事業の経過およびその成果

 ウクライナ情勢の長期化により国内経済の先行きに対する不透明感は残るものの、ウィズコロナへの政策転換により社会経済活動は徐々にコロナ前の水準に戻りつつあります。コロナ禍で我慢を強いられた人々が余暇の重要性を再認識する中で、当社が果たすべき役割も、その重要性を増しています。

 当社は、当社の経営理念である「すべての人に最高の余暇を」の実現のために、従来のパチンコファン以外にも多くの方々を幸せにしたいと願い、グローバルコンテンツビジネスの展開を悲願としておりました。2003年3月のJASDAQ市場上場を機にコンテンツビジネスに進出し、翌年の公募増資により、多数のコンテンツの取得や、2005年にはゲーム会社株式会社ディースリー・パブリッシャーの株式を取得し米国に進出、2010年には株式会社円谷プロダクション、株式会社デジタル・フロンティアを子会社化するとともに、2011年には小学館グループとの協業によりコミック誌『月刊ヒーローズ』を創刊するなど、上場来、グローバルコンテンツビジネス推進に必要となる様々なナレッジとノウハウを蓄積してまいりました。

 株式会社円谷プロダクションでは、「ウルトラマン」の海外利用権での訴訟を抱えており、海外展開に大きな制約がありました。そのため、訴訟問題の解決に取り組む一方で、海外展開に向けて優秀な人材の確保や体制整備、また中国・ASEAN地域でのウルトラマン関連作品の露出によるブランドの浸透など、着々と準備を進めてまいりました。2020年3月に当該訴訟で勝訴が確定したことにより、グローバル展開は急速に拡大いたしました。特に、既に高い好感度を構築済みであった中国市場においては、トレーディングカードを中心としたウルトラマングッズの広範な販売網の構築に加え、2022年7月には上海海昌海洋公園内にウルトラマンエリアがオープンするなど、中国市場におけるウルトラマンブランドの浸透に成功いたしました。国内でも、2022年5月に劇場公開した映画『シン・ウルトラマン』は、作品性への高い評価が幅広い年代層の新たなファン拡大につながり、ウルトラマンブランドの浸透に寄与いたしました。
 当期において、当社の悲願であったグローバルコンテンツビジネスが軌道に乗り始めました。これを機に持株会社化し、グローバルコンテンツビジネスを展開するに相応しい名称である「円谷フィールズホールディングス」に改称いたしました。

 PS市場では、メーカー各社の開発努力やホールの経営努力の結果、新規則に対応した遊技機がユーザーに受け入れられ、当期には市場拡大に向けた明るい兆しが見え始めました。この10年近くに亘り、相次ぐ規則改正やコロナ禍の影響からメーカー数は減少し、ホールの大型化が進みホール数は減少しております。これにより、市場全体の競争環境が適正化されるとともに、今後は大きな規則改正の実施が想定されないことから、市場は安定的に推移していくことが予想されます。
 パチンコ業界は、1970年代に手打ち式から電動式への大変革を経験しておりますが、扱いやすい機種の登場により、玄人中心だったユーザーは、女性やお年寄りまでそのすそ野が拡大いたしました。2022年に登場したスマート遊技機は、ゲーム性が高く、玉やメダルが無いため遊技環境の改善につながる、電動式以来の産業革命に匹敵する新時代の遊技機であり、潜在的なユーザー層の獲得につながることが予想されます。

 21世紀の成熟した社会に暮らす人々に、より上質な余暇を提供していくことは当社グループの社会的使命であります。時代とともに変化する人々の余暇ニーズを的確に捉えながら、持株会社体制のもと成長領域に積極的に経営資源を投下して事業創造に取り組み、次世代のエンタテインメントの創出に挑戦し続けてまいります。



当連結会計年度における業績は下記のとおりです。

 コンテンツ&デジタル事業セグメント
 成長力のダイナミックな推進を担う株式会社円谷プロダクションに関しては、中国での人気を背景にウルトラマン関連の低価格帯商品の販売が急伸し、中国からのライセンス収入が大きく伸長いたしました。
 日本国内においては、2022年5月に劇場公開された映画『シン・ウルトラマン』は、11月にはAmazon Prime Videoで独占配信が開始されるなど、通期を通じて新たなファン層の獲得に貢献いたしました。夏・冬休みに開催した各『ウルトラヒーローズEXPO』の来場者は昨年を大きく上回り、また2023年2月には映画『ウルトラマンデッカー最終章旅立ちの彼方へ…』の公開効果もあり、ウルトラマングッズの販売は好調に推移いたしました。
 加えて、3月に映画『グリッドマンユニバース』が公開された効果もあり、オウンドメディアであるTSUBURAYA IMAGINATIONの登録者数は大きく増加いたしました。


 この結果、コンテンツ&デジタル事業セグメントにおける業績は、売上高14,532百万円(前期比59.6%増)、営業利益4,378百万円(同198.8%増)となりました。

 PS事業セグメント
 スマート遊技機の登場は遊技機業界にとっての産業革命であり、新規ユーザー獲得のチャンスと捉えております。2022年11月に導入されたスマートパチスロは依然好調であり、2023年4月以降に導入されるスマートパチンコへの期待も大きく、当業界は安定的な成長期を迎えつつあります。
  収益力の中核を担うフィールズ株式会社は、当連結会計年度において、パチンコ7機種、パチスロ6機種、合計21.9万台を販売いたしました。年度通じて業界最大の販売台数となった『Pゴジラ対エヴァンゲリオン~G細胞覚醒~』を筆頭に、数々のヒット商品を販売することができました。また、『パチスロ犬夜叉』を始めとした利益率の高いプライベートブランドが好調で、業績に寄与いたしました。

 この結果、PS事業セグメントにおける業績は、売上高100,808百万円(前期比20.4%増)、営業利益7,714百万円(同340.7%増)となりました。

 その他セグメント
 その他事業は堅調に推移した結果、業績は売上高2,305百万円、営業利益75百万円となりました。

 以上の事業活動の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高117,125百万円(前期比23.4%増)、営業利益10,950万円(同217.9%増)、経常利益11,218百万円(同208.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は税効果会計に基づく法人税等調整額(859百万円)の計上もあり8,221百万円(同232.7%増)となりました。

(注)
  1. 招集ご通知に記載の数値は各社・各団体の公表値または当社推計によるものです。
  2. 招集ご通知に記載の商品名は各社の商標または登録商標です。
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2023/06/21 15:00:00 +0900
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