対処すべき課題

 世界的に環境問題や社会問題が顕在化し、持続可能性(サステナビリティ)への問題意識はますます高まっております。企業が持続的に事業活動を行うためには、企業自身の基盤である環境・社会を持続可能とするように、本業を通じて様々な課題の解決に貢献することが求められております。
 当社グループが主軸をおく低温食品物流業界は、ライフスタイルの変化を背景に冷凍・冷蔵食品の需要は安定的な成長が継続しているものの、コロナ禍の収束による人の動きと食シーンの変化につれて、当社グループが取り扱う貨物の需要も様々に変化しており、荷主の動向も大きく変わってきております。コスト面においては、エネルギー価格の上昇に伴う電気料金・燃料費の高騰、全国的な賃金の上昇傾向と、物流業界における2024年問題への対応による人手不足の更なる拡大と労務コストの上昇が懸念される状況にあります。
 これらに対処するため、業務におけるデジタル化を推進し、様々な効率化の仕組みの導入による省力化・省コスト化を進めると同時に、当社グループの輸配送・保管料金について適正水準の確保を早急に進めていくことが喫緊の課題となっております。また、資本コストや資本収益性を意識した経営によって、経営資源を適切に配分し、持続的な企業価値の向上を達成することも求められております。
 このような経営環境の中、当社グループは2022年4月より「第三次中期経営計画」を開始しております。当社グループが目指す『グローバルに変化する食品物流を担う低温を核とする総合物流情報企業の実現』に向けて基本方針を定め、基本戦略に沿った具体的な取り組みを進めて行くことで課題を解決してまいります。

【第三次中期経営計画】(2022年度~2024年度)

<基本方針>
『新たなコールドチェーンのニーズをつなぐ、持続可能な低温物流の実現』
 新型コロナウイルス感染拡大や急激な気候変動をはじめ全ての地域社会・企業・人が様々な困難に直面する時代の中、『安心・安全な食のロジスティクス』を担う当社にとって、従来のチャネルと異なる食品をはじめとした低温管理商品の新たな供給ニーズと消費ニーズをつなげるコールドチェーンを展開・拡充することで収益体質の強化につなげていく。
 新たな事業領域への挑戦もふまえた利益体質の強靭化と、変化が加速する自然環境への対策を含めたあらゆるステークホルダーにとっての課題に向き合い真摯に寄り添うことで、未来に責任を果たす持続可能な低温物流事業を構築し企業価値を向上させていく。

<基本戦略(重要施策)>

  1. 持続可能な物流事業の構築
    ①食のライフラインを守り、豊かな社会づくりに貢献する物流業務を推進する。
    ②脱炭素社会の実現に向けた地球環境にやさしい物流基盤を構築する。
    ③多様性を重視し、全ての従業員にとって働きやすい・働きがいのある職場環境をつくる。
  2. 戦略的な財務構成による企業価値の向上
    ①資本と負債のバランス最適化などを能動的に実行し、ROE8%以上を維持・継続させる経営を行う。
    ②資本効率を向上させるため、適切な資金配分を行うと同時に資本コストを意識した投資を行う。
    ③株主還元や株主との対話をより充実させることで株式価値の向上を図る。
  3. 共同配送事業を軸とした既存事業の機能強化と収益基盤強化
    ①ネットワークの再編や新たな機能の開発によって共同配送事業の利益体質の強靭化を推進する。
    ②「荷主・顧客」または「温度帯」といった従来の事業会社別のビジネスモデルの枠組みを超えた、新たな共同配送事業を構築し、事業機会を獲得する。
    ③顧客・市場のニーズに対応した既存事業モデルの再編・強化を遂行する。
  4. 成長分野への投資促進
    ①EC関連物流への進出をはじめとした、成長する市場への経営資源の投入を推進する。
    ②温度管理技術を活用した新たな事業領域の拡大を図る。
    ③海外事業は、カントリーリスクへの感度を高めながら安定的な成長が期待できる案件への投資を行う。

<財務戦略について>

(1)基本方針

 『利益率の向上を基本とし、あわせて最適な資本構成により、株主価値・企業価値の向上を実現する』を基本方針とし、この方針のもと持続的な成長、財務健全性の確保、株主還元の充実、の3つの視点から財務目標値として以下を設定する。

(2)目標値

<株主還元方針>

  財務戦略を第三次中期経営計画の基本戦略の一つとして位置づけており、ROE8%以上を定量的な目標とした株主価値向上に向けた機動的な株主還元施策(配当性向の引き上げや自己株式の取得等)を通じて株主の期待に応えていく。

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2023/06/28 12:00:00 +0900
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