第121回 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 8346

当行の現況に関する事項

(1)事業の経過および成果等

イ.主要な事業内容

 当行は、福島県に本店を置き、預金業務、貸出業務、為替業務、公共債・投資信託・保険商品などの販売業務、信託業務などを通じて、コンサルティング機能を発揮し地域の皆さまに幅広い金融商品・サービスを提供しております。

ロ.金融経済環境

(国内経済)
 2023年度の国内経済は、企業収益や雇用情勢の改善もみられ、緩やかに回復したものの、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、ウクライナや中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
(福島県内経済)
 当行の主要な営業基盤である福島県の経済は、個人消費では外食や旅行等のサービス消費が徐々に回復しているほか、設備投資が緩やかに持ち直すなど、全体としては緩やかに持ち直しの動きが続いております。
(金融環境)
 長期金利の指標となる10年国債利回りは、金融緩和政策の修正観測が高まるなか一時0.9%を超えて上昇しましたが、マイナス金利解除後も継続が見込まれる緩和的な金融環境から年度末には0.7%付近まで低下しました。為替相場は日米金利差の拡大を受けて年度末に1ドル151円台となるなど大幅に円安が進行しました。株式相場は好調な企業収益などを背景として、日経平均株価が史上最高値を更新し、年度末には4万円台まで上昇しました。

ハ.事業の経過およびその成果

 このような金融経済環境のなか、当行は長期ビジョン「地域社会に貢献する会社へ~金融サービスの枠を超えて~」の実現に向け、2021年4月から2024年3月までの3年間を計画期間とする第17次中期経営計画「とうほう「かがやき」プラン」における3つの基本方針に基づき、最終年度の目標達成に向けて各種施策に積極的に取り組みました。


<中期経営計画の取り組み>


基本方針Ⅰ. 地域・お客さまが輝く(地域・お客さまへの恩返し)
 当行では金融仲介機能の発揮のみならず、お客さまが抱える様々な課題やニーズにお応えするコンサルティングサービスをグループ一体で提供しております。
 事業を営むお客さまの様々なニーズにお応えするため、円滑な資金対応を行った結果、事業性貸出金は1兆6,570億円に達し残高ピークを更新するなど、貸出金残高は前年度から170億円増加し3兆9,342億円となりました。また、2022年10月に事業を開始した東邦コンサルティングパートナーズによる事業承継・M&A支援やとうほう地域総合研究所における経営コンサルティング業務の拡大など、幅広いコンサルティングサービスの高度化に積極的に取り組んだ結果、2023年度のコンサルティング業務における成約件数は、約2,600件となるなど、従来以上にお客さまとの関係性が深まっております。
 持続可能な地域社会の構築に向けて、新たな産業を創出し育成することを目的として、起業家支援にも積極的に取り組んでおります。日本政策金融公庫との連携による協調ユニット「とうほう起業家応援 はばたき」を創設し、起業に関する相談全般に対応するとともに、「とうほう起業家応援デスク」を新たに設置するなど、起業を後押しする支援体制を強化しております。
 個人のお客さまに対しては、人生100年時代を迎えるなか、中長期的な資産形成、資産運用、資産承継等の幅広いニーズにワンストップでお応えするため、「銀行・信託・証券」連携による高度な金融サービスを提供しております。
 2024年1月からの新NISA制度開始に伴い、NISA口座数は4万件まで増加しており、預かり資産契約先数が10万先に到達するなど、資産形成や資産運用の裾野が拡大しております。また、お客さま一人ひとりの資産形成や資産運用ニーズに合わせた最適なご提案を行った結果、グループ全体での預かり資産残高は前年度から712億円増加し、6,532億円となるなど着実にお取引が拡大しております。
 今後も、お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)をさらに徹底してまいります。


基本方針Ⅱ. 従業員が輝く(成長と活力)
 当行は、従業員の「主体的・自律的な成長」を促すため、その土台となる働きがいの醸成や働きやすい環境、成長やキャリア形成を促進する体制の実現に向けた人事制度を導入しております。人材は最も重要な経営資本であるとの考え方に基づき、地域・お客さまの成長を支える人材を育成しております。お客さまの期待にお応えする幅広い分野でのコンサルティングサービスの高度化を図るため、2023年度は「OJTサポートとマインド醸成」「経営幹部層や中間管理層のマネジメント力強化、コンサルティングスキル強化を目的としたOFF-JT充実」「自己啓発意識の醸成」の3項目を重点施策として取り組みました。
 また、当行は人的資本への投資を継続的に行う方針を掲げ、2023年度においては従業員の処遇改善として賃上げや初任給の引上げに取り組み、2022年10月に実施した人事制度改革による対応と合わせて平均4.5%程度の賃上げ実績となりました。
 当行はダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの観点から、女性の管理職登用や専門人材の中途採用を積極的に進めており、2023年度末の女性役席者比率は24.0%となりました。また、専門的なスキルを持った人材を確保するため、キャリア採用を強化し、リファラル採用(注1)の制度化やアルムナイネットワーク(注2)の構築に取り組みました。

