第22回定時株主総会招集ご通知 証券コード : 2158
当社は、自社開発の特化型AI「KIBIT」の提供を通じて、日夜、社会課題と向き合う各分野の専門家の判断を支援し、イノベーションの起点を創造しております。当社独自の自然言語処理技術(日米特許取得)は、汎用型AIとは異なり、教師データの量及びコンピューティングパワーに依存することなく、高速かつ高精度での解析を可能にします。加えて、解析した情報をマップ化(構造を可視化)する特許技術を活用することで、「KIBIT」が専門家のインサイトにダイレクトに働きかけることができ、近年、「KIBIT」の技術が創薬の仮説生成や標的探索にも生かされております。
「KIBIT」の独自技術及びアプローチを通じて、「記録に埋もれたリスクとチャンスを見逃さないソリューションを提供し、情報社会のフェアネスを実現する」という理念の実現に向けて、ライフサイエンスAI、ビジネスインテリジェンス、経済安全保障、リーガルテックAIの各分野で社会実装を推進しております。
2025年3月期は、3期ぶりに通期で連結営業黒字を達成することができただけでなく、期初の連結営業利益予想を、2度にわたり上方修正するなど大きく上回る結果となりました。さらに、AIソリューション事業がリーガルテックAI事業の営業利益を初めて上回り、当社の成長ドライバーがより明確となりました。中でも、ライフサイエンスAI分野のAI創薬領域においては、推進している共創プロジェクト案件を着実に積み上げ、KPIの3件を大幅に上回る7件の成約となりました。2029年3月期の中期経営計画(ステージ4)の達成に向けて、ライフサイエンスAI分野を中核事業と位置づけ、引き続き積極的な先行投資を行ってまいります。
また、当社グループは、2029年3月期の中期経営計画(ステージ4)の達成に向け、ライフサイエンスAI事業を中核事業と位置づけたこと、また2025年4月30日付で株式会社アルネッツを子会社化し製造業向けDX事業の強化を決定したことを背景に、事業戦略に適したポートフォリオに組み替えることを目的として、2026年3月期第1四半期より報告セグメントを変更いたします。
今後も、各事業の成長特性(リニア/非連続)及びその要因を明確化し、経営資源の選択と集中を一層強化することで、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。
ライフサイエンスAI事業
ライフサイエンスAI事業では、独自の自然言語処理AI技術を中核として、AI創薬とAI医療機器の2つの分野において、さらなる事業拡大を進めてまいります。
AI創薬分野
日本政府は2024年12月3日に創薬力強化・後発医療品などの安定供給確保に向けた政策パッケージを公表しました。これにより、2025年以降、日本国内での創薬力強化の具体策が動き出す見通しです。その中で、新薬開発における標的分子の枯渇や適応症探索の難しさが課題として認識されております。
当社は、自然言語処理技術を強みとする自社開発の特化型AI「KIBIT」を活用し、疾患関連性の高い未報告の標的分子を抽出し、その根拠となる疾患メカニズムの仮説を提示するAI創薬支援サービス「DDAIF」を提供しております。DDAIFを活用し製薬企業と当社の研究者間で協調しながら最終成果物を創造する「共創プロジェクト」が複数の製薬企業と進行しており、これらの成功実績を基にさらなる共創プロジェクトの拡充を目指してまいります。
また、DDAIFを核として疾患領域やモダリティに応じた最適な共創パートナーとのエコシステムを構築し、創薬の生産性を最大化し、開発期間の短縮と創薬の成功確率の向上を目指してまいります。具体的には、最適な共創パートナーとの技術連携により創薬プロセスの分断を解消し、低コストかつ短期間での創薬活動を実現いたします。さらに、新規性の高い標的や適応症を同時並行で探索し仮説とともに提供することにより、成功確率の高いプロジェクトへの集中を可能とし、リソースの効率的な活用、開発の成功確率向上、アセット価値の最大化を図ります。当社の独自技術と革新的アプローチにより非連続的な成長を目指してまいります。
AI医療機器分野
AI医療機器分野では、2024年2月に塩野義製薬と「認知症・うつ病の診断支援AIプログラム事業に関する戦略的業務提携契約」を締結以降、「会話型 認知機能検査用AIプログラム医療機器(SDS-881)」の日本での製造販売承認取得及び社会実装に向けた開発は順調に進捗しております。開発の進展に応じたマイルストンフィー、製品上市後の販売額に応じたロイヤリティフィーを受領する予定であり、中長期的な収益基盤の構築を開始しております。
