当社グループを取り巻く環境につきましては、電子分野の主力製品であるプリント配線板用薬品は、5G(第5世代移動通信システム)の普及に伴い、スマートフォン向けに加え、基地局のアンテナ、タブレットなど5Gに対応するその他の高機能電子デバイス向けにも需要が拡大することが予想されます。一方、装飾分野の自動車部品用薬品は、米中貿易摩擦の長期化による自動車販売不振が影響し、今後も横ばい基調で推移するものと予想されます。
このような状況を踏まえ、2021年3月期が最終年度となる中期経営計画「Next 50 Innovation」(2019年3月期~2021年3月期)の目標達成に向けて、以下の取り組みを推進してまいります。
❶ 薬品事業の競争力強化
プリント配線板向け薬品および自動車部品向け薬品等の海外拡販を進めてきた結果、海外の売上比率が7割を超えるまで成長を遂げました。それに伴い、現地で日本国内と同等の技術サポートの要望がこれまで以上に高くなっており、これらに適切に対処することが海外での拡販において重要な鍵となります。この一環として、2019年11月に完成した中国での技術サポート機能を兼ね備えた表面処理薬品の工場を早期に本格稼働させ、現地での技術サービス体制を強化してまいります。
❷ 海外市場でのさらなる成長
市場拡大が見込まれ当社グループがすでに進出しているインドにおいて、新たな需要の獲得を目指すべく、営業体制の強化を図ってまいります。また、これまで拠点のない欧州においては、グローバルサプライヤーとしての地位を築くことを目的に、拠点設置に向けて検討を行ってまいります。
❸ 次世代技術開発と早期市場投入
表面処理用薬品の主要市場の一つであるプリント配線板業界は、技術革新のテンポが非常に速く、常に次世代技術の動向を注視し、市場の要求に応えた製品を提供できるよう開発に取り組んでいかねばなりません。これらの要求に対応する表面処理薬品のトップランナーとして、主力製品のさらなる改良・強化に努め、次世代技術として注目される5G(第5世代移動通信システム)や自動運転などに対応した製品を早期に開発し、市場定着させることが重要な課題となります。
❹ 攻めの装置事業
当社グループの設立以来の考え方である「装置と薬品の一体販売」に基づき、薬品の研究開発に装置部門が参画することで、薬品だけでは達成できない技術的課題を装置機構の側面から検証し、最高のパフォーマンスを提供する差別化された装置を投入してまいります。また、装置導入顧客へのサポートの一環として、メンテナンス事業を強化し、顧客満足度向上につなげ、サポートを通じた新規案件の発掘を行ってまいります。
❺ 新市場・新分野への挑戦
当社グループは、近年プラズマ技術を利用したプリント配線板洗浄装置、太陽光発電等の環境関連装置、ワイン等の分野に進出し、経営の多角化を図っております。営業面、技術面の強化を図り、コア事業である薬品と装置に次ぐ第3の柱として、安定的に利益を創出できる事業へ成長させることが重要な課題となります。
株主の皆様におかれましては、今後ともご支援を賜りたくお願い申し上げます。