事業の経過及び成果

 当連結会計年度(2019年1月1日から2019年12月31日)における世界経済は、米中貿易摩擦による中国経済の減速、中東情勢等のリスク要因を抱えており、依然として先行き不透明な状況が継続しました。日本経済におきましては、世界経済減速の影響を受けながらも雇用・所得環境の改善が続いたことで、個人消費は持ち直しの動きが見られましたが、2019年10月に実施された消費税率引き上げ後、力強さに欠ける状況が続きました。そうした中でも、当社グループの属するアウトドア業界におきましては、その社会需要の高まりにより参加人口が増加するなど、引き続き堅調に推移しており、当社グループは事業の拡大を目指してまいりました。
 当社グループは、日々変化する経営環境を鑑みて、連結会計年度末毎に今後3か年の中期経営計画を更新しており、2022年12月期迄においては引き続き「海外展開強化」「体験事業強化(コト売り)」を重点項目として活動しております。
 このような状況の中、当連結会計年度における売上高は、14期連続で過去最高となる14,260,803千円(前年同期比18.1%増)となりました。
 アウトドア製品販売を中心とした国内既存事業につきましては、キャンプのハイシーズンに台風等の天候不良の影響があったものの、キャンプ初心者が購入しやすい価格帯のテント等のエントリー製品や、その主な販売チャネルであるエントリーストアを通じた新規顧客の獲得が進みました。また当期は全ての販売チャネルにおいて売上を伸ばし、直営店の既存店(オープン年の翌年から1年を経過した店舗)の売上につきましては、前年同期比3.9%増と引き続き堅調に推移しました。取引先の店舗に当社スタッフが駐在する販売形態であるインストアの既存店の売上につきましても同6.5%増と成長しており、エントリーストアを展開するその他ディーラー卸につきましても同18.1%増となりました。自社ECサイトにつきましては、リアルからオンラインへと変容する消費行動に着実に対応していくことで売上を伸ばしており、同31.5%増となりました。また、EC卸につきましても、初の取組みであるAmazon.com限定製品の販売好調等により、同55.6%増と売上を伸ばしました。
 海外事業につきましては、アジア地域は、台湾においてはブランド認知の施策不足により、新規顧客の獲得が進まなかったことで前年同期比31.4%減となった一方で、日本製品の不買運動が起きている韓国においては、従前からの地道な顧客エンゲージメントによりその影響は小さく、前年から引き続き堅調に推移し、同9.2%増となりました。北米地域は、米国において売上が同1.5%減となったものの、新たなマネジメント体制にて中長期的な成長に向けた事業構築に取り組んでおります。2020年6月に新たな事業拠点を開設し、米国におけるスノーピークブランドの可視化を推し進め、対顧客ビジネスの強化を図ってまいります。欧州地域は、英国において2019年9月に自社ECサイトを、10月には欧州初の戦略拠点であるSnow Peak London St James'sをオープンし、本格的に事業展開を開始いたしました。現地小売業への卸売を中心とした海外その他地域(現地拠点を持たない国や地域)の売上につきましては、小売店から先の顧客管理に課題を残し、前年同期を14.3%下回る実績となりました。
 新規事業につきましては、事業別に見ますと、株式会社スノーピークビジネスソリューションズの手掛けるキャンピングオフィス事業におきましては、アウトドア用品をオフィス家具として使用することで従業員の働き方の活性化を促すという提案が好評を得て、前年同期比35.0%増と売上を伸ばしました。アーバンアウトドア事業におきましては、住居向け製品「アーバンシェード」の2019年限定カラー発売等により提携工務店での販売も拡大し、同24.6%増と売上を伸ばしました。株式会社スノーピーク地方創生コンサルティングが手掛ける地方創生事業におきましては、売上は同7.2%減少したものの、2019年に地方自治体との包括連携協定締結が12例目に達し、自治体との連携を強化しております。また、10月には新たな役員体制となったことで、全国各地の店舗スタッフを起点とした地域活性化を推進してまいります。
 利益につきましては、売上総利益は7,719,969千円(前年同期比20.0%増)、売上総利益率は54.1%(同0.8%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、海外拠点の事業体制構築にかかる経費の増加に加え、2019年4月より実施している人件費の戦略的ベースアップによる増加等により同23.3%増で推移した結果、営業利益は924,098千円(同0.4%増)となりました。営業外収益につきましては、株式会社スノーピーク白馬が建設しているSnow Peak LAND STATION HAKUBAにかかる補助金収入等により81,493千円、営業外費用につきましては42,709千円を計上したことで、経常利益は962,882千円(同9.0%増)となりました。特別損失につきましては、直営店の固定資産および投資有価証券の減損損失を計上したこと等により166,229千円(同157.7%増)となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は425,432千円(同11.1%減)となりました。


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2020/03/27 13:00:00 +0900
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