当社グループの現況に関する事項

(1)主要な事業内容

 主要な事業内容は以下のとおりです。

四輪事業

四輪車用シートおよび内装品等の製造販売

 主要な製品 

二輪事業

二輪車用シートおよび樹脂部品等の製造販売

 主要な製品 

その他事業

二輪・四輪以外のシートならびに部品等の製造販売および四輪自動車販売等

 主要な製品 

(2)事業の経過およびその成果

 2022年3⽉期の事業環境は、半導体や原材料供給不⾜が⾃動⾞メーカーの⽣産活動に影を落とし、当グループの受注台数減少につながるなど厳しい状況となりました。また、さらなる原材料価格の⾼騰や⼀部地域での⼈件費上昇に加え、⾜元では中国でのロックダウン影響が顕在化するなど依然として不透明な状況が続いています。
 そのような中でも、新たな顧客の獲得とその商権拡大に向けた欧州子会社の新設や、主要顧客のシェア向上に向けた積極的な営業展開、未来を見据えた次世代技術開発やさらなる高品質・高効率な生産体制の構築など、将来の成長につながる諸施策を着実に推進してきました。また、キャビン全体をコーディネートし、お客さまやユーザーに対し、新たな価値を提案できる企業への変革に向け、異業種とのコラボレーションやスタートアップ企業との共同開発を進めています。
 当連結会計年度における売上収益は、自動車市場におけるサプライチェーンの混乱を受けた客先の減産影響はありましたが、機種構成の良化や為替換算効果等により、3,499億58百万円と前連結会計年度に比べ38億9百万円(1.1%)の増収となりました。利益面では、徹底した合理化による諸経費抑制などの原価低減に努めましたが、減産影響等により、営業利益は229億98百万円と前連結会計年度に比べ37億43百万円(14.0%)の減益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に生じた負ののれん発生益の解消等により、124億16百万円と前連結会計年度に比べ83億24百万円(40.1%)の減益となりました。

USドル/円平均為替レート・・・
 前連結会計年度累計平均:106.1円
    ⇒当連結会計年度累計平均:112.4円

人民元/円平均為替レート・・・
 前連結会計年度累計平均:15.7円
    ⇒当連結会計年度累計平均:17.5円

■ セグメント別の状況

 ⽇本 

前連結会計年度との主な増減理由
⾃動⾞市場におけるサプライチェーンの混乱を受けた客先の減産影響はありましたが、機種構成の良化や株式会社ホンダカーズ埼⽟北による増収効果等により微増となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
増収効果はありましたが、ロイヤリティ収⼊の減少等により減益となりました。

※売上収益について、株式会社ホンダカーズ埼⽟北を前第1四半期末から連結⼦会社とし、前第2四半期から同社収益を連結業績に取り込んだことで、連結業績取り込み期間の差異による増収効果が⽣じています。

 当期は、ホンダ新型VEZELや新型CIVIC用シートの生産を開始しました。
 浜松地区の生産体制再編や国内物流体制の見直しをはじめ、さまざまな観点から事業体制の高効率化に取り組んでいます。

 米州 

前連結会計年度との主な増減理由
⾃動⾞市場におけるサプライチェーンの混乱を受けた客先の減産影響はありましたが、機種構成の良化や為替換算効果等により微増となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
原価低減に努めましたが、前期に受給した新型コロナウイルス感染症に関する助成⾦の解消等により減益となりました。

 当期は、ホンダ新型CIVICや新型CITY用シートなどの生産を開始しました。
 インディアナ工場の増築や、現地サプライヤーとのトリムカバー製造合弁会社の設立など、高付加価値を生み出す製品供給体制の構築に努めました。

 中国 

前連結会計年度との主な増減理由
為替換算効果はありましたが、⾃動⾞市場におけるサプライチェーンの混乱を受けた客先の減産影響等により微減となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
原価低減に努めましたが、減収影響等により減益となりました。

 当期は、ホンダ新型BREEZE e:PHEV用シートなどの生産を開始しました。
 開発拠点の移転および能力拡大を行うなど、現地の顧客ニーズへスピード感をもって応える開発体制の構築に努めました。

