事業の経過及び成果

 当社は、2019年6月26日開催の第47回定時株主総会において「定款一部変更の件」を決議し、2020年6月期より、決算期を3月31日から6月30日に変更いたしました。このため、経営成績及び各事業分野における比較につきましては、当連結会計年度(2020年7月1日から2021年6月30日まで)における数値と、2019年7月1日から2020年6月30日までの12か月間を「前年同一期間」として算出した参考数値とを比較して行っております。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種が促進される環境の中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されます。

 また、当社グループが事業を展開するアジア地域の経済は、中国では景気が緩やかに回復し、先行きについては国による濃淡はあるものの緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、国内外の新型コロナウイルス感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

 新型コロナウイルス感染症は当社グループのビジネスにも引き続き影響を及ぼしておりますが、グループインタビューを中心とした定性調査のオンライン化など業務の見直しや従業員のリモートワークへの移行をより進展させ、在宅による業務の生産性を担保する取り組みにより、ビジネスを安定的に継続させてまいりました。

 このような状況の中、当社グループは、当連結会計年度である2021年6月期を初年度とする第13次中期経営計画(3か年)を策定いたしました。また、本計画のグループ基本方針を「ビジネスのデザインを変えよう!!– お客様と生活者の「変わる」とともに –Reframe , Connect ,Create 」といたしました。

 上記方針のもと、マーケティング支援(消費財・サービス)事業においては、2021年1月に本リリースいたしました「SRI+」に加え、リサーチ活用やデータ提供にとどまらない基幹商品の更なる進化を推し進め、お客様のアウトカム(成果)に貢献するビジネスへと転換を進めております。

 マーケティング支援(ヘルスケア)事業においては、治療領域に特化したPHR(※1)プラットフォームサービスを展開する株式会社Welbyとの資本業務提携により協業の強化を図るとともに、当社グループの強みであるリサーチ、データ販売、製造販売後調査、プロモーションといった「幅広い分野の事業・アセット」と「生活者・患者理解」を軸足として、お客様の変化に応じたコアビジネスの拡充や組み合わせによる新たな事業機会の創出を進めております。

 ビジネスインテリジェンス事業においては、データハンドリングノウハウやAI・機械学習等の技術、また、長年に渡り培ってきた業界やお客様ビジネスへの深い理解を基盤として、お客様のDX推進を支援しうるパートナーを目指してまいります。

 また、前中期経営計画より進めております働き方改革についても、SNS等各種ツールの活用や、新しい働き方の共有・展開を目的とするグループ横断のオンラインミーティングを実施するなど、新型コロナウイルス感染症によるリモートワーク主体の環境下においても、コミュニケーションの活性化や知見の共有化が促進されております。引き続き、当社グループで働く人たちが自律的・自発的に成長できる機会の提供を追求するなど、個々人のパフォーマンスを最大限に発揮させる新しいワークスタイルの創造と確立を目指してまいります。

 こうした取り組みのもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高57,558百万円(前年同一期間比3.6%増)、営業利益4,421百万円(同20.8%増)、経常利益5,081百万円(同38.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,372百万円(同104.9%増)となりました。

 事業分野別の状況は、次のとおりであります。

※「2019年7月1日~2020年6月30日」の数値は前連結会計年度の数値から前第1四半期連結累計期間の数値を差し引いて算出しております。

 マーケティング支援(消費財・サービス)事業の連結業績は、売上高35,572百万円(前年同一期間比3.0%増)、営業利益1,910百万円(同27.7%増)の増収増益となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が顕著でありましたが、第2四半期連結会計期間以降は増収増益基調に転じ、第4四半期連結会計期間では新型コロナウイルス感染症の影響前(2019年4月1日から2019年6月30日)の水準を上回りました。当事業では、主力事業であるパネル調査が好調に推移いたしました。また、オフライン調査など新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりましたカスタムリサーチについても、WEB調査などが好調に推移し前年同一期間を上回る水準に回復しました。コミュニケーション分野は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け苦戦を続けておりましたが、第3四半期以降は復調傾向にありました。株式会社インテージリサーチにおける官公庁案件も好調を維持しました。海外事業についても、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、インド、香港をはじめとするアジア各国の売上が低調に推移しましたが、第4四半期連結会計期間では回復傾向にありました。一方、2020年3月に子会社化したオンライン調査を主業務とする株式会社データスプリングは好調に推移しました。利益面については、投資が増加したものの株式会社インテージリサーチの増収や株式会社データスプリングの貢献により増益となっております。

