第1号議案
取締役3名選任の件〔会社提案〕

1.議案の要領
 辻孝夫氏、仁科秀隆氏及び今井光氏を取締役に選任する。

2.提案の理由
 当社は従前から企業価値の向上を意識した経営を進めている中、2022年2月10日に2024年12月期を最終年度とする中期経営計画を公表し、売上高や営業利益の拡大とともに資本効率を意識した経営指標を目標として掲げて取り組んでまいりました。2022年3月開催の当社第52回定時株主総会では、当社の取締役メンバーとして必要となるスキルマトリクスを基に現任の取締役選任を会社提案議案として付議し、株主の皆様からのご支持をいただいて選任されています。その後、当社は様々な株主との対話を踏まえ、当社の事業方針、社内資源配分、ガバナンス、ステークホルダーとの対話等の当社の経営課題について真摯に再検証を行い、企業価値の向上を目指す体制を整備することを目的に、企業価値向上委員会を新設いたしました。企業価値向上委員会は取締役会出席者に加えて外部アドバイザリーの起用により客観的視点を確保する方針としております(これらの取組みを行っていることについては、2022年8月5日に公表いたしました「企業価値向上委員会の新設について」においても公表しております)。
 かかる状況下において、当社の株主である3D OPPORTUNITY MASTER FUND様(以下、「請求株主」といいます。)により、会社法第297条第1項の規定に基づく臨時株主総会招集の請求及び取締役4名選任の株主提案がなされました。請求株主による株主提案の詳細については第2号議案及び第3号議案をご参照ください。

 当社は、請求株主による提案を受ける以前から、企業価値向上委員会において、当社の取締役会のあるべき姿について、議論を進めており、遅くとも2023年3月開催予定の当社第53回定時株主総会までにはコーポレート・ガバナンスの強化を図るべく具体的な検証を進めておりました。しかし、かかる状況において、請求株主から臨時株主総会招集の請求及び取締役選任の株主提案がなされたため、当社としても、臨時株主総会を開催して、当社の取締役会構成について株主の皆様のご意思を確認させていただく以上は、当社の考える、あるべき取締役会構成をお示しする必要があると考えたことから、従前から行ってきた検証の内容を踏まえ、現時点における考え方を以下のとおり整理いたしました。

 まず、企業価値向上委員会では、当社の取締役会として必要な機能について議論した結果、現在の取締役会における個別の業務執行に係る意思決定の機能は維持しつつも、経営戦略や方針の決定に関する機能、監督機能をさらに強化することが、今後の企業価値向上に向けた議論を深め、実行に移す局面においてはより重要となると考えました。

 加えて、現在は取締役会の任意の諮問機関として設置している経営委員会(指名・報酬・倫理委員会機能を内包)の機能を指名・報酬委員会とガバナンス・倫理に関する委員会等に機能分化させた上で、これまで以上に社外取締役による、指名や報酬等の観点も含む監督機能を強化する必要があると考えております。また、手続の客観性と透明性を高めるためにこれらの委員会の議長を社外取締役が務める体制とすることも今後検討することとしております。

 さらに、企業価値向上委員会は当社の取締役会において必要とするスキルセット項目を再検証いたしました。その結果、スキルセットに「資本市場」を加えた上で、その中でも特に「資本市場」「企業経営」「法務」のスキルの重要性が高いと判断いたしました。そこで、それらのスキルを有し、社外取締役として相応しい経験・実績を有し、かつ当社の中長期的な企業価値向上のため、積極的に取締役としての活動を行う意思のある方に新たに就任いただいて取締役を増員することが望ましいと判断いたしました。
 「資本市場」は、これまで当社の取締役として必要なスキルセット項目には含めておりませんでしたが、これまでの株主の皆様との対話を踏まえ、投資家目線で当社の今後の資金調達、資本配分、投資、株主還元の適正化を検討する必要性が高いと判断し、新たにスキルセット項目として追加したものです。
 「企業経営」については、今後の企業価値向上のための検討を推進するために、上場企業において資本市場に向き合い、コーポレート・ガバナンス強化や事業変革を推進するなど、代表取締役に相当する立場での経営経験を有する人材が必要であると判断いたしました。
 「法務」についても、今後、多様なバックボーンを持つ取締役で構成される取締役会において、当社の企業価値向上に向けた議論を深めていくにあたり、リーガル面の知識や経験を取り入れる必要があるため、監査役だけではなく、取締役会メンバーとしても求められるスキルと判断しました。特に現段階においては、会社統治の基本となる会社法や、コーポレートガバナンス・コード及び各種ガイドラインについて知悉し、それらに関する豊富な実務経験を有しており、当社の事業に適した形への適用・判断ができる人材が必要であると考えています。

