事業の経過および成果

①当連結会計年度の経営成績の概況
 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による行動制限が緩和され、経済活動の持ち直しの動きが見られました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源価格高騰や世界的な金融政策引き締めに端を発する円安進行と物価上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
 個人消費につきましては、急激な物価高を背景に、従前にも増して節約や低価格志向が根強くなりながらもその動向は必ずしも節約・低価格の一辺倒なものではなく、個人の価値観や嗜好性に応じたメリハリのある消費スタイルが浸透し、特にインターネットを介した消費行動においてその傾向は顕著であります。
 このような社会環境下、当社グループは「持続可能な社会を実現する最適化商社」をビジョンに掲げ、多様化する消費行動や様々な消費スタイルに対し、個々人そして一部の商品・サービスにおいては事業者や法人にまでその枠を広げ、インターネットを通じて最適な消費の選択肢を提供するべく事業を推進しております。その実現に向け、当連結会計年度に行った各事業(報告セグメント)における主な取組の内容は、次のとおりであります。

 これらの取組の結果、売上高は15,257,617千円(前期比27.3%増)、営業利益は94,645千円(前期は319,357千円の損失)、営業外収益としてデリバティブ評価益を計上したこと等により経常利益は278,540千円(前期は328,082千円の損失)となりました。また、特別利益として投資有価証券売却益を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は290,400千円(前期は404,185千円の損失)となりました。

②セグメント別の概況
・ネット型リユース事業
 当セグメントでは、販売店舗を有せずインターネットに特化したリユース品の買取及び販売に関するサービスを展開しており、当社グループの基幹事業であります。
 買取においては「高く売れるドットコム」を総合買取サイトの基軸とし、商品カテゴリー別に分類された複数の買取サイトを自社で運営しております。販売において「ヤフオク!」をはじめ、「楽天市場」、「Amazon」、自社ECサイト「ReRe(リリ)」など複数サイトへ同時出品し、インターネットを通じて商品を販売しております。主に「大型」「高額」「大量」といった、CtoC(個人間取引)では梱包や発送が難しい商品を取扱い、CtoBtoCというプロセスで当社が取引に介入することで、品質担保をはじめ、リユース品の売買に対して顧客に安心感を提供しております。近年ではこれらで培ったナレッジ・ノウハウを元に農機具分野へ参入し、国内のみならず農機具輸出事業を展開するなど、既存事業とのシナジーを活かして事業の多角化に努めております。また、リユースプラットフォーム「おいくら」(全国のリユースショップが加盟し、売り手である一般消費者と買い手であるリユースショップをマッチングするインターネットプラットフォーム)の基盤拡充に向けた施策を行っております。なお、当連結会計年度の各分野における状況は、以下のとおりであります。

(個人向けリユース分野)
 消費者の旺盛な買取ニーズに対応し更なる商圏拡大と取扱量の増加に対応すべく、2022年10月に千葉リユースセンター、2023年5月に品川リユースセンターを新規開設いたしました。また、商品買取に関する出張買取バイヤーの採用及び教育研修、車両等の増強を行いました。それらの投資により各種リソースが徐々に整備されたことに伴い、出張買取におけるコンサルティング営業を本格化させたことで、商品の取扱量が増加いたしました。しかしながら、出張買取バイヤーの採用及び育成が当初計画に比して遅れたことにより、第4四半期(4月~6月)に計画どおりの稼働人員数が確保できなかったことから、商品買取量が想定を下回り、結果として売上・利益ともに想定を下回る結果となりました。

(農機具分野)
 2022年4月に譲り受けた株式会社ファーマリーの中古農機具買取・販売事業とのシナジーにより国内法人との取引量が増加いたしました。また、第3四半期から第4四半期にかけて今後の収益性の向上に向けてより精度の高い買取価格の査定を行うべく、買取価格査定システム及び業務プロセスの見直しを行った結果、第4四半期会計期間(2023年4月~6月)においては黒字化に至りました。

(おいくら分野)
「おいくら」については、リユースプラットフォームとしての中長期的な収益基盤拡充に向けたシステム投資や官民協働でのSDGsの実現(不要品の二次流通促進による廃棄物の削減及び環境負荷軽減)に向けた地方自治体との連携を推進し、その連携数は当連結会計年度末日現在で、50自治体(前期比47自治体の増加)に至りました。一方で、足元の業績に寄与する加盟店開拓やサービスラインナップの拡充が遅延したことにより、売上・利益共に想定を下回る結果となりました。

 これらの結果、売上高は8,392,254千円(前期比26.6%増)、セグメント利益は329,212千円(前期比195.6%増)となりました。

・メディア事業
 当セグメントでは、賢い消費を求める消費者に対し、その消費行動に資する有益な情報をインターネットメディアで提供するサービスを展開しており、以下の8つのメディアを運営しております。
・モバイル通信に関するメディア:「iPhone格安SIM通信」「SIMチェンジ」
・モノの売却や処分に関するメディア:「高く売れるドットコムMAGAZINE」「おいくらマガジン」
・モノの購入に関するメディア:「ビギナーズ」「OUTLET JAPAN」
・モノの修理に関するメディア:「最安修理ドットコム」
・中古農機の買取・販売プラットフォーム:「中古農機市場UMM」
 当連結会計年度におきましては、検索エンジンアルゴリズムのアップデートに対応した既存掲載記事のメンテナンスや送客対象となる商品・サービスの領域拡大を行ったこと等により、収益性の高いキーワードにおける検索ランキングがほぼ想定どおりに推移いたしました。結果として主力分野であるモバイル通信に関するメディアは概ね堅調に推移し、その他分野(趣味、ライフスタイル等)に関するメディアのページビュー数、送客収入は大きく成長いたしました。また、持続的な事業規模の拡大に向けて、新たな領域へのメディア展開を試行いたしました。
 これらの施策が奏功し、収益基盤の多様化が図られたことで売上高は775,581千円(前期比29.4%増)、セグメント利益443,391千円(前期比28.3%増)となりました。

・モバイル通信事業
 当セグメントでは、連結子会社の株式会社MEモバイルが、通信費の削減に資する低価格かつシンプルで分かりやすい通信サービスを展開しており、主力サービスとして、「カシモ(= “賢いモバイル” の略称)」というブランド名のもと、主にモバイルデータ通信のサービスを提供しております。
 当連結会計年度におきましては、メディア事業との連携強化により自社通信メディアからの送客が堅調に推移したことに加え、他社が運営するメディアへ積極的に露出を行ったことから新規回線獲得数が増加いたしました。また、既存契約回線(4G)の契約期間が満了するユーザーに対し、後続となる5G回線への変更を訴求することで、1ユーザー当たりの契約期間延長を図りました。なお、契約回線からもたらされる収益は「ショット型収益(新規回線獲得時に一括して計上される収益)」と「ストック型収益(ユーザーとの契約期間において月ごとに計上される収益)」により構成されますが、将来的に見込まれるストック型収益が当初想定を上回る推移をしたことにより、第3四半期以降においてはショット型収益の比重を高めた収益プランへシフトいたしました。
 これらの結果、売上高は6,204,869千円(前期比27.6%増)、セグメント利益454,151千円(前期比236.8%増)となりました。

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2023/09/28 15:00:00 +0900
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