 マーケティング支援(ヘルスケア)事業の連結業績は、売上高14,714百万円(前年同一期間比8.9%増)、営業利益は2,264百万円(同39.8%増)の増収増益となりました。当事業では、株式会社インテージヘルスケアにおいて、リサーチ事業は一般用医薬品に係るパネル調査が堅調に推移し、医療用医薬品に係るカスタムリサーチも、医師に対するWEBアンケートなどが好調であり前年同一期間を上回る水準で推移しました。株式会社医療情報総合研究所が手掛けるレセプトデータ分析も前年同一期間からの好調を維持しております。一方、CRO(医薬品開発業務受託機関)の製造販売後調査は、プロジェクトの小型化や不採算案件の発生に伴い収益性が低下しているため、改善に向けて取り組んでおります。株式会社協和企画におけるプロモーション事業(※2)は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い案件スケジュールの再設定が発生しましたが、医薬品販売促進資材のデジタル化、イベントのオンライン化の取り組みにより収益は改善しつつあります。利益面については、カスタムリサーチやシンジケートデータ(※3)の売上の増加により増益となっております。

 ビジネスインテリジェンス事業の連結業績は、売上高7,271百万円(前年同一期間比3.4%減)、営業利益245百万円(同54.7%減)の減収減益となりました。当事業では、株式会社インテージテクノスフィアにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響が大きい旅行業界を中心に既存業界向けのソリューションの売上が減少しました。一方で、株式会社ビルドシステムはローコード開発(※4)案件の獲得に伴い大幅に伸長しております。なお、AIソリューションについては、自動車・公共分野等の重点顧客への深耕を図り、次年度の案件獲得を進めております。また、中期経営計画で掲げております「お客様のDX推進パートナー」の実現に向けオンラインセミナーの開催、WEBページリニューアルと活用、DX支援のサービス化、インテージグループの総合力を活用した顧客課題解決への提案など積極的な営業活動を展開しております。利益面については、新型コロナウイルス感染症による売上減少の影響を受けております。

※1 PHR(Personal Health Record)とは、個人の健康診断結果や服薬歴等の健康等情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組みをいいます。
※2 プロモーション事業は、医療に関する広告媒体の取扱い、医薬品販売促進資材の制作、医学・薬学に関する学会の運営などを行う事業をいいます。
※3 シンジケートデータは、特定の調査協力者(医師等)に定期的に実施する自主企画調査によって取得したデータをいいます。
※4 ローコード開発とは、アプリケーションの高速開発アプローチをいいます。

事業分野別の状況

主力事業であるパネル調査が好調に推移いたしました。カスタムリサーチについても、WEB調査などが好調に推移し前年同一期間を上回る水準まで伸長しました。株式会社インテージリサーチにおける官公庁案件も好調を維持しました。海外事業についても、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、インド、香港をはじめとするアジア各国の売上が低調に推移しましたが、第4四半期連結会計期間では回復傾向にありました。一方、2020年3月に子会社化したオンライン調査を主業務とする株式会社データスプリングは好調に推移しました。利益面については、投資が増加したものの株式会社インテージリサーチの増収や株式会社データスプリングの貢献により増益となっております。

株式会社インテージヘルスケアにおいて、リサーチ事業は一般用医薬品に係るパネル調査が堅調に推移し、医療用医薬品に係るカスタムリサーチも、医師に対するWEBアンケートなどが好調であり前年同一期間を上回る水準で推移しました。株式会社医療情報総合研究所が手掛けるレセプトデータ分析も前年同一期間からの好調を維持しております。一方、CRO(医薬品開発業務受託機関)の製造販売後調査は、プロジェクトの小型化や不採算案件の発生に伴い収益性が低下しているため、改善に向けて取り組んでおります。株式会社協和企画におけるプロモーション事業は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、案件スケジュールの再設定が発生しましたが、医薬品販売促進資材のデジタル化、イベントのオンライン化の取り組みにより収益は改善しつつあります。利益面については、カスタムリサーチやシンジケートデータの売上の増加により増益となっております。

株式会社インテージテクノスフィアにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響が大きい旅行業界を中心に既存業界向けのソリューションの売上が減少しました。一方、株式会社ビルドシステムはローコード開発案件の獲得に伴い大幅に伸長しております。なお、AIソリューションについては、自動車・公共分野等の重点顧客への深耕を図り、次年度の案件獲得を進めております。利益面については、新型コロナウイルス感染症による売上減少の影響を受けております。

(注)

「2019年7月1日~2020年6月30日」の数値は前連結会計年度の数値から前第1四半期連結累計期間の数値を差し引いて算出しております。


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2021/09/29 11:00:00 +0900
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