第20期 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 6619
① 事業上の対処すべき課題
当社グループでは、成長に向けて以下の点を重要課題として取り組んでまいります。
a. 新規顧客の拡大
当社グループは、大手顧客を中心に販売活動を行ってまいりました。これまで、限られた大手顧客からの受注が大きかったため、設備投資を積極的に行い、生産能力を振り向けざるを得ない状況が続いてきました。しかし、これまでの事業環境が大きく変化しています。そのため、この環境変化に対応すべく、顧客やアプリケーションの多様化に向けて営業活動を強化してまいります。
b. ビジネスリスクの分散
当社グループは、リチウムイオン二次電池用セパレータを主要事業として取り組んでまいりました。現在生じている電池業界の環境変化に直面し、新たな分野に進出し複数の事業に取り組むことで、ビジネスリスクの分散を進めております。そのため、これまで培ったメンブレン技術を利用して、イオン交換膜事業等の新たな事業分野に積極的な事業展開を行ってまいります。
c. 資金調達
当社グループが取り組んでいる事業分野は設備産業であり、多額の資金が必要なビジネスです。そのため積極的に設備投資を行ってまいりました。また、今後もメンブレン技術を利用して新たな事業分野で積極的に事業を進めてまいります。そのために、製造設備投資、研究開発投資び運転資金の増大に対応した資金調達は、事業を成長、継続していく上で重要な課題であると認識しており、今後も財務基盤の充実強化に取り組んでまいります。
d. 生産性の向上
リチウムイオン二次電池用セパレータ事業は、電池需要の低迷により販売価格が低下傾向にあります。そのため、当社グループでは生産性向上に向けた既存の生産設備の改良に取り組んでまいりました。今後、この改良設備をすべての設備に導入し、販売価格の低下に対応してまいります。また、イオン交換膜事業においても生産設備を導入し、イオン交換膜設備の製造原価の低減を進めて競争力を確保してまいります。
e. 持続可能な成長に向けた取り組み
世界各国のSDGsへの取り組みは、環境保全と社会貢献を経営理念としている当社にとって重要な課題です。そのため、様々な事業分野で当社のメンブレン技術が環境にやさしく、社会に貢献していく製品を追及していくことと合わせて、ESG経営への取り組みを促進していくことが、持続可能な成長に必要不可欠なことであると認識しています。今後、ESG委員会を通じて、グループ内でESGに関する啓蒙活動、グループ間での情報共有及び情報発信などを進めていくこととしています。
② 財務上の対処すべき課題
当社グループは、当連結会計年度に営業活動によるキャッシュ・フローのプラスを計上しましたが、当社では継続して営業キャッシュ・フローのマイナスを計上しており、債務の支払いに懸念が生じているため、連結子会社を含めた資金繰りを考慮する必要があります。これらの状況から、当連結会計年度末において継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していますが、当社の資金面においては、当連結会計年度末の手元資金の確保状況をもとに、当社の年度事業計画に基づく今後の収支推移見込み及び連結子会社を含めた資金繰りを踏まえ、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
なお、当社は、新規顧客とのハイエンド車載用電池向けや新規事業の取引開始に向けて準備を進めております。連結子会社であるW-SCOPE KOREA CO., LTD.(以下、WSK) は、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度においても営業損失を計上しておりますが、イオン交換膜事業における顧客との新規契約及び既存交換需要を見込んでおります。
セパレータ事業においても主要顧客であるSDI社との現状の協議においては2025年下期からは需要の回復を見込んでおり、2026年上期には欧州車載用途セパレータ需要も回復し、セパレータ製造ラインはフル稼働の状況に回復する見通しです。
グループ全体の資金面においては、当社の債務の支払資金を確保するために、WSKの事業進捗や金融機関等からの借入に伴うWSKの資金を利用しながら当社の運転資金を賄うほか、当社への貸付も計画しております。