第6回定時株主総会 招集ご通知 証券コード : 3289
東急不動産ホールディングス株式会社
当連結会計年度における我が国経済は、堅調な企業収益や雇用の着実な改善等を背景に緩やかな回復が続いたものの、海外経済の不確実性などから、期末にかけては輸出や生産の一部に弱さも見られました。
不動産業におきましては、オフィスビル市場は、就業者数の増加等に伴う企業の活発な増床・拡張需要から、空室率の低下や賃料水準の上昇傾向が継続しております。不動産投資市場は、金融緩和による良好な資金調達環境のもと、投資家の物件取得意欲は引き続き旺盛で、厳しい物件取得競争のなか売買価格の高止まりが続き、また、分譲住宅市場は、販売価格が高値圏で推移するなかでも、都心や駅前再開発などの立地・利便性に優れた物件を中心に堅調な需要が見られました。
このような事業環境のもと、当社グループは、「価値を創造し続ける企業グループ」の実現に向けて、「関与アセット拡大」と「新たな需要創出」を基本方針とする「中期経営計画2017-2020」に引き続き取り組み、業績は順調に進捗いたしました。
当連結会計年度は、売上高は9,018億84百万円(前期比4.1%増)、営業利益は802億5百万円(前期比3.5%増)、経常利益は707億44百万円(前期比3.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は374億59百万円(前期比6.5%増)となりました。
次に各事業についてご報告申しあげます。
都市事業におきましては、東急不動産㈱は、関与アセットの拡大に向けて、渋谷や竹芝をはじめとする再開発事業を着実に推進しながら、テナントリーシング活動にも注力してまいりました。また、堅調な市況のもとで既存の物件が引き続き高い稼働率で収益に貢献いたしました。
広域渋谷圏においては、本年3月に「渋谷ソラスタ((仮称)南平台プロジェクト)」が竣工を迎えました。IoTサービスの導入、植物の活用など、ハードとソフトの両面で知的生産性の高い働き方をサポートするほか、祈祷室やオールジェンダートイレなどダイバーシティの面でも多様化するニーズを見据えたオフィスビルとなっており、全フロア満室で稼働を開始しております。
今後につきましても、本年秋竣工予定の「渋谷フクラス(道玄坂一丁目駅前地区第一種市街地再開発事業)」のオフィス部分や、2020年竣工予定の「(仮称)竹芝地区開発計画(業務棟)」など、2020年度までに開業する各オフィスビルの入居契約は全て完了しております。なお、「渋谷フクラス」の商業施設部分におきましては、本年12月に、生まれ変わった「東急プラザ渋谷」が開業する予定となっております。
インフラ・インダストリー関連では、eコマースの拡大により、ますますニーズが高まる先進的な物流施設の開発を推進いたしました。また、再生可能エネルギー事業では、新たにブランド名を「ReENE(リエネ)」と定め、全国各地で太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などの開発を順次進めており、事業規模の拡大に引き続き取り組んでまいります。
東急住宅リース㈱では、お客さま専用ウェブサイトの機能拡充やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による業務効率化など、ITを活用した生産性向上と収益力強化に取り組んでまいりました。
当期は、「コンフォリア新宿イーストサイドタワー」(東京都新宿区)、「トルナーレ日本橋浜町」(東京都中央区)等の管理受注などにより、賃貸住宅管理戸数が増加いたしました。
また、㈱学生情報センターは、グループ各社との協業による商品力の向上、マーケット領域拡大に取り組みながら、経営基盤の整備にも引き続き取り組んでまいりました。
当期は、「マストワン江古田の杜」(東京都中野区)の管理受注などにより、管理戸数が増加いたしました。
以上の結果、投資家向けのビル等売却収益の減少などの影響から、都市事業の売上高は2,564億27百万円(前期比4.9%減)、営業利益は498億82百万円(前期比1.7%減)となりました。
住宅事業におきましては、東急不動産㈱は、引き続き住宅ブランド「BRANZ(ブランズ)」の浸透に取り組むほか、需要が堅調な都心や複合再開発物件、投資家向け賃貸住宅の開発に注力し、付加価値の創出による事業規模拡大を図ってまいりました。
当期は、分譲マンションとして、「ブランズ六番町」(東京都千代田区)、「ブランズ二子玉川テラス」(東京都世田谷区)、「ブランズ六本木 ザ・レジデンス」(東京都港区)、「ブランズ天王寺国分町」(大阪市)等を売上に計上いたしました。
また、新たな事業領域への展開として、㈱学生情報センターとのシナジーを活かしながら推進する学生レジデンス事業では、「キャンパスヴィレッジ赤羽志茂」(東京都北区)、「キャンパスヴィレッジ元住吉」(川崎市)、関西圏での初展開となる「キャンパスヴィレッジ京都西京極」(京都市)が本年3月に入居を開始しております。今後も順次、開発を進めてまいります。
以上の結果、前期における大型タワーマンションの売上計上の反動などから、住宅事業の売上高は1,214億19百万円(前期比1.7%減)、営業利益は53億63百万円(前期比29.4%減)となりました。
管理事業におきましては、㈱東急コミュニティーは、マンション管理において、専有部サービスの強化や、お客さまの声を活かしたサービス向上に努めてまいりました。また、新たに公営住宅約3万5千戸の管理を開始し、公営住宅の指定管理者として初めて管理戸数が20万戸を超えました。
