事業報告

事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における日本経済は、設備投資の持ち直しの動きや企業収益に改善の動きが見られ、雇用・所得環境の改善を背景に、低調だった個人消費も下期以降、徐々に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調が継続しました。

 期初に外国為替相場において1ドル=112円台で始まったドル/円相場は、4月末に日本銀行が追加金融緩和を見送ったことを受けて1ドル=106円台にまで円が急騰し、円高・株安の展開となりました。その後、米国の利上げ観測の高まりや原油高等によりドル高・円安が進行し、日経平均株価も戻り基調で推移しましたが、6月に入ると米雇用統計の下振れを受けて対円でドルが下落、円高基調となりました。6月24日に英国のEU離脱が決定すると、一時1ドル=99円台をつけるなど急激に円高が進行、日経平均株価も15,000円を割り込んで年初来最安値を更新し、リスクオフの流れが強まりました。7月中旬に参院選で与党が勝利すると大型経済対策への期待から日経平均株価は大幅に反発し円安が進みましたが、7月下旬の日銀追加緩和の発表を受けて円は1ドル=105円台から1ドル=102円台にまで買われ、その後も円高が継続しました。9月に入り米国株高などが好感され日経平均株価が17,000円を回復する場面もあったものの上値の重い展開となりました。10月以降は米国での年内利上げ観測の高まりなどを背景に円安が進行し、日経平均株価も上昇しました。11月初旬の米国大統領選挙では開票速報を受けてドル/円相場、日経平均株価ともに乱高下する展開となったものの、大統領選挙後は次期米国大統領の経済政策への期待などから円安株高が進み、12月にはドル/円は1ドル=118円台にまで円安が進み、日経平均株価も19,000円台を回復しました。 しかしながら、年明けの1月中旬の米国次期大統領の記者会見で具体的な経済政策への言及がなかったことで円高が進行し日経平均株価も反落、その後も円高進行や米国新政権の経済政策に対する不透明感などから株式市場は軟調に推移し、当連結会計年度末の日経平均株価は18,909円26銭、ドル/円相場は1ドル=111円台で取引を終えました。このような相場展開を受けて、当連結会計年度における個人投資家の二市場(東京、名古屋の各証券取引所)の株式委託売買代金は前期比で16%の減少、当社グループにおける株式等委託売買代金は同20%の減少となりました。

 このような市場環境の中、当社連結子会社のGMOクリック証券株式会社(以下、「GMOクリック証券」といいます。)においては、主力の店頭FXやCFDを伸ばすため、各種キャンペーンの実施やCFDの取扱銘柄追加などサービスの利便性向上に努めるとともに、新しい技術への挑戦として、仮想現実(VR)技術を活用したスマートフォン用VRトレードアプリ「GMO-FX VRトレード」をリリースしました。また、預り資産拡大に向けた取り組みとして、大和証券グループとの業務提携による投資情報動画サイト「GMOクリックTV投資チャンネル」の開設や貸株サービス、貸付型クラウドファンディング「maneo」、投資信託の取り扱いを開始し、商品ラインナップやサービスの充実に努めました。株式会社FXプライムbyGMO(以下、「FXプライム」といいます。)においては、スマホアプリ「外為ウォッチ」の提供開始、各種キャンペーンの実施、店頭FXの取扱通貨ペアの追加等により、お客様の取引環境及びサービスの利便性向上に注力しました。

 これらの諸種の施策により、当連結会計年度末におけるGMOクリック証券の証券取引口座は311,078口座(平成28年3月末284,648口座)、店頭FX口座は478,009口座(平成28年3月末436,199口座)、FXプライムの取引口座数は171,804口座(平成28年3月末168,449口座)となり、顧客基盤は更に拡大しました。

 また、当連結会計年度における新しい取り組みとして、当社は平成28年7月にあおぞら信託銀行株式会社へ出資し、あおぞら銀行グループ(株式会社あおぞら銀行及びあおぞら信託銀行株式会社)とGMOインターネットグループ(GMOインターネット株式会社及び当社)で検討を進めていた新インターネット銀行の共同運営に向けたプロジェクトに参画いたしました。その他、GMOインターネットグループにおいて仮想通貨の交換及び取引事業を担うGMO Wallet株式会社(現GMO-Z.comコイン株式会社)に35%の出資を行い、持分法適用関連会社といたしました。海外での事業展開においては、平成28年11月、株式売買代金がASEAN諸国内でトップクラスの証券市場を有し、今後も金融サービスの需要拡大が見込まれるタイ王国に現地法人を設立し、同国での証券業ライセンスの取得を前提に平成29年度の証券業の開始を目指して準備を進めております。

 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は26,196百万円(前期比9.7%減)、純営業収益は24,829百万円(同9.5%減)、営業利益は9,014百万円(同15.0%減)、経常利益は8,928百万円(同15.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,159百万円(同4.6%減)となりました。