第32回 定時株主総会招集ご通知 証券コード : 3774

事業の経過及びその成果

 当連結会計年度における国内景気は一部に足踏みもみられましたが、緩やかに回復しました。先行きにつきましては、各種政策の効果もあり、景気の緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価上昇、世界的な金融引締めによる金利や為替の変動等の影響を注視する必要があります。
 そのような景気動向の中、当社グループが主にかかわる法人ICT(*1)関連市場では、クラウドサービスやAI(*2)等の新技術の企業活動への利活用の浸透、それらも含む要因によるインターネットトラフィック(*3)の継続増加、サイバーセキュリティ対策の重要性の高まり等が想定されます。企業のネットワーク及びシステムの領域は、旧来の社内閉域ネットワークから、インターネット技術を融合した複雑で多様なものへと変化しつつあり、今後も信頼性の高いネットワーク及びシステムの安定運用との重要性が増していくと想定をしております。
 当連結会計年度は、当社グループの3ヵ年中期計画の最終年度にあたります。この中期計画期間におきまして、概して進展が遅かった日本企業及び官公庁等のIT利活用が、コロナ禍を契機に急進し、コロナ沈静後も社内外ネットワークの更改も含めて強い需要が継続しております。これら需要に対して、当社グループの月額提供のネットワークサービスをシステムインテグレーションに組み込む「サービスインテグレーション」との事業モデルを展開し、契約期間総額が数十億円から100億円超の複数年にわたる大型案件(*4)を多数獲得いたしました。前中期計画末の2021年3月期と比較すると、当期の売上高は約1.3倍の2,761億円、営業利益は約2.0倍の290億円、営業利益率は3.8ポイント向上の10.5%と推移し、中期計画で掲げた法人ストック売上の大幅伸長とスケールメリットによる利益享受との態様を実現いたしました。また、事業拡大に伴い、年度末時の従業員数は約1.3倍の4,803名となりました。その他の中期計画の振り返りは、招集通知「(8)前中期計画の振り返り、新中期計画等、2025年3月期連結業績見通し ①前中期計画の振り返り」をご参照ください。
 当連結会計年度の事業進展につきましては、ネットワークサービスにおいては、月額売上を堅調に積み上げ、売上総利益率は28.7%と前年同期比1.3ポイント向上いたしました。内訳につきましては、ネットワークサービス(除くモバイル関連サービス(*5))は、IPサービス、セキュリティ関連サービス及びWANサービス等の需要が引き続き良好で、売上高は前年同期比8.9%増の1,052億円となりました。モバイル関連サービスは、総契約回線数は481万回線と前年度末比16.3%増加し、売上高は前年同期比9.1%増の461億円となりました。個人向けモバイルサービスは成熟市場のなかでも競争力を発揮し契約回線数は前年度末比5.6%増の127万回線、売上高は前年同期比4.5%増の220億円となり、法人向けモバイルサービスはネットワークカメラ等のIoT(*6)利用の継続普及等により契約回線数は前年度末比29.8%増の235万回線、売上高は前年同期比21.9%増の136億円となりました。システムインテグレーションにおいては、受注及び受注残高は好調であったものの、売上計上が複数年にわたる大型案件へのリソース割当等により単年度では売上伸長が鈍化し、また、売上計上に先行して生じる原価の増加もあり、売上総利益率は前年同期比1.1ポイント減の15.6%となりました。当社グループは、新規学卒者の獲得と育成を中心に戦略的な人的資本の拡張を進めており、当連結会計年度の期初は246名、2024年4月には307名の新規学卒者を迎えました。ネットワーク設備の拡張については、インターネットトラフィックの増加や自社サービス需要の高まりに応じ、インターネットバックボーン(*7)や自社サービス設備等を収容する自社保有データセンターを継続拡張いたしました。国際事業においては、従前からの事業進展に加えて、約28億円の海外データセンター構築案件や2021年4月に完全子会社化したシンガポールのシステムインテグレーターであるPTC SYSTEM (S) PTE LTDの貢献もあり、国際事業売上高(*8)は前年同期比38.1%増の353億円となりました。新規事業においては、当社持分法対象の株式会社ディーカレットDCP(*9)にて、国内初のデジタル通貨サービスとして、非化石証書取引におけるデジタル通貨(DCJPY)の発行及び決済サービスの提供を2024年7月開始予定としております。
 当連結会計年度の業績につきまして、総売上高は、前年同期比9.2%増の276,080百万円(前年同期 252,708百万円)となりました。売上原価は前年同期比8.9%増の212,214百万円(前年同期 194,800百万円)となり、売上総利益は前年同期比10.3%増の63,866百万円(前年同期 57,908百万円)となりました。内訳といたしまして、ネットワークサービスの売上高は前年同期比8.9%増の151,347百万円(前年同期138,922百万円)、売上総利益は前年同期比14.0%増の43,493百万円(前年同期 38,146百万円)となりました。ネットワークサービスの売上原価におきましては、当第3四半期において㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料(*10)の2022年度利用分単価確定による費用戻し効果1億円強(前年同期は5億円強の効果)がありました。システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は前年同期比9.8%増の121,819百万円(前年同期 110,944百万円)、内システム構築売上は49,902百万円(前年同期 42,945百万円)、システム運用保守売上は71,917百万円(前年同期 67,999百万円)となり、売上総利益は前年同期比2.6%増の19,042百万円(前年同期 18,553百万円)となりました。ATM運営事業の売上高は前年同期比2.5%増の2,914百万円(前年同期 2,842百万円)、売上総利益は前年同期比10.1%増の1,331百万円(前年同期 1,209百万円)となりました。販売管理費等(販売費及び一般管理費、その他の収益及びその他の費用の合計)は前年同期比13.5%増の34,837百万円(前年同期 30,687百万円)となりました。営業利益は、前年同期比6.6%増の29,029百万円(前年同期 27,221百万円)となりました。税引前利益は、為替差益533百万円(前年同期 365百万円の利益)及び主としてファンドに係る金融資産評価益149百万円(前年同期 303百万円)等により、前年同期比6.0%増の28,934百万円(前年同期 27,309百万円)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期比5.2%増の19,831百万円(前年同期 18,852百万円)となりました。

