事業の経過及びその成果

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における国内景気は、ウィズコロナの下で社会経済活動の正常化が進み、持ち直しの動きが進んだものの、世界的な金融引き締め政策、地政学リスクによる為替変動及び物価動向等に注視が必要な状況が続きました。
 建設業界においては、官公庁工事及び民間工事が堅調に推移したことから受注高は前連結会計年度を上回りましたが、収益面については資材価格の高騰などにより厳しい経営環境となりました。
 当社グループにおいては、2022年5月に「中期経営計画2024ローリングプラン」を公表し、建築、土木及び戦略の各基幹事業における顧客への提供価値の進化を進めるとともに、重点管理事業として、新TODAビル、海外事業及び浮体式洋上風力発電事業等の再エネ事業を掲げました。当連結会計年度においては、これらの事業へ成長投資を行うことで事業ポートフォリオを強化し、更に中長期的成長を目指すため、トップマネジメントの積極的関与のもと継続して成長投資を推進しました。なお、成長投資を推進する一方でROE(自己資本利益率)8%を中長期的に確保するため、IRR(内部収益率)及び資本コスト等の指標を使用し投資後の収益性を管理する等、投資プロセスの強化にも取り組みました。
 このような状況の中、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。
 連結売上高については、前連結会計年度と比較して土木事業及び国内投資開発事業の売上高は減少しましたが、建築事業、国内グループ会社事業及び海外投資開発事業の売上高が増加したことなどにより、5,471億円と前連結会計年度比9.1%の増加となりました。
 営業損益については、前連結会計年度と比較して海外投資開発事業の売上総利益は増加しましたが、建築事業において市場環境の変化による鉄骨などの資材価格上昇に伴い複数件の工事にて工事損失引当金を計上したことなどにより、売上総利益は573億円と前連結会計年度比8.5%の減少となりました。販売費及び一般管理費は、人件費及び減価償却費などが増加したこと、並びに新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和されたことにより各経費が増加したため、431億円と前連結会計年度比12.8%の増加となりました。その結果、営業利益は141億円と前連結会計年度比42.0%の減少となりました。
 経常利益については、保有する投資有価証券の受取配当金及び為替差益などにより営業外収益が前連結会計年度と比較して増加しましたが、全体としては190億円と前連結会計年度比32.3%の減少となりました。
 親会社株主に帰属する当期純利益については、段階取得に係る差益及び投資有価証券売却益などにより特別利益が前連結会計年度と比較して増加しましたが、環境・エネルギー事業において固定資産の減損損失が発生したため、全体としては109億円と前連結会計年度比40.8%の減少となりました。
 また、事業の種類別セグメントにおける業績は次のとおりであります。
 なお、当連結会計年度より報告セグメントを「建築」、「土木」、「国内投資開発」、「国内グループ会社」、「海外投資開発」及び「環境・エネルギー」の6区分に変更しております。



[建築及び土木]

 建築事業及び土木事業においては、国内及び海外において、施工を核として建設物のライフサイクル全般にわたり、事業の展開を図ってまいりました。
 この結果、建築事業の売上高は3,438億円(前連結会計年度比12.9%増)となり、セグメント損失は20億円(前連結会計年度は78億円のセグメント利益)となりました。また、土木事業の売上高は1,416億円(前連結会計年度比4.3%減)となり、セグメント利益は117億円(前連結会計年度比1.0%減)となりました。


[国内投資開発]

 国内投資開発事業においては、国内において保有する土地及び建物の有効利用を図るとともに、賃貸並びに国内の建築及び土木事業に付帯する販売を中心に事業を展開してまいりました。この結果、売上高は195億円(前連結会計年度比9.3%減)、セグメント利益は32億円(前連結会計年度比19.7%減)となりました。


[国内グループ会社]

 国内グループ会社事業においては、国内の連結子会社が行う建築事業、土木事業、ビル管理を主とする不動産事業、ホテル業、グループ企業内を中心とした人材派遣業、金融・リース業を中心に事業を展開してまいりました。この結果、売上高は523億円(前連結会計年度比15.9%増)、セグメント利益は19億円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。


[海外投資開発]

 海外投資開発事業においては、海外の連結子会社が行う海外における不動産の自主開発、売買及び賃貸等に関する事業、並びにインドネシア共和国において海外連結子会社が行う建築事業を中心に展開してまいりました。この結果、売上高は264億円(前連結会計年度の売上高は22億円)、セグメント利益は17億円(前連結会計年度比146.8%増)となりました。


[環境・エネルギー]

 環境・エネルギー事業においては、当社グループが行う発電及び売電に関する事業を中心に展開してまいりました。この結果、売上高は15億円(前連結会計年度比124.2%増)、セグメント利益は1億円(前連結会計年度は8億円のセグメント損失)となりました。


 なお、当社個別の部門別の受注高・売上高・繰越高は、次のとおりであります。


 当社個別の部門別受注高・売上高・繰越高



 当期の主な受注工事

[建築]

・舞洲開発特定目的会社  (仮称)DPL大阪舞洲新築工事
・ラム特定目的会社ESR  OS1データセンター新築工事
・サンライズ印西フォー特定目的会社  (仮称)サンライズ印西フォーDC建設工事
・(独)国立印刷局  王子工場事業棟新築ほか工事(建築)
・愛知県  明和高等学校校舎等建築工事
・福岡冷蔵㈱  福岡冷蔵株式会社 新東冷蔵庫新築工事

[土木]

・中日本高速道路㈱  東海北陸自動車道(4車線化)袴腰トンネル工事
・JR東日本エネルギー開発㈱  いわき馬揚山風力発電所
・西日本高速道路㈱  広島呉道路 吉浦トンネル工事
・中日本高速道路㈱  新名神高速道路 錐ヶ瀧橋他1橋(PC上部工)拡幅工事

 当期の主な完成工事

[建築]

・木曽岬特定目的会社  ESR弥富木曽岬ディストリビューションセンター新築工事
・ヨコハマしんこうパートナーズ㈱  横浜地方合同庁舎(仮称)整備等事業
・高島屋南市街地再開発組合  高島屋南地区第一種市街地再開発事業 施設建築物新築工事
・三井不動産㈱  三井不動産ロジスティクスパーク弥富木曽岬 新築工事
・札幌貨物施設開発特定目的会社  (仮称)DPL札幌レールゲート新築工事
・佐賀県  SAGAサンライズパークアリーナ新築工事

[土木]

・(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構  相鉄・東急直通線、綱島トンネル他
・(同)JRE八幡岳  七戸十和田風力発電事業
・神戸市  西部処理場北系水処理施設築造工事(土木)
・東日本高速道路㈱  東北自動車道 吉原橋(ロッキング橋脚)耐震補強工事

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2023/06/29 12:00:00 +0900
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