 アジア・欧州 

前連結会計年度との主な増減理由
⾃動⾞市場におけるサプライチェーンの混乱を受けた客先の減産影響はありましたが、前第1四半期連結累計期間に⽣じた新型コロナウイルス感染拡⼤による⼯場稼働停⽌影響の解消等により前年同等となりました。

前連結会計年度との主な増減理由
原価低減や、前第1四半期連結累計期間に⽣じたインドにおける四輪⾞⽤シート⽣産拠点再編コストといった⼀過性費⽤の解消等により増益となりました。

 当期は、アジアでホンダ新型BR-Vや新型HR-V用シートなどの生産を開始しました。
 ポーランドにシート製造子会社を新設するなど、新たな顧客の獲得とその商権拡大に向けた取り組みを加速させています。

■ 当グループの事業別売上収益

※前期に対し「二輪事業」および「その他事業」が大きく増加しています。
二輪事業 :シート生産台数の増加等により増収となりました。
その他事業:自動車販売等を行う株式会社ホンダカーズ埼玉北を前第1四半期末から連結子会社とし、前第2四半期から同社収益を連結業績に取り込んだことによる連結業績取り込み期間の差異等により増収となりました。

(3)設備投資等の状況

 当連結会計年度において実施した設備投資の総額は144億66百万円となりました。主な投資内容は、新機種にかかる設備等であります。


(4)資金調達の状況

 特記すべき事項はありません。

(5)対処すべき課題

1)経営基本方針
 当グループは「人材重視」「喜ばれる企業」を経営理念としています。
 「人材重視」とは、「人こそ企業成長の決め手」と考え、働く者全てが「夢」と「情熱」をもって活き活き働くことができる企業でありたいという私たちの想いを表しています。この想いと共に、安全性のみならず、快適さや感動を与えられる製品をキャビン全体で提供し、社会と共に持続的な成長を続けていくことで、全てのステークホルダーから「喜ばれる企業」であり続けるという強い意思がこの経営理念には込められています。
 これを基とした「わたしたちは常にモノづくりに夢を求めて無限の可能性に挑戦し快適で良質な商品を競争力のある価格で世界のお客様に提供する」という社是を実践し、企業価値の向上に努めています。


2)中長期経営計画
 当グループはこれまで蓄積してきたシート・内装品に関する多岐にわたる技術を礎に、変化する事業環境の中で、キャビン全体をコーディネートし、お客さまに新たな価値を提案できる企業としてさらなる事業成長を遂げるため、2030年ビジョンに「Innovative quality company - 新たな価値を創造し続ける -」を掲げています。
 前身である2020年ビジョンに込めた想いでもある「改革」という強い意志を持ち、ぶれることなく、これまで築いた財務基盤をはじめ、全ての経営資源を惜しみなく投入し、ビジョンの実現に向けて邁進していきます。
 最初の一歩となる第14次中期経営計画(2020年4月~2023年3月)では「ESG※経営による企業進化」を経営方針に、「攻め」の施策である「事業成長に向けた進化」と「守り」の施策である「進化を支える事業体質強化」の2軸を企業重点施策とし、7つの企業施策への取り組みを加速させています。
 2年目となる2022年3月期においては、機関設計変更などガバナンス体制の大幅な進化に加え、サステナビリティ推進体制や拡販に向けた生産体制の強化に努めました。品質体質の向上などに一部課題が残りましたが、2023年3月期において確実な潰しこみを行い、第15次中期での飛躍につなげていきます。
※Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)

3)優先的に対処すべき課題
① サプライチェーンマネジメントの強化
 2022年3月期の自動車市場は、長引く原材料供給不足による影響が、各自動車メーカーの生産活動へ大きく影を落とす1年となりました。また、さらなる原材料価格の高騰や一部地域での人件費上昇、中国でのロックダウン影響など引き続き厳しい状況が続いています。
 このような中でも、当グループでは世界14か国にまたがる生産体制を活かした拠点間の連携や相互補完、各取引先との連携強化により、安定した生産活動を維持してきました。今後もサプライチェーンマネジメントの強化を図り、さまざまなリスクに対応可能な柔軟性ある供給体制の構築に努めていきます。

