第31回 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 3774
株式会社インターネットイニシアティブ 当連結会計年度における国内景気は緩やかに持ち直しました。先行きにつきましては、各種政策の効果もあり、引き続き景気の持ち直しが期待されるものの、物価上昇、エネルギー資源等の供給面での制約、世界的な金融引締めによる金利や為替の変動等の影響を注視する必要があります。
そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT(※1)関連市場では、企業及び官公庁のITサービスの利用拡大を背景としたインターネットトラフィック(※2)の継続増加、インターネット上の脅威に対抗するセキュリティ関連サービスの重要性の高まり、クラウドコンピューティング(※3)関連サービスの順次普及、それらサービスを総合的に利用するIoT(※4)の実用化の進展等により、今後も信頼性の高いネットワークシステムへの需要増加が継続していくものと想定しております。
当連結会計年度の事業進展につきましては、コロナ禍の一服後もITサービス利用の需要は堅調に推移し、加えて、社内外ネットワーク更改等のネットワークサービスとシステムインテグレーションを複合した大型案件の提案機会が増加しました。それらの結果、売上高が想定以上に伸長し、システムインテグレーションの受注額及び受注残高も順調に増加しました。ネットワークサービス分野では、月額計上される法人向けネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(※5))の売上高は前年同期比10.5%増と堅調に推移しました。その内訳といたしまして、IPサービス(※6)は、既存顧客のIT利用増加等に伴う契約帯域の大容量化及び新規案件獲得等により売上高及び契約総帯域が増加しました。アウトソーシングサービスは、サイバー攻撃等の脅威への対策としてセキュリティ関連サービスの需要が活況で、売上高は前年同期比15.5%増と増収を牽引しました。WANサービス(※7)は、多拠点の社内網を接続するネットワーク案件等が堅調に推移しました。モバイル関連サービスにおいては、法人向けは継続した案件需要と既存案件の回線数増加等により売上高及び回線数が伸長し、個人向けはIIJmioモバイルサービスの回線数の大幅増加が前期初開始のギガプラン(※8)への旧プラン顧客の順次移行による平均顧客単価の継続低下影響を吸収し増収となりました。システムインテグレーション分野では、ネットワーク構築を中心とした需要が活況でシステム構築売上高は前年同期比21.4%増となり、受注額及び受注残高は各々14.6%増及び10.8%増となりました。システム運用保守は、構築案件より生じる継続的なシステム運用の増収に加えて、マルチクラウド(*9)需要の高まりによるクラウドコンピューティング関連サービスの増収等もあり売上高は前年同期比13.4%増となり、受注額及び受注残高は各々22.0%増及び14.3%増となりました。国際事業の売上高(上記ネットワークサービス及びシステムインテグレーション売上高の一部)はグローバルSASE(※10)案件の複数獲得や前期初に子会社となったシステムインテグレーターであるシンガポールのPTC SYSTEM (S) PTE LTDの増収等により前年同期比43.2%増となりました。また、直近で30億円規模の海外データセンター構築案件も受注しました。サービス開発においては、既存サービスの継続的な機能拡充による付加価値向上に加え、オンプレミス(※11)環境とクラウド間の接続サービス「IIJプライベートバックボーンサービス/Smart HUB」、自社開発SASEサービス「IIJセキュアアクセスサービス」、オンプレミス環境とクラウド間のデータ連携サービス「IIJクラウドデータプラットフォームサービス」、法人向けモバイルサービス「IIJモバイルサービス/タイプD for IIJmio Biz」等の新サービスを開発しました。設備面では、インターネットバックボーンの継続増強や自社データセンターの追加建設等により旺盛なサービス需要への対応を進めております。人材の確保については、当期は新卒採用178名に加え中途採用による増員もあり、当連結会計年度末の連結従業員数は前年度末比304名増の4,451名となりました。また、更なる事業成長に向けて、2023年4月入社の新卒採用は246名へと拡大しました。サステナビリティの取り組みとしては、TCFD提言に基づく情報開示や温室効果ガス削減に向けた自社データセンターでのオンサイト太陽光発電等を推進しました。
当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は前年同期比11.7%増の252,708百万円(前年同期 226,335百万円)となりました。売上原価は前年同期比11.5%増の194,800百万円(前年同期 174,707百万円)となり、売上総利益は前年同期比12.2%増の57,908百万円(前年同期 51,628百万円)となりました。その内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比8.4%増の138,922百万円(前年同期 128,213百万円)、売上総利益は前年同期比7.1%増の38,146百万円(前年同期 35,618百万円)となりました。ネットワークサービスの売上原価におきましては、第3四半期において㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料(※12)の2021年度利用分単価確定による費用戻し効果5億円強(前年同期においては10.8億円の効果)がありました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比16.4%増の110,944百万円(前年同期 95,338百万円)、売上総利益は前年同期比24.2%増の18,553百万円(前年同期 14,942百万円)となりました。ATM運営事業の売上高は前年同期比2.1%増の2,842百万円(前年同期 2,784百万円)、売上総利益は前年同期比13.2%増の1,209百万円(前年同期 1,068百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比9.3%増の30,687百万円(前年同期 28,081百万円)となりました。営業利益は、前年同期比15.6%増の27,221百万円(前年同期 23,547百万円)となりました。税引前利益は、ファンドに係る金融資産評価益303百万円(前年同期 3,055百万円の評価益)、為替差益365百万円(前年同期 327百万円の利益)、支払利息等の金融費用552百万円(前年同期 556百万円)、持分法損失204百万円(前年同期 2,335百万円の損失)等があり、前年同期比13.0%増の27,309百万円(前年同期 24,162百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比20.2%増の18,838百万円(前年同期 15,672百万円)となりました。
ネットワークサービス売上高は、前年同期比8.4%増の138,922百万円(前年同期 128,213百万円)となりました。