ネットワークサービス

 ネットワークサービス売上高は、前年同期比8.9%増の151,347百万円(前年同期 138,922百万円)となりました。
 このうち、法人向けインターネット接続サービスの売上高は、法人IoT等用途向け法人モバイルサービス及びIPサービス等の売上増加があり、前年同期比11.1%増の44,725百万円(前年同期 40,253百万円)となりました。個人向けインターネット接続サービスの売上高は、個人向けモバイルサービス等の売上増加があり、前年同期比4.3%増の25,285百万円(前年同期 24,235百万円)となりました。アウトソーシングサービスの売上高は、セキュリティ関連サービス等の売上増加があり、前年同期比13.2%増の52,972百万円(前年同期 46,808百万円)となりました。WANサービスの売上高は、前年同期比2.7%増の28,365百万円(前年同期 27,626百万円)となりました。
 ネットワークサービスの売上原価は、前年同期比7.0%増の107,854百万円(前年同期 100,776百万円)となりました。セキュリティ関連サービスのライセンス費用等の増加及び㈱NTTドコモのモバイルデータ接続料の2022年度利用分単価確定による費用戻し効果1億円強(前年同期は5億円強の効果)等がありました。ネットワークサービスの売上総利益は、前年同期比14.0%増の43,493百万円(前年同期 38,146百万円)となり、ネットワークサービスの売上総利益率は28.7%(前年同期 27.5%)となりました。