 当社は、社外取締役を追加選任するにあたり、取締役の人数の総数についても議論いたしました。当社と同規模の時価総額2,000億円から3,000億円の監査役会設置会社の企業を対象に取締役の人数を調査したところ、平均で9名、最大でも13名という結果が得られました。また、上場企業全体を対象とした分析において、取締役の人数が14名超の企業は全体の僅か1%程度に留まることから、当社の取締役の人数は14名を上限とすべきであり、それを上回る人数とした場合には、取締役会の機動的な運営と実質的な討議が損なわれる弊害の方が大きいと考えました。

 そのうえで、現在は社内取締役6名、社外取締役3名の構成であるところ、5名の社外取締役を追加選任し、当社の取締役会において必要とされるスキルセットを踏まえて社外取締役を増員することで、取締役の人数の総数(14名)に占める社外取締役の人数(8名)を過半数とする一方、取締役の人数の総数が過大とならない取締役会構成を実現することが、今後の企業価値向上に向けた最適な体制であると考えました。

 上記の企業価値向上委員会での検証結果を踏まえ、当社は、取締役会構成の強化及び取締役会の透明性向上は喫緊の課題であると考えられることや、企業価値向上委員会の活動の強化にも資することから、現在の取締役の任期途中ではありますが、取締役会構成において不足する上記のスキルを持つ社外取締役の追加選任を行い、取締役の人数の総数に占める社外取締役の人数を過半数とすることを検討することといたしました。取締役会の諮問機関であり独立社外取締役が過半数を占める経営委員会(指名・報酬・倫理委員会機能を内包)は、請求株主が提案する社外取締役候補者を含めた候補者との面談を経て、上記の観点から適切な人材としての評価・検討を行いました。経営委員会における検討結果を踏まえ、当社は、5名の社外取締役候補者を会社提案として提案することといたしました。これらの社外取締役候補者が選任された場合には、当社の取締役は、社内取締役6名、社外取締役8名となり、社外取締役が過半数を占めることになるとともに、その人数は14名となり、取締役会構成に関する上記の検討結果からしても、適切な体制となるものと考えております。
 なお、5名の社外取締役候補者の内、2名は請求株主が提案した候補者を会社提案としても提案するものとして第2号議案として上程しており、本議案では、会社提案のみの社外取締役候補者である3名を上程しております。

  1. 候補者番号1

    ツジ タカオ 孝夫

    生年月日
    (1949年9月28日生)
    新任 社外取締役 独立役員

    性別

    (男性)

    略歴、当社における地位、担当

    1973年4月
    日商岩井㈱(現 双日㈱)入社
    1999年6月
    日商エレクトロニクス㈱取締役
    2000年3月
    フュージョン・コミュニケーションズ㈱(現 楽天コミュニケーションズ㈱)社外取締役
    2001年6月
    日商エレクトロニクス㈱常務取締役
    2002年6月
    同社代表取締役社長
    2003年以降
    信州大学(MBA)、青山学院大学経営学部、同志社大学商学部、東京理科大学MOT、創価大学経済学部及び関西学院大学国際学部の非常勤講師を歴任
    2009年6月
    日商エレクトロニクス㈱取締役会長
    2009年9月
    宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙オープンラボ公募審査最終選定委員
    2010年7月
    双日㈱機械部門顧問
    2013年6月
    ㈱JVCケンウッド社外取締役
    2014年5月
    同社代表取締役社長執行役員最高執行責任者(COO)、最高革新責任者(CIO)、最高リスク責任者(CRO)
    2016年6月
    同社代表取締役社長執行役員最高経営責任者(CEO)
    2018年4月
    同社代表取締役会長執行役員最高経営責任者(CEO)
    2019年4月
    同社代表取締役会長
    2019年6月
    デクセリアルズ㈱社外取締役
    2021年7月
    ㈱JVCケンウッド特別顧問
    2021年11月
    ㈱立花エレテック特別顧問
    2021年12月
    横浜商工会議所機械・金属工業部会長
    2022年6月
    フィード・ワン㈱社外取締役(現任)
    2022年6月
    ㈱シンニッタン社外取締役(監査等委員)(現任)
    2022年6月
    ㈱立花エレテック社外取締役(現任)
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    重要な兼職の状況

