対処すべき課題

 当社グループは、2024年7月期を初年度とする3カ年の「中期経営計画」を実現するために、特に以下を重要事項として考え、経営を推進していく予定です。
 株主の皆様におかれましては、今後とも格別のご支援を賜りますようお願い申しあげます。

① 大都市圏中心の支店展開
 人口の減少と少子高齢化が進行する中、今後3大都市圏や地方中核都市を中心とした生活圏や経済圏が一層構築されていくことが予想されております。当社グループでは、池袋本社・横浜支店を軸に東京都全域、神奈川、埼玉、千葉方面への営業活動を行ってまいりました。2024年秋には渋谷支店の開設を予定しており、首都圏での営業活動を一層強化してまいります。
 その他の地域における支店展開の状況としては、2018年2月に大阪支店の開設、2021年12月に福岡支店の開設を行い、それぞれ関西圏、九州圏における営業展開が可能となりました。なお、福岡支店は2023年内に同ビル内にて増床移転を予定しており、九州圏での営業活動を一層強化してまいります。
 当社グループでは売買と建築と賃貸の三位一体での拠点展開を考えており、多店舗(小規模な拠点)展開ではなく支店(規模の大きい拠点)展開を考えております。経済動向や人口動態に注視しながら将来的には、他の地方中核都市(名古屋市、札幌市、仙台市)への支店展開も検討してまいります。

② 幅広い商品の取り扱い
 現在、当社グループではワンルームタイプ(登記簿面積30㎡未満のマンションをワンルームタイプと定義しております。)の区分所有マンションを中心に事業を展開しておりますが、更なる収益拡大のため、ファミリータイプ(登記簿面積30㎡以上のマンションをファミリータイプと定義しております。)の区分所有マンションや1棟アパート、1棟賃貸マンション、戸建て、駐車場等、幅広い不動産についても積極的に取り扱ってまいります。

③ 投資回収期間の短縮
 仕入決済(売主から買主である当社への所有権移転)から売上決済(売主である当社から買主への所有権移転)までの投資回収期間の短縮を図るため、棚卸資産回転率の向上に努めております。また同時に、在庫滞留期間の長期化による商品評価損の計上等の在庫リスクの低減を図ってまいります。

④ 更なる販路の拡大
 当社グループでは多様な販売先を開拓することを対処すべき課題と捉えており、不動産業者の他、実需層や一般投資家向けに販売を行う体制の強化を目指してまいります。
 また、2019年4月には不動産特定共同事業(注)に参画し、現在新たなクラウドファンディングの開始に向けて準備を進めております。同事業を通じ、幅広い投資家に向けて不動産投資への門戸を開き、その魅力を伝える活動を積極的に行ってまいります。

(注)

2017年12月に施行された不動産特定共同事業法(2017年改正不特法)に基づくエクイティ型のクラウドファンディング事業。中古区分マンションを小口化し、共有持ち分として複数の会員から出資を募り、その賃貸運用収益及び売却益を配当として会員に分配することを想定しております。

⑤ 仕入れ強化について
 当社グループの主力事業である不動産売買事業は、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、関西圏2府1県(大阪府、京都府、兵庫県)及び福岡県をはじめとする九州圏を中心に展開しておりますが、特に買取販売については、一般的には競合が多く優良な不動産の仕入競争は熾烈な状況にあると言えます。しかし、当社グループでは、物件数で約77万件の不動産データ(2023年7月31日現在)を有しており、当該データベースに登録された不動産所有者に直接働きかけることで当該不動産所有者との直接取引が実現しており、競合他社との優位性を獲得しております。
 当連結会計年度においては、多様な物件の取引を促進するための取組として、戸建やアパートのデータ取得を強化いたしました。今後も、「所有者情報」「物件情報」「売買取引事例」「賃貸取引事例」「パンフレット情報」といった情報を絶えず収集していくとともに、既存の情報は定期的に更新し、量・質の両面でデータベースをより強化してまいります。