(注)
  1. リファラル採用とは、当行従業員等から入行を希望する人材の紹介を受けて採用を行う制度。
  2. アルムナイネットワークとは、当行退職者との繋がりを維持することを目的とした制度。


基本方針Ⅲ. 当行が輝く(持続可能な経営体質)
 当行は、持続可能な経営体質の強化に向けて、アライアンス戦略を推進しております。地銀10行による広域かつ大規模な連携である「TSUBASAアライアンス」に加盟するなか、2024年1月にTSUBASA基幹系システム共同化への移行を完了しました。今後はデジタル投資を加速させ、店頭タブレットおよび個人ポータルアプリを導入するなどさらなる利便性やサービス品質の向上に取り組んでまいります。
 2023年8月には、当行、とうほう証券ならびに野村證券は、地域のお客さまの豊かな“未来”を創造するため、金融商品仲介業務における包括的業務提携に関する基本合意を締結しました。当行グループと野村證券の強みを掛け合わせることで、地域における資産所得の増加や人生100年時代の充実した備えに貢献してまいります。

 福島県浜通り地域の復興と発展、ならびに福島や東北の創造的復興に向けて、福島国際研究教育機構(F-REI)と、民間初となる包括連携協力協定を締結しました。本協定の締結により、同機構が推進する研究開発、産業化、人材育成等の取り組みを地元金融機関として最大限サポートしてまいります。

 また、2024年4月には、相双地域の復興が生活と経済の両面で本格化していくなか、地元金融機関として相双地域の新たな産業創出を支え、交流・定住人口の増加を促進していくため、相双地域の復興推進の専担組織として、法人コンサルティング部内に新たに「相双新産業推進室」を設置しました。相双地域を中心に活動する企業、団体、自治体等との連携・協働にかかる中核機能を同室が担い、地域とともに新たな産業創出を進めることで、相双地域を起点とした福島・東北の創造的復興を目指してまいります。


 〈サステナビリティ推進への取り組み〉

 当行は、2023年3月に総合企画部内にサステナビリティ戦略推進課を新設し、「とうほうSDGs宣言」における「環境保全」「地域経済・社会」「高齢化」「金融サービス」「ダイバーシティ」の5テーマについて全行的な取り組みを展開しております。
 「環境保全」においては、当行のCO2排出量削減への取り組みとして、2040年度のカーボンニュートラル実現に向けた新たな削減計画の策定、新設予定店舗のZEB採用、既存店舗の高効率設備への更新に加えGXリーグや福島県「ふくしまゼロカーボン宣言事業」への参画等に取り組みました。また、お客さまの脱炭素化支援としては、環境省「ポートフォリオ・カーボン分析支援事業」を通じてお客さまのGHG排出量・FEの算定による脱炭素エンゲージメント体制の整備、中小企業等を対象とした自行評価型ファイナンス商品の取り扱い開始および東邦リースと連携したSDGsリースの活用による設備導入支援に取り組みました。
 「地域経済・社会」においては、お客さまのSDGs関連支援としてSDGsサポートサービスの提供(宣言書策定220先)、自治体との連携による地方創生事業の推進、IPO支援、地域の雇用を守る事業承継、M&A支援など、地域経済活性化に向けて取り組みました。福島県総合計画において示された福島県の課題解決に貢献するため、サステナブルファイナンスの対象範囲を拡大し、これまでの2030年における環境分野1兆円から、環境分野1.2兆円、社会分野0.3兆円の計1.5兆円へ目標(2030年度までの10年間における実行・組成累計額)を拡大しました。2024年3月末における実績は、累計で3,479億円に達しており、目標達成に向けて着実に進捗しております。今後も地域社会の持続可能性を高める取り組みを推進してまいります。また、地域福祉推進の観点から、「TOHOキッズカフェキャラバン」による子ども食堂の活動支援や、「とうほうフードドライブ」による生活困窮者支援団体等の活動支援に取り組みました。

 「高齢化」においては、お客さまの相続関連課題の解決に向けた支援として個別相談会を年間累計で207回開催しました。また、特殊詐欺対策に関する啓発活動や福島県警との連携による防犯アプリ運用開始等に取り組みました。
 「金融サービス」においては、当行のお取引先企業を対象とした資産形成・資産運用に関する職域セミナーを約330回開催し、4,000名を超えるお客さまに参加いただきました。また、退職されたお客さまを対象としたセカンドライフ応援セミナーの開催に加え、地域を支える子どもたちの金融リテラシー向上の観点から、地域の小学校・中学校・高校・大学への金融経済教室の出張授業を25回開催したほか、エコノミクス甲子園の開催等に取り組み、幅広い世代の資産形成・資産運用をサポートする金融リテラシー向上に取り組みました。