    フィード・ワン㈱社外取締役
    ㈱シンニッタン社外取締役(監査等委員)
    ㈱立花エレテック社外取締役

    所有する当社株式の数

    0株

    社外取締役候補者とした理由及び期待される役割

     辻孝夫氏は、日商エレクトロニクス㈱、㈱JVCケンウッドの社長、会長、CEO等、上場企業の代表取締役として通算10年以上の経験を有し、さらに、複数の大学の非常勤講師や外部機関における経営者育成の講演等にも取り組み、複数の上場企業の社外取締役にも就任しています。
     同氏が代表取締役社長を務めていた日商エレクトロニクス㈱においては、コンピュータ関連の既存事業を、IP通信機器を駆使した情報通信インフラ事業に転換させ、ネットワーク・インテグレータとして確固たる地位を確立しました。同時にシリコン・ヴァレーを中心とした数多くのスタート・アップ企業への投資を行い、日本での販売のゲートウェイとして拡販し、それらの企業の上場に大きく貢献するという新たなビジネスモデルを確立しました。これらの事業転換により同社の東証二部市場から一部市場への指定替え、さらには、その後、グループ戦略の中で同社の非上場化を先導するなど、事業を取り巻く環境変化に適応したベストオーナーを意識した柔軟な企業経営を実践しました。また、㈱JVCケンウッドでは、企業価値拡大のため、資本配分の見直しを行い、事業構造変革を進め、M&A、新規事業の立ち上げ等を実行し、業績の拡大・安定化、財務健全性の改善、安定的な配当の実施等の実績を残しています。さらに、同社のコーポレート・ガバナンス改革においては、外形のみならず実践的な強化へいち早く取り組み、2015年には指名報酬諮問委員会の社外取締役のみでの構成、2016年には取締役会議長の社外取締役の登用、社外取締役評価制度の整備を行うなど、企業統合の複雑な歴史を背負った同社のガバナンス改革を実践してきております。また、これらの活動の中で、上場企業の代表者として、資本市場との対話を積極的に行ってきた豊富な経験も有しています。
     今後、当社が企業価値の向上を進めるにあたり、中立的かつ客観的な立場で、同氏の知識、経営者としての豊富で深い経験から、当社の経営及び企業価値向上において重要な役割を果たしていただけると判断したため、推薦いたします。

  2. 候補者番号2

    ニシナ 仁科 ヒデタカ 秀隆

    生年月日
    (1979年3月25日生)
    新任 社外取締役 独立役員

    性別

    (男性)

    略歴、当社における地位、担当

    2002年10月
    弁護士登録
    2003年4月
    日本銀行業務局
    2006年5月
    法務省民事局参事官室
    2011年1月
    中村・角田・松本法律事務所パートナー弁護士(現任)
    2013年6月
    ㈱アイネス社外監査役
    2014年4月
    一般社団法人全銀協TIBOR運営機関TIBOR監視委員会委員
    2017年3月
    ㈱日本アクア社外監査役(現任)
    2017年6月
    ㈱キタムラ社外取締役
    2019年3月
    バリオセキュア㈱社外監査役(現任)
    2019年4月
    ㈱キタムラホールディングス(非上場)社外取締役(現任)
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    重要な兼職の状況

    中村・角田・松本法律事務所パートナー弁護士
    ㈱日本アクア社外監査役
    バリオセキュア㈱社外監査役
    ㈱キタムラホールディングス(非上場)社外取締役

    所有する当社株式の数

    0株

    社外取締役候補者とした理由及び期待される役割

     仁科秀隆氏は、過去に社外取締役又は社外監査役となること以外の方法で会社の経営に関与したことはありませんが、企業法務・証券法関連分野に強みを持つ法律事務所で長年にわたり執務しているほか、政府機関等への勤務経験も有し、弁護士としての幅広い見識や経験を有しています。とりわけ、会社統治の基本となる会社法や、コーポレートガバナンス・コード及び各種ガイドラインを含む上場会社のコーポレート・ガバナンスに関連する案件への対応を通して培った幅広い知見と豊富な経験を有しております。また、多数の企業買収に第三者委員等の立場で関与するなど、M&Aや組織再編に関する深い見識も有していることから、中立的かつ客観的な立場で当社の経営及び企業価値向上のための具体的な施策の検討等において重要な役割を果たしていただけると判断いたしました。
     また、内部統制、コンプライアンスに関する豊富な見識も有し、複数の上場企業の社外役員として企業経営に関与した実績もあることから、取締役会の透明性向上及び監督機能の強化の役割を果たしていただけると判断したため、推薦いたします。

  3. 候補者番号3

    イマイ 今井 ヒカリ

    生年月日
    (1949年7月23日生)
    新任 社外取締役 独立役員

    性別

    (男性)

