事業の経過およびその成果

 当連結会計年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢等による原材料やエネルギー価格の高騰、新型コロナウイルス感染症による中国市場の混乱などにより、先行きが不透明で厳しい状況が続きました。日本経済においては、原材料・エネルギー価格の高騰や急激な円安進行の影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むなかで景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。
 このような経営環境のもと、当社グループは「長期ビジョン(2030ビジョン)」と「中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)」に基づき、持続的な成長と社会価値創出に向けた事業活動を推進するとともに、収益改善のために原材料価格等の高騰に対応した機動的な価格・規格改定の実施、海外や新たな食領域の事業拡大に取り組みました。なお、2023年2月には2024年3月期から始まる新たな3か年の成長戦略を策定、発表しております。

 国内事業においては、上期は原料ばれいしょ不足による影響を最小限に食い止めるため、ばれいしょ以外を原料とするコーン・豆系スナック等の拡売を進めました。ばれいしょ不足懸念が解消された秋以降は、スナック菓子全体として販促活動の再開や新製品の発売等を行い、需要拡大に取り組みました。一方、コスト高騰への対応としては全カテゴリーで段階的に価格・規格改定を実施しました。
 海外事業では、北米、中華圏を始めとする重点地域における事業拡大に注力しました。北米ではホールディングス体制のもと営業・マーケティング・開発の連携強化や経営の効率化を進めました。中華圏では、プロモーションの強化によりカルビーブランドの浸透を図るとともに、品揃え強化に向けて中国現地および周辺国での生産基盤の整備を進めました。なお、市場特性や競合環境を見極めながら北米や英国等で価格・規格改定を実施し、コスト高騰を吸収しながら収益改善に結びつけました。
 サステナブル経営の推進に関しては、再生可能エネルギーの有効活用や生産拠点でのスマートエネルギーネットワーク事業の活用推進、環境省の支援事業である「サプライチェーンの脱炭素化推進モデル事業」への参画など、温室効果ガス総排出量削減に向けた活動を進めました。持続可能な調達に関する取り組みでは、サプライヤーとのエンゲージメントを目的としたサプライヤーアセスメントを開始しました。また、国内全工場においてRSPO認証パーム油(マスバランス方式)への切り替えが完了したことに伴い、2022年9月より「RSPO認証マーク」を表示した製品を発売しました。BCPについても取組みを強化しており、当連結会計年度では国内2工場でレジリエンス認証を取得しました。なお、外部環境の変化を踏まえ、マテリアリティに人権や生物多様性の課題など重要性が高いテーマを追加して見直しを行っております。

 当連結会計年度の売上高は、279,315百万円(前連結会計年度比13.8%増)となりました。国内事業は、上期には原料ばれいしょ不足による販促抑制の影響があったものの、価格・規格改定後もスナック菓子の需要が堅調に推移したことと、行動制限や入国規制の緩和に伴うお土産需要の回復で、増収となりました。海外事業は、北米、中華圏、英国、インドネシア等においてスナック菓子の販売が拡大し、増収となりました。
 営業利益は、下期は価格・規格改定効果でコスト高騰によるマイナス影響を吸収できたものの、通期では原材料価格や動力費の高騰の影響が大きく、22,233百万円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。売上高営業利益率は8.0%(前連結会計年度比2.3ポイント低下)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、14,772百万円(前連結会計年度比18.2%減)となりました。


事業別の状況

主要な事業内容
 当社グループは主として、ポテト系、小麦系、コーン系、豆系等のスナック菓子およびシリアル食品の製造販売等を行っております。
 創立以来、自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献するという企業理念のもと、製品・サービスを提供しております。

*1 製品別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*2 前期まで「ポテト系スナック(Jagabee/じゃがポックル)」「小麦系スナック」「コーン系・豆系スナック」「その他スナック」に区分していたスナックを、当期から「国内スナック菓子」内の「新価値製品・その他スナック」とし、前期の数値も組み替えて記載しています。


国内スナック菓子   194,031百万円(前連結会計年度比9.7%増)

ポテトチップス
 ポテトチップスは、価格・規格改定効果に加えて、秋の北海道産原料ばれいしょの収穫量が計画どおり確保できたことにより数量が伸長し、90,932百万円(前連結会計年度比9.0%増)となりました。発売30周年を迎えリニューアルやプロモーションを行った「堅あげポテト」や上期のばれいしょ不足に対応して輸入製品を拡大したこと等が貢献しました。

じゃがりこ
 じゃがりこは、外出先での需要が高まったこと等を背景にコンビニエンスストアでの販売が伸長したことに加え、TVコマーシャルやパッケージリニューアルが奏功し、39,990百万円(前連結会計年度比14.7%増)となりました。

新価値製品・その他スナック
 新価値製品・その他スナックは、コーン系スナックと土産用製品が好調で、63,108百万円(前連結会計年度比7.7%増)となりました。コーン系スナックはばれいしょ製品の供給が不足する中で販売に注力したことおよび相対的な値ごろ感から他製品から需要がシフトしたことで伸長しました。また、国内旅行需要の回復や外国人旅行客の受け入れ再開により「じゃがポックル」等の土産用製品が好調に推移しました。

国内シリアル食品   24,210百万円(前連結会計年度比2.0%減)
 国内シリアル食品の売上高は、新製品「ベイクドオーツ」の発売による増収があったものの、基幹製品の売上が減少し、減収となりました。

国内その他   13,729百万円(前連結会計年度比14.2%増)
 国内その他(甘しょ・ばれいしょ・物流事業)は、甘しょ事業が伸長し、増収となりました。


*1 中華圏:中国、香港
*2 その他地域:英国、インドネシア、韓国、タイ、シンガポール、豪州
*3 地域別の売上高はリベート等控除前の金額を記載しています。
*4 前期まで別掲していた「英国」「インドネシア」を、当期から「その他地域」に含め、前期の数値も組み替えて記載しています。


 海外においては、重点4地域(北米、中華圏、英国、インドネシア)を中心に各国でスナック菓子の製造・販売およびシリアル食品の販売を行っています。

 ・北米の売上高は、主力の豆系スナック「Harvest Snaps」は価格改定効果とパッケージリニューアルやラインアップの拡充により伸長し、「かっぱえびせん」等の日本発の製品はエスニック売り場での堅調な需要に加えて販路拡大を行ったことで、22,228百万円(前連結会計年度比37.6%増)となりました。

 ・中華圏の売上高は、ゼロコロナ政策に伴うロックダウンにより製品発売スケジュールや小売店舗での展開に遅れが生じましたが、品揃えの強化や販路拡大により、23,405百万円(前連結会計年度比19.5%増)となりました。スナック菓子は「Honey Butter Chip」や当期より販売を開始したBaby&Kids向け製品が伸長しました。シリアル食品は新製品ミューズリーの発売や「フルグラ糖質オフ」の拡販、新規ECチャネルへの進出が貢献しました。

 ・その他地域は、英国やインドネシアの伸長や、タイのGreenday Global社が新たに連結子会社に加わったことにより、36,227百万円(前連結会計年度比26.3%増)となりました。英国では、ポテトチップスの価格改定効果と「Harvest Snaps」の拡売が貢献しました。インドネシアでは、ポテトチップスや小麦系スナック「KrisBee」等すべての製品カテゴリーで伸長しました。

    


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2023/06/21 12:00:00 +0900
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