⑥ 台湾・香港市場及び海外市場での営業活動
 当社グループは、2013年7月に台湾及び香港市場へ進出いたしました。現在においては、中国の景気減速の影響を鑑みつつ投資動向と需要を見極め、引き続き日本の不動産の紹介と賃貸管理を継続してまいります。
 また、経済成長著しいアジア圏の投資意欲に応えながらも、人口増加の続くアメリカの不動産にも着目し、国内投資家への紹介などを視野に新事業の展開を検討してまいります。

⑦ 優秀な人材の確保
 当社グループでは、企業目標である「お客様のライフプランを実現する不動産運用顧問」となる人材の獲得及び育成のため、様々な経営課題を克服し事業を拡大していくために、優秀な人材を確保し育成していくことが重要な課題であると認識しております。そのために、当社グループでは新卒の定期的な採用や経験者の中途採用も積極的に実施しております。また従業員に対しては継続的に営業スキルの向上やコンプライアンス、情報セキュリティ対策等の研修を実施し、人材の育成と強化に取り組んでおります。従業員一人一人の資質向上を図るとともに、今後も採用を継続し、優秀な人材の確保と育成に取り組んでいく方針であります。

⑧ 社内システムの整備・再構築
 今後も当社グループを飛躍的に成長させるためには、当社グループが保管している情報資産を最大限活用することが不可欠であると考えております。そのための施策として、各事業部のシステム統合及びデータ連携を行うための新システムであるRCP(Real estate Cloud Platform:リアルエステートクラウドプラットフォーム)の自社開発を行い、順次機能のリリースを進めております。
 RCPの第1次開発では、情報資産の有効活用による経営戦略及びマーケティング戦略策定を迅速に行うと同時に、情報資産をクラウド上で複数所有することにより、事業継続計画(BCP)の強化を行うことが可能となりました。
 さらに第2次開発では、賃貸事業部門に係る基幹システムの開発を進めることにより、事業部ごとに保管していた、創業当初から蓄積している約77万件(2023年7月31日現在)の物件データを含む情報資産を融合させ、一層の収益力の向上を目指してまいります。
 RCP開発を進めていくことは競争優位性の確保に大いに資するものと考えております。

⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
 当社グループの継続的な事業の発展及び信頼性の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことが重要であると認識しております。
 当社グループでは、監査役と内部監査室及び会計監査人との連携の強化、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針であります。

⑩ リスク管理体制の強化
 当社グループでは、主要なリスクとして、戦略リスク、災害リスク、オペレーショナルリスク、財務リスク、情報リスクの5つを認識し、これらのリスクを事前に回避すること及び万一リスクが顕在化した場合の当社グループの被害の最小化を図ることが必要であると考えております。そのために、リスクマネジメント活動を推進するとともに、リスク管理体制を強化するために、リスクごとに想定される動機、原因及び背景を踏まえて、リスクの洗い直しを実施してまいります。近年対応が急務となっている情報リスクに対する対応としては、体系的な情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)導入を目的としたISO/IEC27001を2018年5月に認証取得しており、情報リスクの低減に全社一丸となって取り組んでおります。
 また、必要に応じた社内教育を継続して実施するとともに、内部監査計画に基づく定期監査を実施し、リスク管理体制の継続的な強化を進めております。

⑪ 資金調達力の強化
 当社グループは、主に借入金により不動産の買取資金を調達しておりますが、市況の変化に左右されず、安定的な資金調達を行うためには、財務基盤の充実と適切な情報発信を行う必要があると考えております。そのために、常に様々な角度から当社グループの置かれている状況を分析した上で、定期的に金融機関への業況説明を行い、金融機関との相互理解の深化を図っております。その結果として、当連結会計年度末現在において、大手金融機関を含む各金融機関から当座貸越枠約定に基づく総額62.5億円の資金調達枠の確保をしております。今後も、更なる業務拡大のため、資金調達力強化を進めてまいります。

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2023/10/27 12:00:00 +0900
2023/10/31 10:00:00 +0900
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