対処すべき課題

 当社グループは、主力事業である百貨店業を中心に培ってきたのれん、顧客、そのほかの資産を最大限活用し、グループシナジーを発揮し成長をめざしてまいりました。そのなかで、この度、三越伊勢丹グループ誕生10年を機に、グループ企業理念を見直し、新たに「私たちの考え方」を制定いたしました。目まぐるしい環境の変化に対応するために、自ら「変化」「変革」することで、持続的な成長と発展を目指してまいります。

 経済環境は、堅調な雇用・所得情勢を背景に底堅く推移してきましたが、本年に入り円高傾向の強まりや株価下落などによる成長の減速や訪日観光客数の下押しリスクが懸念されます。また、デジタル化や情報化が飛躍的に進むなか、消費志向の変化、購買方法の多様化によりマーケットやお客さまに対応することが難しくなっており、小売の競争環境は激化しております。このようななかにあって、当社グループはこの変化に対応していくため、「ビジネスモデル改革」に取り組んでまいります。ビジネスモデル改革実現に向けて、「構造改革」「デジタル・トランスフォーメーション」「生産性向上に向けた仕事のやり方・働き方改革」を推進していきます。

 限られた経営資源を新たな成長分野に再分配するため、2017年度は不採算店舗や事業の構造改革を推進してまいりました。この結果、構造改革は一定程度進み成果が見込めますが、引き続き、積み残し課題解決に向けて地域や店舗特性、事業特性に応じた改革を継続していきます。

 百貨店業においては、収益の柱である基幹店については、不採算なイベントや催事を整理しつつ、新宿本店・日本橋本店においてリモデルを順次実施し、デジタルを活用した新しい顧客価値の創造により、リアル+デジタルを融合させた新しい百貨店モデルを確立してまいります。また、よりデジタル化が進んでいる海外においては、日本での強みである「食」や「化粧品」などの編集とデジタルを組み合わせた新しいモデルにトライアルしていきます。グループ保有不動産の有効活用が見込める不動産業においては、小売と不動産のコラボレーションによる事業展開や、商業施設運営を進めることで、価値を最大化させていきます。

 加えて、グループの顧客情報の一元管理、社内業務フローのデジタル化、紙から電子媒体への見直し等「デジタル・トランスフォーメーション」により、スピーディーにお客さまのニーズや変化に対応していきます。今までの仕事のやり方や業務フロー、働き方などすべてを見直すことで、生産性の向上を図ってまいります。

 また、実効的なコーポレートガバナンス体制の構築とともに、コンプライアンス体制、情報保存管理体制など内部統制システムを強化することにより、企業価値の向上と持続的成長を目指してまいります。株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。

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2018/06/18 12:00:00 +0900
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