② 拡販に向けた体制強化
 事業活動に対する外部環境変化による収益減少リスクを、より一層低減するためには、新たな顧客の獲得とその商権拡大が急務です。これに対し、ポーランドにシート製造子会社を新設し、欧州事業の拡大に努めるなど、さまざまな取り組みを加速させています。2023年3月期からは拡販機能と欧州事業の管理・統制を図るため新たに「新事業統括本部」を設置することで、営業活動を強力に展開し、さらなる事業成長につなげていきます。

③ 資本効率の向上
 当グループは、盤石な財務基盤をもつ一方で、この資本をいかに効率的に活用していくかが重要な課題であると認識しています。これまでも成長投資やM&Aに資金を惜しみなく投下してきました。また、2021年3月期から2期連続で自己株式を取得するなど、株主還元の強化にも努めており、今後も資本効率の向上と機動的な資本政策により、中長期的な企業価値向上へつなげていきます。

④ 次世代を見据えた企業変革
 自動車業界は大変革期の真っ只中にあり、ユーザーニーズの変化、熾烈な開発競争、新たな競合の台頭や業界再編等、事業環境の変化がさらに進んでいます。また、EV化・コネクテッド・自動運転など、次世代モビリティに向けた技術革新は、自動車の価値観を大きく変え、プライベート空間の提供やさまざまなシーンでの車そのものと車室の活用、さらには生活を豊かにするアイテムとしてその価値を変化させています。自動車メーカーや我々内装システムサプライヤーにとって、ユーザーが車内で過ごす時間に何を提供できるのかが重要となっています。
 これまで当グループは、事業をシートとドアに集中し、安全、安心で快適な製品を、効率的に開発・生産をすることで収益拡大を追求してきました。しかしながら、自動車がもつ役割がシフトする時代においても、さらなる事業成長を遂げていくためには、キャビン全体をコーディネートし、お客さまやユーザーに対し、新たな価値を提案できる企業への変革が不可欠です。独自技術の進化に加え、ニーズに応える新たな価値創造を、異業種とのコラボレーションやスタートアップ企業との共同開発で実現していきます。

⑤ サステナビリティ取り組みの強化
 当グループが持続的な成長を遂げるためには、企業としての社会的責任を積極的に果たし、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでいくことが不可欠であるという考えの下、2018年3月期から、いち早く「ESG」を経営方針に掲げ、さまざまな取り組みを加速させています。
 2022年3月期には、監査等委員会設置会社への機関設計変更や任意の指名・報酬委員会の設置など、事業運営の透明性を向上させるべく、ガバナンス改革に取り組みました。また、社内外に点在する課題を改めて整理し、ステークホルダーにとっての重要性、ならびに当グループにとっての重要性の観点で優先順位付けを行い、社会・環境・企業基盤の3つの側面から社会と共に持続的な成長を遂げるためのマテリアリティを特定し、2030年を見据えた具体的な目標を定めました。あわせて、サステナビリティ委員会やサステナビリティ推進専任部門の設置といった推進体制強化に取り組んでおり、目標達成に向け、グループ全体で諸施策への取り組みを今後さらに加速させていきます。
 特に環境面では、CO₂排出量※1ゼロを2050年目標として掲げ、開発・生産効率の向上や省エネルギー・再エネルギー設備の導入などに努めています。また、軽量化技術による自動車のCO₂排出量削減に加え、リサイクル可能素材活用や原材料のバイオマス化※2など、サーキュラーエコノミー※3の実現に向けた研究開発にも取り組んでおり、イノベーションをもって新たな価値を生み出すことで、次世代での市場競争力向上につなげていきます。
 これらの取り組みが評価され、世界的な社会的責任投資評価会社である米S&P Global社の「Sustainability Awards 2022」において、「Sustainability Yearbook Members」※4および「Industry Mover」※5に選定されました。また、年金積立金管理運用独立行政法人のESG投資におけるパッシブ運用ベンチマークとして採用される「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されるなど、高い評価をいただいています。
 今後も外部からの評価や指標を通じ、社会的要請を正しく把握することで、サステナビリティ取り組みの有効性を高め、当グループの企業価値向上と持続的な成長を実現していきます。

