および開発体制強化によりコストが増加していることに加え、一部製品において棚卸資産の評価損を計上したことから、当セグメントの利益額は前年度を大きく下回りました。
 以上により、当部門の売上高は961億円(前年度比12.0%増)、セグメント利益は76億円(同57.2%減)となりました。

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2023/06/27 12:00:00 +0900
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