システムインテグレーション

 システムインテグレーション(含む機器販売)の売上高は、前年同期比9.8%増の121,819百万円(前年同期 110,944百万円)となりました。
 システム構築及び機器販売による一時的な売上高は、前年同期比16.2%増の49,902百万円(前年同期 42,945百万円)となりました。システム運用保守による継続的な売上高は、システム運用保守案件の継続積み上げによる増加等があり、前年同期比5.8%増の71,917百万円(前年同期 67,999百万円)となりました。
 システムインテグレーション(含む機器販売)の売上原価は、外注関連費用及び仕入の増加等があり、前年同期比11.2%増の102,777百万円(前年同期 92,391百万円)となりました。機器販売を含むシステムインテグレーションの売上総利益は、前年同期比2.6%増の19,042百万円(前年同期 18,553百万円)となり、売上総利益率は15.6%(前年同期 16.7%)となりました。
 当連結会計年度のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注は、前年同期比22.4%増の147,955百万円(前年同期 120,910百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注は前年同期比35.2%増の59,864百万円(前年同期 44,293百万円)、システム運用保守に関する受注は前年同期比15.0%増の88,091百万円(前年同期 76,617百万円)でありました。
 当連結会計年度末のシステムインテグレーション(含む機器販売)の受注残高は、前年同期末比31.6%増の108,893百万円(前年同期末 82,757百万円)となりました。このうち、システム構築及び機器販売に関する受注残高は前年同期末比72.2%増の23,761百万円(前年同期末 13,799百万円)、システム運用保守に関する受注残高は前年同期末比23.5%増の85,132百万円(前年同期末 68,958百万円)でありました。

ATM運営事業

 ATM運営事業売上高は、前年同期比2.5%増の2,914百万円(前年同期 2,842百万円)となりました。
 ATM運営事業売上原価は、前年同期比3.1%減の1,583百万円(前年同期 1,633百万円)となりました。売上総利益は、1,331百万円(前年同期 1,209百万円)となり、売上総利益率は45.7%(前年同期 42.5%)となりました。

事業セグメント別

 セグメント別では、当連結会計年度のネットワークサービス及びシステムインテグレーション(SI)事業の売上収益は、前年同期比9.3%増の273,247百万円(前年同期 249,970百万円)となり、営業利益は前年同期比6.4%増の28,014百万円(前年同期 26,322百万円)となりました。当連結会計年度のATM運営事業の売上収益は、前年同期比2.5%増の2,914百万円(前年同期 2,842百万円)となり、営業利益は前年同期比10.4%増の1,015百万円(前年同期 919百万円)となりました。

文中に(*)を付した用語については、下記に記載の用語解説をご参照下さい。


(ご参考)用語解説

1. ICT
Information and Communication Technologyの略。コンピュータによる情報通信に関するハードウェア、ソフトウェア、システム及びデータ通信等に関する技術の総称。
2. AI
Artificial Intelligenceの略。コンピュータシステムや機械が、推論、判断及び学習等の人間の知能を模倣する技術のこと。
3. インターネットトラフィック
インターネットを通じて転送されるデータ流量のこと。
4. 大型案件の詳細は「2024年3月期(FY23)連結業績・新中期計画説明資料」20頁をご参照ください。
5. モバイル関連サービス
IIJモバイルサービス(法人IoT等用途向け直接提供及びIIJモバイルMVNOプラットフォームサービス)及びIIJmioモバイルサービス。
6. IoT
Internet of Thingsの略。モノのインターネットと言われ、これまでインターネットに接続されていなかった物体に通信機能を持たせることで、物体が情報通信を行うようになること。
7. バックボーン
ネットワークの基幹部分を構成する部分のこと。ISPでは、NOCやPOP、アクセスポイントを結んだ高速回線による基幹ネットワークのことをいう。
8. 国際事業売上高
ネットワークサービス及びシステムインテグレーション売上高に含まれる。
9. 株式会社ディーカレットDCP
当社の持分法適用会社である株式会社ディーカレットホールディングスの子会社。
10. モバイルデータ接続料
㈱NTTドコモと当社の間のモバイル設備の利用に係るデータ通信帯域に係る費用、Mbps当り単価のこと。

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