事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における我が国経済は、昨年年明けから世界的に拡大を始めた新型コロナウイルス感染症に収束の動きが見られない中で、一部設備投資や生産、輸出に底上げの兆しが観測されましたが、度重なる外出自粛要請等の影響から個人消費は低迷し、企業収益も個人消費関連の業種を中心に大幅に落ち込むこととなり、GDPはリーマンショック時以来のマイナス成長となりました。
 建設業界におきましては、企業の建設投資は製造業を中心に手控えられましたが、住宅投資は弱含みながらも概ね横ばいとなり、公共投資は関連予算の執行により堅調に推移したため、総じて底堅い事業環境が継続しました。
 当社グループはこのような状況のもと、2018年3月に策定した①建設工事請負事業の維持・拡大、②新たな事業の創出、③他社との戦略的連携を戦略の柱とする『熊谷組グループ中期経営計画(2018~2020年度)~成長への挑戦~』にグループ一丸となって取り組み、さらなる成長へ挑戦してまいりました。
 当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、売上高は、手持工事を順調に消化し、前連結会計年度比3.2%増の4,502億円となりました。利益は、売上総利益の増加等により、営業利益は280億円、経常利益は284億円となりました。また、偶発損失引当金繰入額の特別損失への計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は179億円となりました。
 当社の業績につきましては、以下のとおりであります。
 受注高は、国内建築工事の減少等により前年度比12.8%減の2,833億円となりました。このうち、土木工事は1,001億円、建築工事は1,832億円であり、これらの発注者別内訳は官庁20.9%、民間79.1%であります。
 売上高は、同2.3%増の3,602億円となりました。このうち、土木工事は1,214億円、建築工事は2,387億円であり、これらの発注者別内訳は官庁25.0%、民間75.0%であります。
 翌事業年度への繰越高は、同14.2%減の4,662億円となりました。
 利益につきましては、売上総利益の増加や受取配当金の増加等により経常利益は235億円、当期純利益は150億円となりました。

 当社の部門別の状況は以下のとおりであります。
〔土木〕
 土木の受注高は前年度比8.4%増の1,001億円となりました。
 主な受注工事は、JFEエンジニアリング株式会社:敦賀火力発電所2号機 木質バイオマス受払・貯蔵設備設置工事(福井県)、国土交通省:一般国道452号 芦別市 鏡トンネル工事(北海道)、関西電力株式会社:多奈川第二発電所 発電設備他除却工事およびこれに伴う廃材引取(大阪府)、東京発電株式会社:栃本発電所導水路新設工事・栃本発電所導水路新設関連除去工事(埼玉県)等であります。
 完成工事高は同0.6%減の1,214億円となりました。
 主な完成工事は、国土交通省:水海川導水トンネルⅠ期工事(福井県)、中日本高速道路株式会社:新東名高速道路 羽根トンネル工事(神奈川県)、東日本高速道路株式会社:横浜環状南線 釜利谷ジャンクション工事(神奈川県)、岩手県:二級河川甲子川筋甲子川水門土木工事(岩手県)等であります。

〔建築〕
 建築の受注高は前年度比21.2%減の1,832億円となりました。
 主な受注工事は、三井不動産レジデンシャル株式会社・野村不動産株式会社・三菱地所レジデンス株式会社・伊藤忠都市開発株式会社・東方地所株式会社・株式会社富士見地所・袖ヶ浦興業株式会社:(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-3 街区)(千葉県)、日本電産株式会社:日本電産株式会社 向日町プロジェクトC棟建築工事(仮称)(京都府)、日鉄興和不動産株式会社・三菱地所レジデンス株式会社:(仮称)羽沢横浜国大駅前A地区開発計画(神奈川県)、JFEエンジニアリング株式会社:福山市次期ごみ処理施設整備・運営事業のうち土木建築工事(広島県)等であります。
 完成工事高は同3.8%増の2,387億円となりました。
 主な完成工事は、三井不動産レジデンシャル株式会社・野村不動産株式会社・三菱地所レジデンス株式会社・伊藤忠都市開発株式会社・東方地所株式会社・株式会社富士見地所・袖ヶ浦興業株式会社:(仮称)幕張新都心若葉住宅地区計画(B-2 街区)(千葉県)、地方独立行政法人くまもと県北病院機構:地方独立行政法人くまもと県北病院機構新病院整備事業に係る設計及び施工業務(熊本県)、アパ株式会社・アパホーム株式会社:(仮称)アパホテル&リゾート〈両国駅タワー〉新築工事(東京都)、積水ハウス株式会社・三菱地所レジデンス株式会社:(仮称)大阪市中央区内久宝寺4丁目計画(大阪府)等であります。

(参考)当社の部門別受注高・売上高・繰越高

(注)

翌事業年度繰越高に含まれる海外工事の繰越高について、為替相場の実勢を反映させるため、事業年度末レートで修正しております。
この増加額は11百万円であり、(  )内は修正前であります。

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2021/06/29 12:00:00 +0900
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