 「ダイバーシティ」においては、人的資本への投資のみならず、仕事と家庭の両立支援やベテラン・シニアの活躍支援に積極的に取り組んでおります。また、チャレンジドの活躍機会拡大にも取り組み、2024年3月末時点での障がい者雇用率は法定雇用率を上回る2.75%となりました。
 今後もサステナビリティに関する取り組みを一層強化することを目的に、2024年3月に「とうほうSDGs宣言」を「サステナビリティ宣言」に改称しました。これまで掲げていた5つのテーマを「地域経済・社会の活性化」「少子高齢化への対応」「DXの促進」「多様な人財の躍動」「脱炭素・ネイチャーポジティブ」へ変更し、これらを当行の新たな経営理念におけるミッションとして、より一層地域社会の持続可能性を高める取り組みを行ってまいります。
 こうした取り組みの結果、2023年度の業容・業績は以下のとおりとなりました。


〈単体業績の概要〉

[預金、譲渡性預金等]

 預金につきましては、個人預金と法人預金が引き続き順調に推移したことにより、前年度末比551億円増加し、5兆8,321億円となり、譲渡性預金を含む総預金については、前年度末比1,031億円増加し、6兆3,074億円となりました。
 投資信託や生命保険等の預かり資産は、投資信託の残高増加等により前年度末比418億円増加し4,982億円となり、総預金と預かり資産を合計した総預かり資産は6兆8,056億円となりました。

[貸出金]

 貸出金につきましては、お客さまの資金ニーズに幅広く積極的にお応えした結果、前年度末比170億円増加し3兆9,342億円となりました。

[有価証券]

 有価証券につきましては、安定的な利息配当金確保のため、円建債券を中心に残高を積み上げ、前年度末比3,129億円増加し8,777億円となりました。


[損益]

 本業の利益となるコア業務純益は、基幹系システム移行関連費用等、経費の増加により前年度比6億円減少し87億円となりました。
 経常利益は、有価証券関係損益の改善などにより前年度比17億円増加し79億円となりました。
 上記の結果、当期純利益は前年度比8億円増加し54億円となりました。
 また、連結の経常利益は83億円、親会社株主に帰属する当期純利益は52億円となりました。

ニ.店舗等

 2023年7月に日立支店(茨城県日立市)を利便性の高いショッピングモール内へ移転し、白河支店(白河市)、植田支店(いわき市)の建替計画を決定するなど、お客さまの利便性向上、地域貢献、環境配慮等に資する店舗を目指して店舗建替計画を進めております。
 また、営業体制につきましては、多様化するお客さまニーズへの対応に向けて、付加価値の高い幅広いコンサルティングサービスが提供できる営業体制の構築を目指しております。

ホ.対処すべき課題

 2023年の外部環境としては、国内経済は全体として緩やかに持ち直しの動きが続いているものの、地域において事業を営むお客さまにおいては、人口減少に伴う恒常的な人材不足や急速な円安等による物価上昇など、不透明な経営環境が続いております。
 東日本大震災から13年が経過し、福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の進展や、福島国際研究教育機構(F-REI)が創設されるなど、福島の創造的復興が期待されております。
 このような環境のもと、2024年4月より当行グループが果たすべき役割・使命を明確化すべく、新たな経営理念体系を制定しました。東日本大震災からの復興への決意として制定したコーポレートメッセージ「すべてを地域のために」をパーパスとし、「サステナビリティ宣言」における5つのマテリアリティ(重要課題)に取り組むことをミッションと定め、目指すべきビジョンである「地域社会に貢献する会社へ~金融サービスの枠を超えて~」を実現するための役職員が共有する行動指針・価値観としてバリューズを制定しました。
 新たな経営理念体系の下、全役職員が心ひとつに進んでまいります。

 これら経営理念を実現するための計画として、2024年4月から2030年3月までの6年間を計画期間とする長期経営計画「TX PLAN 2030(TOHO TRANSFORMATION(X)PLAN 2030)」を新たに策定しました。前中期経営計画期間で取り組んできた「変革」をさらに進め、当行が「進化」を果たし、地域・お客さまと新たな価値を「共創」していくという決意を3つの「X」に込めました。TX PLAN 2030では「お客さま1社1社の事業価値向上」と「お客さま一人ひとりのゆたかな暮らしづくり」をゴールに掲げながら、「地域・お客さまとの価値共創」と「当行グループの成長戦略」を実現してまいります。


 計数目標としては、2026年度に「連結コア業務純益115億円」「連結当期純利益60億円」「連結ROE3%」「連結コアOHR77%」、2029年度には「連結コア業務純益185億円」「連結当期純利益110億円」「連結ROE5%」「連結コアOHR67%」を目指してまいります。2023年度にTSUBASA基幹系システム共同化への移行が完了したことに伴う、一定期間における償却負担と2024年度以降の成長投資による経費増加を見込むものの、新たな営業体制構築等の投資効果が顕在化することで、2027年度以降、収益性が向上し当期純利益が伸長する計画です。
 引き続き、当行は総合的な金融サービスの提供により、地域のお客さまへのご支援を最優先課題として地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。

2024/06/26 12:00:00 +0900
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