第81期定時株主総会招集ご通知 証券コード : 6986
⑴ 経営成績に関する分析
当期における国内経済は、昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が「5類」へ移行したことに伴い、社会・経済活動は正常化に向かいましたが、不安定な国際情勢のなか、円安を背景とした物価上昇、資源・エネルギー価格の高止まりにより、依然として厳しい状況が続きました。
世界経済におきましても、半導体などの部材調達難には改善の動きが見られたものの、国内と同様に資源・エネルギー価格の高騰による物価の高止まりやインフレ抑制のための政策金利引き上げを要因とした景気の減速のほか、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化など、先行き不透明な状況が継続しています。
こうした経済情勢下、当社グループは単年度の事業再生計画「Re-Futaba -考動(決意と約束)-」に基づき、構造改革を確実に遂行するとともに、持続的に成長できる体制への立て直しによる企業価値の向上に努めました。
なお、当期に実施した主な取り組みは、以下のとおりです。
【構造改革】
【持続的な成長体制への立て直し】
以上の結果、当期における売上高は563億6千万円(前期比6.6%減)となりました。このうち海外売上高は321億8千9百万円(前期比7.4%減)となり、国内売上高は241億7千万円(前期比5.4%減)となりました。
収益面では、営業損失は11億4千1百万円(前期は営業損失23億8千7百万円)となりました。また、経常利益は5億7千万円(前期は経常損失11億3千4百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、構造改革による事業再編損および固定資産の減損損失を計上したことにより18億5千4百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失34億9千9百万円)となりました。
当期の連結業績の事業区分別状況は、次のとおりです。
〔電子デバイス関連〕
(主な製品:タッチセンサー、有機ELディスプレイ、蛍光表示管、複合モジュール、産業用ラジコン機器、ホビー用ラジコン機器等)
タッチセンサーでは、顧客における部材調達難が一部で解消したことから国内の車載用途で出荷が進んだものの、海外での販売が縮小していることから、売上げは前期を下回りました。
有機ELディスプレイでは、適正売価政策の推進に加えて、自社生産終了決定に伴う追加受注があったことから、売上げは前期を上回りました。
複合モジュールでは、部材調達難が一部で解消し、計測器用途は横ばいであったものの車載用途および娯楽用途が順調に推移、EMSにおいては需要に一服感はあるものの車載用途や計測器用途が堅調であったことから、売上げは前期を上回りました。
産業用ラジコン機器では、トラッククレーンなどの建機向けは堅調に推移しましたが、FA向けが低調に推移したことから、売上げは前期を下回りました。
ホビー用ラジコン機器は、限定企画商品などの市場投入を実施しましたが、市況の悪化が継続しており、国内および欧米での販売が低迷したことから、売上げは前期を下回りました。
営業損失は、海外製造拠点の解散を含めた構造改革の効果や、固定費の統制を継続したことなどにより、前期に比べて損失が縮小しました。
〔生産器材〕
(主な製品:プレート製品、金型用器材、成形・生産合理化機器)
国内では、前期から継続して適正売価政策を推し進め、プレス金型用器材は堅調に推移したものの、樹脂成形関連や設備関連市場の停滞が継続し、モールド金型用器材やプレート製品が低調に推移したことから、売上げは前期を下回りました。
海外では、主力の韓国市場において携帯電話や家電向けの低迷に加え競合との価格競争の影響を受け軟調に推移し、中国・アセアン市場の市況低迷も続いたことから、売上げは前期を下回りました。
営業損益は、固定費統制の継続強化に加えて構造改革の効果による影響があったものの、市況悪化に伴う操業度の悪化や退職給付費用の増加の影響も受けたことから、前期に比べて減益となり、赤字となりました。
⑵ 設備投資の状況
当社グループの設備投資につきましては、需要予測、生産計画、利益計画などを総合的に勘案して実施しています。
当期の設備投資は、生産器材の増産投資9億8千万円を含めて、総額14億4千万円となりました。
⑶ 資金調達の状況
当期の所要資金は、主として自己資金を充当いたしました。
また、機動的かつ安定的な必要運転資金の調達を可能とするため、2024年3月に株式会社千葉銀行と借入極度額50億円のコミットメントライン契約を締結しております。
なお、当該契約に基づく借入実行残高はありません。