事業の経過及び成果

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症対策として緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発令されるなど、依然として社会経済活動が制約される厳しい状況が続きました。国内景気は持ち直しの動きが続いているものの、ロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の急騰やサプライチェーンの混乱、円安進行による輸入物価の上昇、中国の「ゼロコロナ政策」徹底による経済への影響、世界的な半導体不足、各国の金融政策の変化等、足許では懸念材料も多く、先行きは不透明な状況が続いております。
 化学業界におきましては、石油化学製品の需要が国内外で堅調に推移し、国内エチレンプラントでは高稼働が続くなど、比較的良好な環境が続きました。しかしながら、世界経済の回復に伴って原油価格が高水準で推移していた中、ロシアのウクライナ侵攻によってその高騰に拍車がかかり、また、原油由来ではない原料の価格も軒並み上昇しており、原料調達コストの増加による収益への悪影響が懸念されます。
 このような経営環境下、当社グループにおいても幅広い分野にわたって需要が回復し、加えて原材料価格の値上がりに伴う売価の上昇もあり、当連結会計年度の売上高は、前期比9,237百万円、22.7%増収の49,887百万円となりました。
 利益面につきましては、増収による収益効果があった一方で、人件費・減価償却費等の固定費が増加したことや、当社連結子会社である東邦化学(上海)有限公司が2021年4月30日から7月27日まで生産を停止したこと、また、期を通じて収益の下押し要因となった原材料価格の上昇による損益へのマイナス影響が特に第4四半期に大きく現れたこともあり、営業利益は前期比41百万円減益の1,345百万円にとどまりました。経常利益は、為替差益や受取保険金の発生もあり、前期比508百万円増益の1,933百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比390百万円増益の1,395百万円となりました。


 セグメント別の状況は次のとおりです。


界面活性剤




 香粧原料は、ヘアケア用基剤等の需要が幅広く回復したことや、洗剤向けの一般洗浄剤等の売価が原料価格の値上がりに伴って上昇したことにより増収となりました。プラスチック用添加剤は、主力の帯電防止剤や乳化重合剤が伸長し増収となりました。土木建築用薬剤は、生コンクリート市場低迷の影響が続いたものの、建材用薬剤等の需要がやや回復し増収となりました。農薬助剤は、国内向け販売が伸長し増収となりました。繊維助剤は、国内の需要回復や海外での販売伸長により増収となりました。紙パルプ用薬剤は、消泡剤やサイズ剤等の需要回復により増収となりました。
 その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比3,945百万円、17.4%増収の26,614百万円となりました。しかしながら、セグメント利益は、原材料価格の上昇とそれに対する製品価格の是正の遅れにより採算が悪化したことや、東邦化学(上海)有限公司の生産停止の影響を受けたことから、前期比229百万円減益の718百万円となりました。



樹 脂



 石油樹脂は、大口ユーザー向けの販売が伸長し増収となりました。合成樹脂は、冷蔵機器用断熱ウレタンフォーム原液の需要回復により増収となりました。樹脂エマルションは、金属表面処理剤等の販売伸長により増収となりました。
 その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比643百万円、24.0%増収の3, 321百万円となり、セグメント利益は、前期比114百万円増益の138百万円となりました。



化 成 品



 合成ゴム・ABS樹脂用ロジン系乳化重合剤は、海外での販売伸長及び原料価格の値上がりに伴う売価の上昇により大幅な増収となりました。金属加工油剤は、水溶性切削油剤等の需要回復により増収となりました。石油添加剤は、潤滑油添加剤の海外での販売伸長により増収となりました。
 その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比2,098百万円、47.1%増収の6,554百万円となり、セグメント利益は、前期比153百万円増益の229百万円となりました。



スペシャリティーケミカル



 溶剤は、ブレーキ液基剤の需要回復や塗料・インク用、電子材料用等の販売伸長により増収となりました。電子情報産業用の微細加工用樹脂は、半導体関連の販売が堅調で増収となりました。アクリレートは、中国市場での販売が回復し増収となりました。
 その結果、当セグメント全体の売上高は、前期比2,468百万円、22.9%増収の13,233百万円となりました。しかしながら、セグメント利益は、アクリレートが東邦化学(上海)有限公司の生産停止の影響を受けたことから、前期並みの321百万円となりました。



*「 その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、環境調査測定・分析業務等を含んでおります。
* セグメント利益は、連結損益計算書計上額の営業利益と調整(当連結会計年度は△72百万円)を行っております。
* セグメント利益の調整額△72百万円には、棚卸資産の調整額△92百万円等が含まれております。

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2022/06/23 12:00:00 +0900
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