このうち、法人向けインターネット接続サービスの売上高は、IPサービス、法人IoT等用途向け法人モバイルサービス及びブロードバンド対応型サービス等の売上増加が、IIJモバイルMVNOプラットフォームサービスにおける調達コストの低減に応じた減収影響等を吸収し、前年同期比6.2%増の40,253百万円(前年同期 37,911百万円)となりました。個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービスにおいて、回線数増加に伴う売上増加が前期初のギガプランへの旧プラン顧客の継続移行による平均顧客単価低下の年度影響等を吸収し、また、その他の個人向け光ファイバー接続サービス等も増加し、前年同期比3.7%増の24,235百万円(前年同期 23,376百万円)となりました。アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス売上高等の増加があり、前年同期比15.5%増の46,808百万円(前年同期 40,523百万円)となりました。WANサービスの売上高は、前年同期比4.6%増の27,626百万円(前年同期 26,403百万円)となりました。
ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比8.8%増の100,776百万円(前年同期 92,595百万円)となりました。モバイル端末仕入の増加及び㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料の2021年度利用分単価確定による費用戻し効果5億円強(前年同期においては10.8億円の効果)等がありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比7.1%増の38,146百万円(前年同期 35,618百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は27.5%(前年同期 27.8%)となりました。
システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比16.4%増の110,944百万円(前年同期 95,338百万円)となりました。
システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比21.4%増の42,945百万円(前年同期 35,376百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げ及びクラウド関連サービスの売上高増加等があり、前年同期比13.4%増の67,999百万円(前年同期 59,962百万円)となりました。
システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、売上増加に伴う仕入及びマルチクラウド関連サービスのライセンス費用の増加等があり、前年同期比14.9%増の92,391百万円(前年同期 80,396百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比24.2%増の18,553百万円(前年同期 14,942百万円)となり、売上総利益率は16.7%(前年同期 15.7%)となりました。
当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比19.2%増の120,910百万円(前年同期 101,476百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比14.6%増の44,293百万円(前年同期 38,660百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比22.0%増の76,617百万円(前年同期 62,816百万円)でありました。
当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比13.7%増の82,757百万円(前年同期末 72,791百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比10.8%増の13,799百万円(前年同期末 12,451百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比14.3%増の68,958百万円(前年同期末 60,340百万円)でありました。
ATM運営事業売上高は、前年同期比2.1%増の2,842百万円(前年同期 2,784百万円)となりました。
ATM運営事業売上原価は、前年同期比4.8%減の1,633百万円(前年同期 1,716百万円)となりました。売上総利益は、前年同期比13.2%増の1,209百万円(前年同期 1,068百万円)となり、売上総利益率は42.5%(前年同期 38.3%)となりました。
セグメント別では、当連結会計年度のネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業の売上収益は、前年同期比11.8%増の249,970百万円(前年同期 223,678百万円)となり、営業利益は前年同期比15.5%増の26,322百万円(前年同期 22,799百万円)となりました。当連結会計年度のATM運営事業の売上収益は、前年同期比2.1%増の2,842百万円(前年同期 2,784百万円)となり、営業利益は前年同期比10.2%増の919百万円(前年同期 834百万円)となりました。
文中に(*)を付した用語については、下記に記載の用語解説をご参照下さい。
(ご参考)用語解説
1.ICT
Information and Communication Technologyの略。コンピュータによる情報通信に関するハードウェア、ソフトウェア、システム及びデータ通信等に関する技術の総称。
2.インターネットトラフィック
インターネットを通じて転送されるデータ流量のこと。
3.クラウドコンピューティング
コンピュータの機能や処理能力、ソフトウェア、データ等をインターネット経由で利用すること。
4.IoT
Internet of Thingsの略。モノのインターネットと言われ、これまでインターネットに接続されていなかった物体に通信機能を持たせることで、物体が情報通信を行うようになること。
5.モバイル関連サービス
IIJモバイルサービス(法人IoT用途向け直接提供及びIIJモバイルMVNOプラットフォームサービス)及びIIJmioモバイルサービス。
6.IPサービス
当社が提供する、フルスペックの法人向け専用線型インターネット接続サービス。
7.WANサービス
WANはWide Area Network(広域通信網)の略であり、専用線等を用いて、本店支店間等の地理的に離れたLAN同士を接続し、データをやりとりする広域ネットワークサービスのこと。
8.ギガプラン
当社が2021年4月1日より提供開始した、個人向けモバイルサービスの新料金プラン。
9.マルチクラウド
Amazon Web ServicesやMicrosoft Azureなどの異なる事業者のクラウドサービスを複数併用すること。
10.SASE
Secure Access Service Edgeの略。従来の本社やデータセンターでの集中的セキュリティ統制に代えてクラウドサービスへの経路上でネットワーク制御とセキュリティ統制を行うことで、あらゆる環境からセキュアなアクセスが可能となるようシフトする考え方。
11.オンプレミス
企業等が管理する設備内やデータセンター等に自社のサーバやソフトウェア等の情報システムを配置し運用を行うこと。
12.モバイルデータ接続料
株式会社NTTドコモ等のモバイルキャリアと当社の間のモバイル設備の利用に係るデータ通信帯域に係る費用、Mbps当り単価のこと。
13.IIJモバイルMVNOプラットフォームサービス
MVNO事業者へのモバイルサービスの構築・支援及び通信回線等の提供サービス。