対処すべき課題

 所得と消費の二極化、デジタル化の加速、環境意識の高まりなど社会の変化に加え、新型コロナウイルス感染症の長期化やウクライナ情勢の緊迫化などにより、社会・経済活動の不透明な状況が続いております。また、当社では、事業活動に支障をきたす事象とそのおそれを含めて、自然災害やデータセンター運用、海外事業展開等をグループ経営への影響度が大きいリスクとしてとらえております。
 今後も続く不確実で厳しい事業環境において、新たなビジネスモデルの確立が必須であるとの認識のもと、2021年11月、新たな中期経営計画(2022年度~2024年度)を策定いたしました。
 長期に目指す姿「お客さまの暮らしを豊かにする、“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」の実現に向けて、百貨店事業を早期に再生し、2025年3月期には、経営統合後の最高益を達成するため、“高感度上質消費の拡大・席巻、最高の顧客体験の提供”を基本戦略に据え、重点戦略の推進と基盤の整備を着実に実行してまいります。

■重点戦略
①高感度上質戦略
 両本店を憧れと共感の象徴へと進化させるべく、伊勢丹新宿本店はファッション、三越日本橋本店は伝統・文化・暮らしに注力した商品やサービスの展開に向け、店づくりの計画に着手いたします。
 また、外商セールスと外商バイヤーとの連携に加え、デジタルを活用した提案力向上により、個客のニーズに幅広くお応えする組織営業体制へと進化させてまいります。
 三越伊勢丹グループ百貨店の店舗間連携により、全国の高感度上質消費を拡充いたします。
②個客とつながるCRM戦略
 エムアイカード以外のクレジットカードや現金決済のアプリ会員獲得を強化し、つながる個客の数を拡大するとともに、利用額の拡大に向け、エムアイカード会員へのポイントインセンティブ施策等を、首都圏から全国の三越伊勢丹グループ百貨店に展開拡大いたします。
③連邦戦略
 「建装事業」「住環境事業」「PM*1/CM*2/デザイン事業」を柱とする株式会社三越伊勢丹プロパティ・デザイン、「広告出稿」「イベント出店支援」を柱とする株式会社スタジオアルタなど、三越伊勢丹グループ各社による外部企業へのサービス提供を本格化いたします。

■グループ基盤
①デジタル改革
 化粧品「meeco(ミーコ)」や定期食品宅配「ISETAN DOOR(イセタンドア)」を中心としたオンラインの売上の拡大と収支基盤の安定化に取り組んでまいります。接客や営業支援等のデジタル化を通じて、顧客データなどの蓄積と利活用とリアル店舗の融合による、新たな体験を提供してまいります。
②CRE・事業モデル改革
 経営レベルでのプロジェクトに加え、社内横断グランドデザインプロジェクトの発足により、将来の両本店の在り方の検討をスタートし、高感度上質拠点ネットワークにおける憧れと共感の象徴となるまちづくりを推進いたします。
③収支構造改革
 「百貨店の科学」を進化させ、収益性と生産性の最大化を図ります。経費コントロールによる販管費の削減と、マルチタスク化や内製化等による要員のコントロールで事業収支構造を継続的に見直し、再設計いたします。

■経営基盤
①システム・データ基盤
 三越伊勢丹アプリや三越伊勢丹リモートショッピングアプリ、3D計測ツールなどを営業活動において活用することで商品提案力を強化いたします。
②人財基盤
 従業員全員の「個に寄り添うCDP*3」の推進と経営人財、各領域における専門性の高い人財の育成による人財力の最大化に加え、従業員満足度調査の継続実施によるエンゲージメントの強化により、タテ割り意識なく、協働しながら貢献することにやりがいと誇りを持てる風土を醸成いたします。

 今後も不安定な事業環境・経営環境が予想されますが、百貨店事業を通じて培った、「のれん」の価値とお客さまを、三越伊勢丹グループの強みとして再認識し、長期に目指す姿の実現に向け着実に進んでまいります。

 また、当社は企業活動を通じて社会課題解決に貢献し、豊かな未来と持続可能な社会の実現を支えるべく、サステナビリティへの取り組みを進めています。「人・地域をつなぐ」「持続可能な社会・時代をつなぐ」「従業員満足度の向上」の3つをマテリアリティ(重要課題)として定め、個別の取り組みに加え、当社としてサステナビリティにどのように向き合い、社会に何を提供し、貢献していくかを明確化し、社外・社内に発信してまいります。
 株主の皆さまにおかれましては、一層のご支援とご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申しあげます。

*1 PM=プロジェクト・マネジメント
*2 CM=コンストラクション・マネジメント
*3 CDP=キャリア・ディベロップメント・プログラム

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2022/06/27 12:00:00 +0900
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