ビル管理では、グループで推進する渋谷再開発事業など大型ビルの管理に向け、技術者などの人材育成に取り組んでまいりました。
人材育成では、新たな研修施設の建設を推進し、本年5月に開業いたしました。本施設は、国土交通省が主導する建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「Nearly ZEB」認証(エネルギー削減量75%以上)を都内の事務所ビルで初めて取得しております。引き続き、管理事業のサービスの基本となる技術力やお客さま提案力の向上に一層注力してまいります。
当期は、「国立研究開発法人理化学研究所 和光地区」(埼玉県和光市)、「Shinagawa HEART」(東京都港区)等の管理を開始いたしました。
また、2017年度にリフォーム事業の強化・拡大を目的に設立した㈱東急Re・デザインは、管理ストックからの受注拡大に注力し、業績は堅調に推移いたしました。
以上の結果、管理事業の売上高は1,739億4百万円(前期比8.0%増)、営業利益は85億73百万円(前期比4.4%増)となりました。
仲介事業におきましては、東急リバブル㈱は、不動産の価値を高める最適な提案によりお客さまをサポートする「不動産情報マルチバリュークリエーター」を目指して提案力強化に努めるとともに、引き続き積極的な店舗展開による収益基盤の拡大に注力し、事業規模拡大に取り組んでまいりました。本年4月には、ハイグレードマンションに特化した仲介ブランドの2号店となる「GRANTACT市ヶ谷」(東京都千代田区)を出店し、富裕層向けの都心戦略を深化させております。
また、スマートフォンやタブレット端末の普及など、デバイスの多様化を踏まえ、「見やすく、分かりやすく、使いやすく」をテーマにホームページの大幅リニューアルを実施いたしました。AIやCGを活用したさまざまな新機能の導入に加えて、写真による物件のご紹介も充実させており、売主さま・買主さま双方へのサービス強化により一層の事業拡大を図ってまいります。
以上の結果、仲介事業の売上高は1,188億62百万円(前期比19.6%増)、営業利益は139億18百万円(前期比5.1%増)となりました。
ウェルネス事業におきましては、東急不動産㈱は、引き続き訪日外国人などの宿泊需要の取り込みや、シニアマーケットの需要獲得に向け、開発・運営力を活かした事業規模拡大に取り組んでまいりました。
ホテル・リゾート事業では、昨年7月に会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」(長野県北佐久郡軽井沢町)を開業いたしました。また、パブリックホテルでは、都市型ホテル「東急ステイ」が札幌、京都、福岡に合計5店舗を開業したほか、昨年4月に「KYUKARUIZAWA KIKYO,Curio Collection by Hilton」(長野県北佐久郡軽井沢町)、8月に「ハイアット リージェンシー瀬良垣アイランド 沖縄」(沖縄県国頭郡恩納村)が開業するなど、事業規模が拡大いたしました。
ヘルスケア事業では、本年4月の開業に向け、多世代交流型街づくりの一つとして取り組むシニア向け住宅「クレールレジデンス横浜十日市場」(横浜市)の開発を推進したほか、フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」は、昨年4月に「相模原24Plus」(相模原市)、8月に「習志野24Plus」(千葉県習志野市)を開業しております。
また、福利厚生代行業では、㈱イーウェルは、企業・健康保険組合の福利厚生代行や健康支援サービスが概ね堅調に推移し、収益が拡大いたしました。
以上の結果、ウェルネス事業の売上高は1,239億4百万円(前期比27.7%増)、営業利益は78億64百万円(前期比35.1%増)となりました。
ハンズ事業におきましては、ハンズの強みを最大限に活かした、競合他店にはない、強い個性を持った店舗の構築による競争力強化を図ってまいりました。
旗艦店の一つである渋谷店では、開業40周年を機にリニューアルを実施し、気軽に手作りを体験・体感できるコーナーを多数設置するなど、創業以来のコンセプトである「お客さまの生活文化の創造のお手伝い」の強化に努めてまいりました。
また、高まるシューケアへのニーズを踏まえた「シューケアマイスター認定制度」の導入など、豊富な知識に基づくコンサルティングセールスを一層推進いたしました。
新規出店としては、昨年4月に「国分寺店」(東京都国分寺市)、9月に「名古屋モゾ ワンダーシティ店」(名古屋市)、11月に「高崎店」(群馬県高崎市)をそれぞれ開業いたしました。
なお、本年4月にはシンガポール・チャンギ国際空港に隣接する複合施設に「ジュエル店」を開業しており、今後も順次店舗展開をしてまいります。
以上の結果、ハンズ事業の売上高は、973億92百万円(前期比0.3%増)、営業利益は7億59百万円(前期比83.6%増)となりました。
海外事業におきましては、東急不動産㈱は、北米において、引き続き収益不動産への投資に取り組んでまいりました。また、インドネシアでは、日本国内において長年培ってきた当社グループのノウハウを活かし開発を推進してきた「BRANZ BSD 藍」及び「BRANZ SIMATUPANG」が、竣工、引き渡しを迎えました。
請負工事業では、㈱石勝エクステリアは、造園工事の積極的な営業が奏功し、売上が増加しました。
以上の結果、リフォーム事業の一部を管理事業セグメントへ移管した影響等により、次世代・関連事業の売上高は415億80百万円(前期比0.3%減)となりましたが、海外事業における物件売却の増加などから、営業利益は9億31百万円となりました。