並行して、非医療機器の産業横断アライアンスに関しても、大手企業との本格的な事業化に向けたプロジェクトの協議を開始し、早期リリースに向けて開発を進めております。また、既存の技術を活用した統合失調症やADHDなどの精神神経疾患領域を対象とする医療機器及び非医療機器開発も検討を進めており、対応範囲の拡大を目指しております。
引き続き、世界初の自然言語処理AIを用いた医療機器及び非医療機器の開発、事業化、早期市場浸透を通じた社会実装を目指すとともに、新規アライアンスを視野に入れたパイプラインの拡充を行い非連続的な成長を目指してまいります。
リスクマネジメント事業
リスクマネジメント事業の各分野においては、従来からの強みを活かし個々のソリューション導入やサービスの提供を行いつつ、各分野の連携を強め、クライアントが直面する「平時」・「有事」におけるリスク解決を、全体最適の視点でサポートしてまいります。
ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野
ビジネスインテリジェンス・コンプライアンス支援分野では、企業の不正リスクの未然防止に関する社会的な要請が高まっており、コンプライアンス体制の構築が急務となっております。このため、AI監査ソリューションの導入ニーズが増加しており、今後もさらなる事業の成長を見込んでおります。当社は、「KIBIT Eye」「KIBIT Knowledge Probe」を中心とした、平時におけるコンプライアンス監査ソリューションを提供し、大手顧客に対する取引拡大を軸とした活動により、さらなるリカーリング収益の拡大を通じて、当社グループの収益基盤の安定化と継続的な成長を目指してまいります。
経済安全保障分野
経済安全保障分野では、世界情勢と社会構造の急激な変容を背景に、調達リスクや各国の規制による制裁リスクが一層高まっております。国際的に事業を展開する民間企業にとって、リスク対策だけでなく対応の遅れによる機会損失も懸念されており、サプライチェーンリスクの可視化や制裁リスト対象国・組織の実質支配を把握するニーズが一層増しております。また、重要技術の情報漏洩や技術流出防止策の必要性が高まり、政府からも適切な管理が提言されるなど、大学や研究機関、民間企業においては、平時の段階からこれらのリスクへの対応が急務となっております。
当社は、「KIBIT Seizu Analysis」を活用したサプライチェーン解析、株主支配ネットワーク解析、最先端技術・研究者ネットワーク解析ソリューションの提供を通じて、リカーリング収益の拡大を基盤としつつ、非連続的な成長を目指してまいります。
リーガルテックAI分野
リーガルテックAI分野において当社は、日本における有事対応サポートのリーディングカンパニーとして、圧倒的な実績と信頼性を強みとしております。特化型AI「KIBIT」を活用した国内デジタル・フォレンジック調査や日本及び韓国市場を対象としたeディスカバリ支援事業を中心に展開してまいります。また、当社が独自に運営するポータルサイト「FRONTEO Legal Link Portal」を通じたマーケティング活動及び営業活動を積極的に行い、収益相関性の高い事業運営を継続してまいります。
DX事業
ビジネスインテリジェンス・プロフェッショナル支援分野
当社がプロフェッショナル支援分野のソリューションを展開する製造業においては、国内生産年齢人口の減少が加速する中、AI等の先進技術活用を前提とした生産革新が求められています。こうした課題と需要を背景として、プロフェッショナル支援分野は今後さらなる成長拡大が期待されます。
当社は、「匠KIBIT零」、「KIBIT WordSonar for AccidentView(キビット ワードソナー フォー アクシデントビュー)」、「KIBIT WordSonar for VoiceView(キビット ワードソナー フォー ヴォイスビュー)」を製品ラインナップの中心として位置づけ、多様化する企業ニーズを的確に捉えた開発と徹底した内部稼働率管理を通じて生産性の向上を図ってまいります。
株式会社アルネッツ・DX内製化支援、システム開発分野
アルネッツは、独国Siemens社が提供するローコードプラットフォーム「Mendix(メンディックス)」を活用したDXソリューションを通じて、コスト抑制はもとより最適化を前提とした基幹システムのモダナイゼーションを実現してまいりました。
現在の「Mendix」導入先企業は製造業が中心であり、基幹システムやPLMとの連携システムとして活用されるケースが多く見られます。当社のプロフェッショナル支援ソリューション「匠KIBIT零」を「Mendix」へアドオンすることで新たな付加価値を創出し、お互いの顧客基盤に対するクロスセル効果を通じたソリューション提供領域の拡大を目指し、DX事業の基盤を築いてまいります。