当連結会計年度における国内経済は、消費税増税による個人消費への影響も少なく、緩やかな景気回復基調が続きましたが、製造業においては米中関係の悪化が長引いたことで外需が減少し、企業決算の下方修正が相次ぎました。
海外では、長期化する米中貿易摩擦により中国の生産が鈍化し、周辺アジア諸国へのシフトが加速しました。英国のEU離脱問題など、海外政治情勢の不安定な状態が継続していることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う企業活動の停滞による経済の減速懸念など、不透明な状況が継続しており、今後の推移を注視していく必要があります。
当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦に端を発した相互の関税強化により中国経済の減速感が広がり、その影響が韓国や台湾に波及したことにより、自動車産業やスマートフォン市場が低迷し、上半期は当社にとって非常に厳しいスタートとなりました。下半期は回復したものの、通期の売上高は、上半期の落ち込みを挽回するまでには至りませんでした。
なお、当連結会計年度における新型コロナウイルス感染拡大の影響は概ねございませんでした。
その結果、当社グループの売上高は223億19百万円(前連結会計年度比10.2%減)、営業利益は62億97百万円(同11.0%減)、経常利益は62億40百万円(同13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は44億16百万円(同11.0%減)となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
主要な事業内容
国内・海外市場における表面処理薬品および関連資材の製造・販売
電子分野におきましては、中国では5G(第5世代移動通信システム)の基地局に使用されるアンテナ用基板の需要が増加したこと、台湾ではスマートフォン新旧機種ともに出荷量が増加したことにより、それぞれ堅調に推移しました。韓国では半導体市場が回復傾向にあったものの、在庫調整の継続および一部のお客様がHDI(高密度配線)基板事業を撤退したことにより、軟調に推移しました。
装飾分野におきましては、国内では上半期に自動車新車種発売があり底堅く推移しましたが、下半期で落ち込みが大きく通期で軟調に推移しました。中国では米中貿易摩擦、環境規制の厳格化などの影響を受け、自動車の販売台数、生産稼働が鈍化したものの、営業拡販努力により堅調に推移しました。
その結果、薬品事業の売上高は193億56百万円(前連結会計年度比3.4%減)、セグメント利益は73億47百万円(同6.6%減)となりました。
主要な事業内容
国内・海外市場における表面処理装置、プラズマ技術を利用したプリント配線板洗浄装置、太陽光発電装置の製造・販売、太陽光発電による売電等
装置事業におきましては、自動車部品向けの投資需要が一段落し、大型案件が減少したことで、売上高は大幅に減少しました。
その結果、売上高は29億36百万円(前連結会計年度比38.8%減)、セグメント損失は8百万円(前連結会計年度はセグメント利益209百万円)となりました。新規受注に関しましては、受注高は28億40百万円(前連結会計年度比32.8%増)、受注残高は12億12百万円(同3.7%減)となりました。
主要な事業内容
スパッタリング技術によるカラーリング加工、飲料水およびワイン等
その他におきましては、売上高27百万円(前連結会計年度比23.4%減)となり、セグメント損失は90百万円(前連結会計年度はセグメント損失70百万円)となりました。
(注)セグメント利益は、営業利益ベースの数値であります。