当期の経営成績

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和や世界経済の回復などにより、景気は持ち直しの動きが見られたものの、急速な円安による調達費用の上昇や物流費の高騰、ウクライナ情勢の長期化等に伴う世界的な原材料価格やエネルギー価格の高騰等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
 このような環境の中、当社グループでは、2022年4月より開始した「中期経営計画(2022-2024)」に基づき、基幹事業である国内モスバーガー事業において積極的な投資を行い収益力の向上を目指して取り組んだほか、海外事業では、成長市場で着実に事業拡大するため、資源配分の最適化に取り組んでおります。また、ESGの観点から当社グループのマテリアリティ(重要課題)を、①食と健康、②店舗と地域コミュニティ、③人材育成と支援、④地球環境の4つに定め、事業活動を通じて社会に向けた価値創造に取り組んでおります。
 このような取り組みの結果、売上高は増収となりました。一方で想定を超える仕入れ価格の高騰が2022年7月の価格改定以降も続いたほか、人件費、販売促進費、支払手数料などの経費の増加、海外事業におけるコロナ禍からの回復の遅れもあり、営業利益は減益となりました。
 これらの結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高850億59百万円(前年度比8.4%増)、営業利益41百万円(同98.8%減)、経常利益3億56百万円(同90.2%減)となり、主に新型コロナウイルス感染症に伴う助成金収入の減少、海外事業にかかる減損損失の増加により、親会社株主に帰属する当期純損失は3億17百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益34億19百万円)となりました。
 なお、当社は2023年3月24日に商品、サービスの品質を維持するため価格改定を実施しております。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 国内モスバーガー事業では、お客様のニーズに合わせた商品、マーケティング展開に加え、お客様との接点の量と質を徹底的に強化するため、積極的な出店や地域に密着した店舗作りを推進しております。


商品・マーケティング施策

 当連結会計年度においては、「家族みんながワクワクする、モスらしい感動体験」を提供することをテーマに取り組んでまいりました。主として、以下の施策を展開いたしました。


店舗施策

 郊外型のドライブスルーや、今まで未開拓であった首都圏周辺の住宅地近接のコンパクトな物件等、多様な立地に適応した店舗づくりを推進したことで、目標の年間50店舗の出店を達成いたしました。11月には都心部の一等地をターゲットとする新業態として、チーズバーガー専門店「mosh Grab’nGo」(モッシュグラブアンドゴー)をオープンいたしました。

デジタル化の推進

 デジタル技術を活用し、CX(お客様の体験価値)とEX(社員や店舗メンバーの働きがい)の向上を目指しております。
 新型POSレジの全店展開や店舗タブレットの導入、ネット注文の利用促進、カーブサイドオーダーを導入しました。また、将来の人手不足を見据えて、フルセルフレジやソフトコール等、IT技術を活用した店舗づくりも引き続き推進してまいります。

新たな事業展開

 モスブランドを活用した新たな事業を展開するマーチャンダイジング事業では「モス公式オンラインショップ ~Life with MOS~」を通じて、安全・安心・健康・おいしさに加え、環境に配慮したライフスタイルフード、ライフスタイルアイテムを提案しております。オンラインショップ限定のモスライスバーガー等の食品に加えて、自然や環境を意識したオリジナルのライフスタイルアイテムも販売しております。今後も取り組みを拡大し、ブランドの価値向上とともに、新たな収益源へと育ててまいります。
 以上の事業活動の結果、国内モスバーガー事業の売上高は667億13百万円(前年度比5.2%増)となりましたが、セグメント利益(営業利益)については原材料費の高騰や急速な円安による調達費用の増加で原価率が上昇したことに加えて、売上増加に伴う人件費・運賃等の増加、売上拡大のための販売促進費および宅配手数料の増加等により20億62百万円(同61.2%減)と大幅な減益となりました。

 海外事業では、日本の食文化を大切に残している定番商品に加え、現地の嗜好を取り入れたローカライズ商品を販売するなど、地元の人にも愛される、地域に根差した店舗展開を進めております。なお、海外事業に属する関係会社の当連結会計年度は2022年1月から12月であるため、同期間の情報を記載しております。

主要な連結子会社(シンガポール、香港、魔術食品工業(食品製造))

 シンガポールと香港では、日本を訪れたいというお客様に向けて、店舗を桜の装飾品で飾りつけ日本を想起いただける商品を販売する「ジャパンフェス」を3月に開催いたしました。第一弾では、秋田県産あきたこまちを使用した「秋田ごちそうライスバーガー」を香港で、第二弾では、富士山の名前を付けた「富士山焼肉ライスバーガー」を香港とシンガポールで販売いたしました。加えて、シンガポールでは5月から人気キャラクターとのコラボレーション企画を実施し、9月には季節商品「月見焼肉バーガー」「月見焼肉ライスバーガー」を販売いたしました。
 海外店舗の主要な食品の製造を担う台湾の魔術食品工業では、原材料価格の高騰などにより業績は厳しい結果となりましたが、モスバーガー店舗の売上増に比例して回復傾向にあります。

主要な関連会社(台湾)

 台湾では、3月から新しい健康的な食の提案としてスーパー大麦「バーリーマックス」を使用したライスバーガーの販売に加え、端午節に合わせた蒟蒻ドリンクプロモーションを実施いたしました。9月には海外旅行先人気1位の北海道の食材を使用した商品プロモーションを実施したことにより、売上および客数の増加に寄与いたしました。また、10月から12月にかけて台湾当局による旅行推進策や新型コロナウイルス感染症防疫措置の緩和により消費が回復したことに加え、人気キャラクターとのコラボレーションは、売上の増加に大きく寄与いたしました。
 海外事業においては、コロナ禍による商圏の変化に対応し、積極的にスクラップ&ビルドを実施しました。これにより、一部地域では店舗を減少させておりますが、全体では、5店舗増(前年同期比)の455店舗となりました。

 以上の事業活動の結果、海外事業の売上高は156億34百万円(前年度比23.1%増)となりました。また、原材料費の高騰による調達費用の増加で原価率が上昇したことに加え、人件費等の経費の増加により、セグメント損失(営業損失)は2億51百万円(前年同期はセグメント利益(営業利益)2億77百万円)となりました。

 その他飲食事業は、新型コロナウイルス感染症発生前の水準に戻りつつあります。引き続き、商品力の強化、サービス品質の向上、テイクアウトやデリバリーの拡大を図り、収益力の改善を進めております。

 以上の事業活動の結果、その他飲食事業の売上高は17億92百万円(前年度比21.6%増)、セグメント損失(営業損失)は2億11百万円(同1億34百万円損失減)となりました。

 その他の事業では、連結子会社の株式会社エム・エイチ・エスは衛生、株式会社モスクレジットは金融・保険・設備レンタル、株式会社モスシャインはグループ内業務のアウトソーシング等により、主に国内モスバーガー事業やその他飲食事業を支援しております。
 これらによるその他の事業の売上高は9億19百万円(前年度比5.8%増)となり、レンタル資産にかかる減価償却費の一時的な減少等により、セグメント利益(営業利益)は6億82百万円(同96.5%増)となりました。


 なお、当社グループの事業セグメント別の売上高及びセグメント利益又は損失(△)は、次のとおりであります。

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2023/06/28 16:00:00 +0900
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