    略歴、当社における地位、担当

    1974年4月
    山一證券㈱入社
    1986年1月
    モルガン・スタンレー証券㈱(現 三菱UFJモルガン・スタンレー証券㈱)入社
    1993年4月
    メリルリンチ証券㈱入社
    1999年1月
    メリルリンチ日本証券㈱(現 BofA証券㈱)副会長
    2007年11月
    ㈱レコフ取締役副社長
    2008年4月
    同社代表取締役社長
    2010年7月
    エバラ食品工業㈱顧問
    2012年4月
    オリンパス㈱社外取締役
    2015年6月
    サイバーダイン㈱社外取締役(現任)
    2016年6月
    大平洋金属㈱社外取締役(現任)
    2016年12月
    ㈱スリーダム(現 ㈱スリーダムアライアンス)取締役会長
    2019年1月
    GPSSホールディングス㈱(現 GPSSエンジニアリング㈱)(非上場)社外取締役(現任)
    2019年11月
    ㈱島忠社外取締役(監査等委員)
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    重要な兼職の状況

    サイバーダイン㈱社外取締役
    大平洋金属㈱社外取締役
    GPSSエンジニアリング㈱(非上場)社外取締役

    所有する当社株式の数

    0株

    社外取締役候補者とした理由及び期待される役割

     今井光氏は、大手金融機関であるメリルリンチ日本証券㈱や独立系M&A助言会社である㈱レコフにおいて各種の企業経営者に、投資銀行の立場から資本市場の観点に立って様々な経営アドバイスを提供してきました。その後、複数の上場企業の社外取締役として事業会社の企業経営の実務に貢献し、企業の経営課題の明確化、解決の具体案の提示、改革の実行の支援に加え、事業戦略実行の局面でのM&Aにおける投資判断やリスクマネジメントの強化等に関する豊富な実績及び実務経験を有しています。
     とりわけ複数の証券会社での豊富な投資銀行業務経験により資本市場に関する専門的な見識を有するとともに、様々な事業会社や金融機関への経営助言をすることで、IT事業を含む広範な事業分野に関する幅広い知識、経験を有しています。
     また、上場企業の企業価値の最大化、企業経営基盤の強化という観点で、過去、オリンパス㈱では社外取締役として経営改革を推進したほか、㈱島忠や㈱ココカラファイン等の複数の経営統合候補先が存在する案件において特別委員として特定の株主または経営陣の利害に偏重しない中立的な立場から客観的な判断を下した具体的な実績を有しています。
     コーポレートファイナンスの専門家としての経験、多くのM&Aでの経験や様々な企業での社外取締役の経験等から、不動産を含む資産の健全化と適切な資本配分などの財務改革、企業の利益率改善や成長戦略、コーポレート・ガバナンスについて深い経験と見識を有しており、今後、当社が企業価値の向上を進めるにあたり、中立的かつ客観的な立場で、同氏の知識、経営者としての豊富で深い経験を生かして、重要な役割を果たしていただけると判断したため、推薦いたします。

(注)
  1. 所有する当社株式の数は2022年9月30日現在のものであります。
  2. 各取締役候補者と当社との間には、特別の利害関係はありません。
  3. 取締役候補者の指名に当たっては、社外取締役をメンバーに含む経営委員会にて「役員人事基準」の定めに則り事前に審議しています。
  4. 当社では、社外取締役の独立性判断基準として、東京証券取引所が定める独立役員の判断基準に加えて、社外の公正な立場から監督及び助言を行うことができ、かつ高い見識、出身分野における豊富な知識と経験を持つ人物を社外取締役として指名することとしています。
  5. 辻孝夫氏、仁科秀隆氏及び今井光氏は社外取締役候補者であり、社外取締役に選任された場合、東京証券取引所の定めに基づく独立役員として届け出る予定であります。
  6. 当社は、辻孝夫氏、仁科秀隆氏及び今井光氏が選任された場合は、各氏との間で責任限定契約を締結する予定であります。なお、当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、金1,000万円または法令が定める額のいずれか高い金額としております。
  7. 当社は、役員が職務の遂行にあたり、期待される役割を十分に発揮できるようにするとともに、有用な人材を迎えることができるよう、取締役全員を被保険者として、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険(D&O保険)契約を締結しており、本議案が原案どおり承認され、取締役に就任した場合には、各候補者は当該保険契約の被保険者となります。当該保険契約では、被保険者である役員等がその職務の執行に関し責任を負うこと、または、当該責任の追及に係る請求を受けることによって生ずることのある損害について填補することとされています。但し、法令違反の行為であることを認識して行った行為に起因して生じた損害は填補されないなど、一定の免責事由があります。保険料は特約部分も含め会社が全額負担しており、被保険者の実質的な保険料負担はありません。当該保険契約には免責額の定めを設けており、当該免責額までの損害については填補の対象としないこととされています。なお、当該保険契約は次回更新時においても同内容での更新を予定しております。


【第1号議案及び第2号議案をご承認いただいた場合の取締役及び監査役のスキルマトリクス】


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2022/12/04 16:00:00 +0900
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