事業の経過および成果

 当連結会計年度におけるわが国経済は、米中通商摩擦の激化もあり中国経済が減速傾向にあることや、英国のEU離脱の方向性が不明なことなどの海外要因から輸出が鈍化傾向にあり、不透明感が高まっております。ただし、良好な雇用所得環境を背景として実質所得が拡大し個人消費が持ち直していることや、インバウンド消費が堅調に推移していること、合理化・省力化へのニーズを背景とした設備投資も一定水準を維持するとみられることなどは景気の下支え要因として考えられます。
 当社グループの属する情報サービス業界におきましては、金融や流通分野での制度対応としてのシステム更新のほか、戦略投資としてのIT投資案件が継続しており、AIやIoT技術を利用した新しいビジネスの伸展、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した「働き方改革」に寄与する業務効率化への取り組み、フィンテックによる新たなサービスの提供などへのニーズの高まりを背景に、市場環境は引き続き良好な状態が続くものと思われます。
 このような環境下、当社グループでは、2018年度から2020年度の3カ年で売上高140億円を目指す中期経営計画「Challenge to 2020」を策定し、強い事業領域での競争力維持、戦略商品の販売拡大、新しい市場の開拓、新技術の獲得・展開などに取り組んでおります。主力商品である金融機関向けプロダクトは、人口減やマイナス金利により金融機関の収益環境が厳しい状況となる中、収益源の多様化や業務の効率化を進めていくためのソリューションとして積極的に営業活動を行ってきました。小売業向けプロダクトでは、基幹システムやECサイト構築システムに加え、キャッシュレス化社会に対応するための決済クラウド「iRITSpay(アイリッツペイ)」とマルチ決済端末「iRITSpay決済ターミナル」の拡大に取り組んでおります。また、公共分野においては、地方自治体でのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業務や滞納管理等システム案件の受注獲得を進めております。
 以上の結果、当連結会計年度の売上高は125億54百万円(前期比106.1%)、営業利益は16億37百万円(前期比106.6%)、経常利益は17億9百万円(前期比106.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億48百万円(前期比102.2%)となりました。売上高、経常利益、当期純利益は過去最高を更新しております。
 当社グループは、システムインテグレーターとして顧客の業態やニーズに応じたソフトウェアを開発し、システム機器や関連商品と併せて提供するほか、情報通信ネットワークの構築・運用管理や保守サービスに至るITソリューション・サービスを行うとともにBPOなどを行っております。
 当連結会計年度の受注高は163億29百万円(前期比127.1%)、受注残は121億55百万円(前期比145.0%)となりました。また、セグメント別の営業概況は次のとおりです。

(システムソリューション)

 システムソリューションでは、フィナンシャルシステムにつきましては、販売強化中の個人ローン業務支援システム「SCOPE」をメインに、非対面チャネル強化の一環でWeb受付システムなど連携するサブモジュールについても多くの受注を獲得しております。債権管理分野に関しても、ノンバンクにおける「TCS Web」や金融機関向け「CMS V5」に「e-SMS」や自動受架電システム「ロボティックコール」を組合せた業務効率化ならびに人員の有効活用を目指した受注を獲得しております。コールセンター向けソリューションにつきましては、「ロボティックコール」において好調に新規顧客の獲得が進んでおり、録音システムも既存顧客の大型更改案件を獲得しております。RPAについてはスモールスタートが多いものの、新規導入が進んでおります。小売業向けでは、小売業向け基幹システム「RITS」は上期にアパレル専門店より商品基幹システムの大型受注、下期に都内大手百貨店より消費増税、改正割賦販売法対応の「iRITSpay決済ターミナル」を含めた基幹システムの大型受注を獲得しております。公共システムにおきましては滞納管理、電話催告システムで新規の受注を複数の地方自治体から獲得しております。
 その結果、受注高は97億37百万円(前期比118.2%)、売上高は75億69百万円(前期比113.8%)、セグメント利益は19億67百万円(前期比111.4%)となりました。

(サービスソリューション)

 サービスソリューションでは、安定収益源である保守サービスや公共分野向けビジネスを中心に活動しております。地方自治体でのBPO事業は、2020年度より実施される会計年度任用職員制度の影響もあり、受注が好調に推移しております。
 その結果、受注高は41億40百万円(前期比158.6%)、売上高は28億72百万円(前期比88.4%)、セグメント利益は5億9百万円(前期比97.1%)となりました。

(基盤ソリューション)

 基盤ソリューションでは、システム機器販売、クラウドを含む基盤インフラ設計・構築・納入・設置、ネットワークシステムの提供を事業展開しております。複数事業部で幅広い提案活動を行うことで顧客層の拡大に取り組んでおり、受注が拡大しております。
 その結果、受注高は24億51百万円(前期比122.4%)、売上高は21億12百万円(前期比109.7%)、セグメント利益は3億84百万円(前期比98.2%)となりました。

[売上高の内訳]
 セグメント別の売上構成は以下のとおりです。

<社会貢献活動>
 当社は、企業としての社会的責任を果たすため、公益財団法人日本ユニセフ協会に寄付を行っております。
 また、平成30年豪雨災害および2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震への義援金として、日本赤十字社に寄付を行っております。

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2019/06/21 11:30:00 +0900
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