※1 当グループの事業活動に伴うCO₂排出量(Scope1+2)
※2 再生可能な生物由来の資源を使用すること
※3 バイオマス化などによりリサイクルを前提とした製品を製造・販売することで、社会全体での廃棄物発生量を最小限化する概念
※4 調査対象のうち、S&P Global社が評価するESGスコアが各業界上位15%以内にあたる企業に与えられる賞
※5 「Sustainability Yearbook Members」のうち、業界で最もスコアが向上した企業に与えられる賞

<マテリアリティ>

<マテリアリティKPIと2030年目標>

※1 株式会社J.D. パワー ジャパンによる日本自動車初期品質調査SM(Initial Quality Study、略称IQS)の評点。新車購入者を対象に不具合経験を調査し、車100台当たりの不具合指摘件数として集計される。数値が低いほど品質が高いことを示す
※2 当グループの事業活動に伴うCO₂排出量(Scope1+2)の削減率
※3 当グループの生産活動に伴う廃棄物の削減率(残渣、汚泥などは除く)
※4 当グループの工場設備での取水量(使用量)の削減率と、生産活動に伴う排水による環境影響
※5 当社社員を対象とした、株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」によるエンゲージメントレーティング。目標とする「AAA」は全11段階中、最上位のレーティング
※6 当グループの取引先(海外を含む)を対象としたサプライヤーサステナビリティガイドラインの遵守率
※7 女性・キャリア採用・外国籍・高齢者・障がい者の管理職比率

(6)財産および損益の状況の推移

1)当グループの財産および損益の状況の推移

(注)

当社は、2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っています。
1株当たり情報は、第73期の期首に当該株式分割が行われたものと仮定して算定しています。

2)当社の財産および損益の状況の推移

(注)
  1. 当社は、2021年4月1日付で普通株式1株につき2株の株式分割を行っています。
    1株当たり情報は、第73期の期首に当該株式分割が行われたものと仮定して算定しています。
  2. 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第76期の期首から適用しており、第76期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっています。


(7)重要な子会社の状況

1)重要な子会社の状況(2022年3月31日現在)

(注)
  1. 株式会社テイ・エス ロジスティクスの株式を2022年4月1日付で一部売却したため、同社に対する直接議決権比率が66%に減少しております。また同⽇付で、本店所在地を埼⽟県⾏⽥市へ移転しております。
  2. TSML INNOVATIONS, LLCを2021年10月1日に設立しております。
  3. TS DE SAN PEDRO INDUSTRIES,S. DE R.L. DE C.V.を2021年11月3日に設立しております。
  4. TS TECH (HONG KONG) CO.,LTD.の株式を追加取得したため、同社に対する直接議決権比率が増加しております。
  5. TS TECH Poland sp. z o.o.を2021年12月20日に設立しております。
  6. TS TECH UK LTDは2022年1月21日付で資本金を12,000千英ポンドから100千英ポンドに減資しており、2023年3月期に解散予定であります。

2)その他の重要な企業結合の状況

 本田技研工業株式会社は、2022年3月31日現在、当社の株式を30,720,000株(23.1%)保有しており、当社は同社の持分法適用の関連会社であります。当社は同社へ当社製品を販売しております。

(8)主要な拠点等(2022年3月31日現在)

(9)従業員の状況(2022年3月31日現在)

1)当グループの従業員の状況

(注)
  1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
  2. 臨時従業員数には、パートタイマー、嘱託契約の従業員および派遣社員を含んでいます。
  3. 前期末比増減は就業人員の増減です。

2)当社の従業員の状況


(注)
  1. 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しています。
  2. 臨時従業員数には、パートタイマー、嘱託契約の従業員および派遣社員を含んでいます。
  3. 前期末比増減は就業人員の増減です。

(10)主要な借入先

 該当する事項はありません。

(11)その他当社グループの現況に関する重要な事項

 該当する事項はありません。


2022/06/24 11:30:00 +0900
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