事業の経過及び成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出を中心とした生産活動の持ち直しや、都市部での再開発需要の高まり、インバウンド需要の持ち直しなどから回復傾向にあります。今後についても、良好な雇用所得環境を背景とした個人消費の回復、企業収益の回復や人手不足を背景とした合理化・省力化へのニーズから堅調な推移が見込まれる設備投資、五輪関連の建設需要などが景気回復要因として考えられます。しかしながら、海外においては欧米諸国の政権運営に不透明感があることや、米中間での貿易摩擦などが懸念材料となっており、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
 当社グループの属する情報サービス業界におきましては、金融や流通分野での制度対応としてのシステム更新のほか、戦略投資としてのIT投資案件が増加しており、AIやIoT技術を利用した新しいビジネスの伸展、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した「働き方改革」に寄与する業務合理化、フィンテックによる新たなサービスの提供などへのニーズの高まりを背景に、市場環境は引き続き良好な状態が続くものと思われます。
 このような環境下、当社グループでは、お客様への幅広いソリューションやサービスの提案・提供、既存ソリューションの成長に加え新規のソリューションやサービスの開発、決済クラウド「iRITSpay(アイ・リッツペイ)」やRPAなどの戦略商品の拡大、新技術の取得によるソリューションの強化や新規事業の発掘などに取り組んでおります。主力商品である金融機関向けプロダクトは、金融機関の収益環境が人口減やマイナス金利により厳しい状況となる中、収益源の多様化や業務の効率化を進めていくためのソリューションとして積極的に営業活動を行ってきました。RPAにおいては、担当人員の増員及び複数の事業部で提案活動を行うことで体制の強化を図り、受注拡大に向けて取り組んでおります。小売業向け基幹システム及びECサイト構築システムでは、前期に受注した百貨店の基幹システムが順調に稼働を開始しました。また、公共分野においては、地方自治体でのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務や学務支援システム案件で新規に受注を獲得しました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は118億31百万円(前期比106.5%)、営業利益は15億35百万円(前期比120.9%)、経常利益は16億5百万円(前期比120.6%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益の計上などにより11億24百万円(前期比124.0%)となりました。
 当社グループは、システムインテグレーターとして顧客の業態やニーズに応じたソフトウェアを開発し、システム機器や関連商品と併せて提供するほか、情報通信ネットワークの構築・運用管理や保守サービスに至るITソリューション・サービスを行うとともにBPOなどを行っております。
 当連結会計年度の受注高は128億52百万円(前期比120.9%)、受注残は83億80百万円(前期比113.9%)となりました。また、セグメント別の営業概況は次のとおりです。

(システムソリューション)

 システムソリューションでは、フィナンシャルシステム事業部につきましては、リニューアル化が完了したWEB版債権管理システムの地方銀行への導入を行いました。また、販売を開始した個人ローン業務支援システム「SCOPE(スコープ)」は、当社の実績が評価され他社ベンダーからの移行も進んでおり、好調に受注を獲得しております。コールセンター向けソリューションにおいては、録音システムやロボティックコールで新規案件を受注しており、RPAにおいても中央官庁や大手通信会社で新規に受注を獲得したほか、地方銀行をはじめとする既存顧客からも本格運用に伴う追加受注を獲得しております。小売業向けソリューションでは、昨年度に地方百貨店から受注した基幹システム「RITS(リッツ)」や新型POSシステムが稼働したほか、戦略商品である「iRITSpay」も既存ユーザーを含めて積極的な販売活動を行っております。ECサイト構築システムにつきましては「ITFOReC(アイティフォレック)」の機能強化を実施したことも奏功し、多くの新規ユーザーを獲得しております。
 その結果、受注高は82億37百万円(前期比137.9%)、売上高は66億53百万円(前期比111.8%)、セグメント利益は17億65百万円(前期比106.0%)となりました。

(サービスソリューション)

 サービスソリューションでは、安定収益源である保守サービスや公共分野向けビジネスを中心に活動しています。注力市場として取り組んでいる公共分野向けビジネスは、前期に受注を獲得したBPO案件が期初から売上に寄与しており、順調に拡大していますが、一部大型BPO案件終了の影響もあって、受注は伸び悩んでおります。
 その結果、受注高は26億10百万円(前期比94.8%)、売上高は32億51百万円(前期比105.8%)、セグメント利益は5億24百万円(前期比231.0%)となりました。

(基盤ソリューション)

 基盤ソリューションでは、システム機器販売、基盤インフラ設計・構築・納入・設置、ネットワークシステム、クラウド基盤関連ソリューションの提供を事業展開しています。複数事業部で幅広い提案活動を行うことで顧客層の拡大に取り組んでおり、大型のシステム構築案件獲得もあり受注は前年同期を上回りました。ただし、大手モバイル通信キャリア向け案件の投資が一段落したことなどから前期末受注残が大幅に減少した影響で、売上高は伸び悩んでおります。
 その結果、受注高は20億3百万円(前期比105.2%)、売上高は19億25百万円(前期比92.2%)、セグメント利益は3億91百万円(前期比107.3%)となりました。


[売上高の内訳]
セグメント別の売上構成は以下のとおりです。

<社会貢献活動>
本事業年度につきましては2017年7月5日から九州北部において発生した大雨災害への義援金として日本赤十字社に寄付を行っております。

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2018/06/20 23:00:00 +0900
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